Photo by Shun Komiyama

TOGAデザイナー古田泰子インタビュー後編

ブランド20周年を迎えたTOGAのデザイナー古田泰子に、TOGAの女性像や今回のショー、これからの展望について訊いた。

by Kazumi Asamura Hayashi
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17 November 2017, 5:14am

Photo by Shun Komiyama

TOGAデザイナー古田泰子インタビュー前編はこちら

TOGAを着る女性像というのは古田さんの中でどういうものですか?

保守的な人ではないのは確かかな。それはすごく嬉しい部分で、何か次に進むとき、服の力によって変えたい自分とかがある人なんじゃないかなと思っています。現状に満足しているより、もう少し好奇心が旺盛な人たちにサポートされている気がします。それに年齢は関係ないですね。

20年間を振り返った時に、スタイルや信念の変化はご自身の中でありますか?

何度も「続けられないかもしれない」と思うこともありました。気持ちは続けられるんだけど、資金の問題があったり、その反対もあったり。自分たちで全部資金を調達をするというのは、とてつもない努力……努力だけじゃうまくいかないんだけど、肝を据えなきゃいけない状態がくるんです。もうここで終わりかもしれない、と。踏みしめて踏ん張ってなんとか助けてもらっています。その時に助けてくれた人たちは、そういったタイミングに歯を食いしばって支えてくれた人たち。そのおかげで発表できているんだから、自分が伝えたいことを強く提示するっていう役割に集中しようと思うんです。中途半端で名前も挙がらないようじゃダメで。そうした時に、今自分が世の中に足りていないって思うもの、みんなが見た時に価値が変わったり新しく指針されるみたいなものってなんだろうと考えるんです。単純に服が綺麗とかテクニックがすごいとか、モデルがすごいとか、そうじゃないところがショーでは出るんじゃないかと思います。

Photo by Shun Komiyama

なぜ今回のショー会場に国立新美術館を選んだのですか?

この数シーズンロンドンで会場として選んでいる場所が、重厚なヨーロッパ建築の石の建物が続いています。なので、東京では歴史のある古いビルというよりは東京らしい現代的な建築がいいなと思い、国立新美術館が一つの候補として挙がりました。長いエスカレーターがあり、ショーでありながらデイリーな動きを見せることができるのもイメージがしやすかったです。ロンドンの地下鉄にも見え、色々な面で演出ができそうだなと思いました。それと、他国だと夜の美術館に行くこと、美術館でファッション、映画の上映などは身近にあるけれど、日本ではそういう別活動がなかなかないので、夜の美術館でやりたいと現実化するためにすすめました。

ショーにはTOGAファンの柄本佑さんや安藤サクラさん、榮倉奈々さん、紅甘さんなど女優・俳優や、そのほかたくさんの人が来ていて、TOGAがみんなにウェルカミングされているという印象がありました。

皆さんそう言ってくれて嬉しかったです。温かく迎い入れられる感じがあった。最近皆さんがフィナーレを携帯で撮るようになってから、カメラに夢中になって拍手があんまり聞こえないんです。今回は皆さんの拍手と歓声で自分の気持ちも自然と前に出てあの長いエスカレーターを自然に降りることができました。(前に)行ったら、みんなが温かく迎えてくれるから、ちょっとづつ前にいっちゃう、みたいな。でもちょっといってみたら遠いぞ、戻ろうって(笑)

Photo by Gaku

今回ロンドンで見せたショーをもう一度東京でやるということでしたが、2人のスタイリストと(ジョディ・バーンズと北村道子)と仕事して感じたことを教えてくれますか?

いままでスタイリストと組んでルックをコーディネートしたことがなく、ジョディとの組み合わせは、初めての経験でした。

ショーのときに、スタイリストはいなかったんですか?

いないの。私が全部やっていました。ジョディからは「今までのTOGAのコーディネートはフォーカスする点が多すぎる。僕が入るんだったらTOGAのステージが上がるようにスタイリングしたい」と言われました。色々なディテールを抜いて洋服の一番強いところを見せること。それは第三者にみてもらってはじめて感じることで、面白い!と思いました。それに加えて、北村道子さんが今回の東京でのショーでさらに引いてヌード感を出す提案をしてくれました。自分の迷いの中途半端さが一番良くないんだと気づかされました。国が違えどこう2回続けて強さを教えてくれるスタイリストと出会えてラッキーでした。「TOGAの服って本当は細かいことをしなくても一個の主張だけで耐えうる服だから、もっとそこをフォーカスしましょう」と。

Photo by Shun Komiyama

一人でやっていると絶対気づかないじゃない?

絶対自分だけでは気づかないと思った。

このスタイリスト2人がやって、一段も二段もリアクションが上がったという感じがしたし、そう思ってる人も多かったんじゃないかなと思います。

現在においてショーって特別なスペクタクルというというより、デイリーなものに置き換えられることがとっても大事です。変に狙ったアクセントはいらないし、それをやるのはもう時代遅れな気がします。シンプルであることが、強さだというところがあると思います。2人共それぞれ違う分野で活躍していて、ジョディはずっと雑誌や広告をやっているから、どういうマーケットでどういう女性が着るかを意識している。一方で北村さんはもっと、キャラクターにフォーカスしていました。「右ならえじゃなくて、キャラクターやその人のもち味をもっと出しましょうよ」と。それぞれに賛成と反対がありそれを受け入れながら客観視しながら強く一つのイメージを出し続ける。

考えることが尽きなさそうですね。

「変化のタイミングがついに来たんだともっと考えないと」と。自分が好きってだけで完結しているだけだと今までと一緒だと。違うことを要求されてもそれに答えて支持される。新しい関係性をもつタイミングが来た。っていうようなポジティブな意見を聞くとそれに取り組もうと思います。そうなるとデザイナーは私なんだけど、チームとしてTOGAというものをどうしていくのかということを、みんなでシェアして、持たなきゃいけない。

Photo by Kenshu Shintsubo

ショー後にすぐ買えたり、店舗だけでなくオンラインでも展開したりと、デザイナーでありながらビジネスも支えていかなきゃいけない中で、なにか変化はありますか?

あります。ショーはショーで、もちろん今まで通りイメージして作るということがひとつ。その後というのは、どうヴィジュアライズしてそれを広めていくか。それに対してのイメージの方向性がどんなものか。みんながチェックするインスタグラムではどういった方向性で出していくのか。それはキャンペーンだけではなく、すべてですね。やっぱり元々デザイナーズブランドとしてやっているから、そこからはかけ離れたくはない。だから絶対的に世界観の話をしてヴィジュアル作って…そうしていると服を作る以外の仕事の量がとっても多いですね。

昨日のショーにも若い子がたくさん来ていたけれど、どういう印象を受けますか?

とってもチャレンジャー。自分がすごく保守的に見えるくらい(笑)。みんなアピールが上手だなと思います。内面はわからないけど、ファッションにおいて自分のことをどう外にアピールしていけばいいのか、よく理解している印象を受けました。