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お尻のポートレイト:写真家アシュリー・アーミテージ

写真家アシュリー・アーミテージの『Taking Back What’s Ours』は、人間誰もが持つお尻へのラブレター。

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02 June 2017, 11:53am

非現実的な美の理想に疑問を投げかけ、多様なあり方を後押しする写真家でGirls by Girls創始者のアシュリー・アーミテージ(Ashley Armitage)。彼女は、自身の活動を通し、"普通"という概念を問うている。最新のプロジェクトでは女性の身体--とりわけお尻に焦点を当てている。「どんなジェンダーのひとでもお尻は持ってる」と彼女は説明する。「ネット上で女性が性的な対象として見られることが多い。だけど、お尻はジェンダーに関係なく誰でも持っているものだから、いろんなお尻を見せることで、見るひとの視点を問いかけることができる」。そうしてできあがった『Taking Back What's Ours』。制作には2年を要した。モデルには、体格も肌の色も宗教的背景も異なる女性たちが起用された。

『Taking Back What's Ours』での肉体の捉え方は、お尻を性的に見せる従来の手法からほど遠い。それは、ドリーミーで(チークが施されている)、同時にこのうえなくリアルだ(尻えくぼや脂肪線、セルライトも捉えられている)。親密さと遊び心に溢れた『Taking Back What's Ours』は、女性の肉体へのラブレターだ。

このプロジェクトの基になったアイデアは?
『Taking Back What's Ours』の制作を始めたのは2年前。美術学校で美術史の授業をとっていたんだけど、授業で教えられる歴史上の芸術家のほとんど男性だった。それも白人が大半。権力の座についてきたのも、美術史で教えられる巨匠たちも男性。それは偶然じゃないと思う。美術ですら、見せているのは男性の視点(メイル・ゲイズ)から見た世界。でもそれは、この世界の半分でしかない。このプロジェクトでは、私たち(女性)の視点を取り戻して、自分やほかの女性たちをあるがままに表現したかったの。これからは女性が、女性の肉体を定義づけていく番よ。

お尻はジェンダーに左右されることのない部位だと言っていますが、それについてもう少し教えてください。
どんなジェンダーの人でもお尻はあるでしょう。ジェンダーに左右されない、流動的な部位なの。お尻だけ見ても、その人のジェンダーはわからない。ネット上で女性が性的な対象として見られることが多いけど、お尻はジェンダーに関係なく誰でも持っているものだから、いろんなお尻を見せることで、見るひとの視点を問いかけることができる。

チークにはどんな意味が?
アート・ディレクションをしてくれた友人のボニー・ロビンソン(Bonnie Robinson)がメイクしてくれたんだけれど、彼女の答えはこうだった。「優しさとユーモアをもってお尻を見てもらえると思ったの。ポートレイトを撮るときには敬意をもって顔を扱うでしょう。同じ敬意でお尻も扱おうと思った。お尻のポートレイトというアイデアは、とても気に入ったわ。お尻は十人十色。どのお尻も、大きさや形、色、質感も違う。そうしたニュアンスを、照明やメイクで写真に捉えていこうと思った。お尻は大きくて柔かい頬っぺたみたいだから、チークを入れると馴染むのね。それぞれのお尻が持つ魅力を引き立ててくれたと思う」

物体として女性のお尻を捉えるというのはどのようなものでしたか?
物体とは考えていなかったわ。撮影を進めるうちにお尻がそれぞれの個性を持ち始めた。お尻が持つ表情がテーマになっていったの。面白くて、遊び心溢れるプロジェクトになった。お尻が語り始めたような感じ。撮影では、強い友情や仲間意識が感じられたわ。お尻をさらしているんだもの。それ以上に親密な状況ってないでしょう?

見る人に何を感じ取ってほしいですか?
自分に自信を持ってもらえたら嬉しい。脂肪やシミ、セルライトに自分を見出して、自分の身体に誇りを持ってもらえたらと思う。これらの写真の中に少しでも自分自身を投影してもらえたら嬉しい。

このプロジェクトを通して学んだことのなかで、もっとも予期していなかったものは?
友達がみな、それぞれの身体を受け入れ、自信を持っていることに驚かされた。彼らには「もっと自分の体を愛し、大切にしてあげなさい」と教えてもらっているように感じる。

この数年で、あなたの作品はどう進化しましたか?
撮影を始めたころは、美の基準を問おうなんて考えていなかった。ただ、モデルになってくれるという人たちを写真に収めていただけだったの。今では、わたしの作品の一部となってくれるひとたち全員を、あるがままに受け入れようと心がけている。いつでも成長の過程にいるし、学びは終わらないの。

女性の視点(フィメール・ゲイズ)は、なぜ大切なのでしょうか?
女性の視点だけじゃなく、トランスジェンダーやクィア、有色人種、障がいをもつ人など、矮小化されたあらゆる人たちの視点も、遍在する資本主義的な、本質的に搾取的な男性の視点と戦ううえでは大切な視点。矮小化されたグループの人たちが作るアートは、すべて政治的な意味を持つから。

2017年に女性であるということは、あなたにとってどのような意味を持ちますか?
わたしのような白人女性にとっては、自分たちよりも矮小化されているグループの人々に耳を傾けるということを意味していると思う。

未来にかける夢や希望は?
メディアが、もっと女性や有色人種、LGBTQI+、"一般的"な美の基準からは外れた体型の人たちを、広く受け入れてくれる日が早くくれば良いと思う。わたしたちのような考えの人間がメディアの裏方にも増えれば、表舞台で語られる人間の物語は自ずと多様性を帯びていくと思う。

Read: An intimate portrait of the women in Ashley Armitage's life.

@ladyist

Credits


Text Tish Weinstock
Photography Ashley Armitage
Models Lee Hendergreene, Amanda Ochoa, Jessica Butler, Maia Doty
Art Direction Bonnie Robbins
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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