CYK WEARS A DAMAGE DONE 2ND.

アジアへ飛び出すDJコレクティブ:CYK インタビュー

東京を拠点に活動する4人組のDJコレクティブ、CYK。平均年齢は24歳。そんな彼らは、国や言語の違いをものともせず、シンパシーを感じるままにパーティを続けてきた。コレクティブを結成して2年経った今、彼らはどのような景色を見ているのだろうか?

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aug 22 2018, 11:58am

CYK WEARS A DAMAGE DONE 2ND.

2017年12月。渋谷にあるクラブ〈Circus Tokyo〉で430人超えというCircus史上最大級の動員数を記録した夜があった。クラブの外には30分待ちの行列。ひとつのDJコレクティブのパーティで入場規制がかかるのは極めて稀なことだ。そのイベントを仕掛けたのが、東京を拠点とするDJクルーCYKである。

ニューヨークやロンドン、ベルリンから生まれたものがやたらありがたがられたり、日本で生まれた文化でさえも、都市を経由することで「クール」ともてはやされる傾向はかつても今も変わらない。しかし、ここ数年はその流れに変化が見られる。ユースが見据えるのは、アジアだ。リアルに熱を帯びたアジアという新しいエネルギー源に世界中が惹きつけられている。そんな変化を促すひとつの要因に、CYKを筆頭とした、東京に拠点をおく若いコレクティブたちの存在がある。

——CYKというDJコレクティブとして活動し約2年経ちますが、結成した経緯を教えてください。
あるハウスパーティを主催しているオーガナイザーの方から、メンバーのひとりがパーティをやってみないかと誘っていただいたのが発端です。それでパーティで知り合った同世代の4人でオーガナイズすることにしたのですが、音楽的な方向性でもシンパシーを感じ、かつひとりでやるより面白いことがやれそうなメンバーを集めました。CYKという名前に特に意味はないです。「Check Your Kitchenの略だろ?」ーとか冗談で言われていますが。

——メンバーの役割を教えていただけますか?
基本全員でDJをしていますが、Kotsuはいろいろな人たちを巻き込むのが得意なミッドフィルダー。Nariは音楽的にもコレクティブの活動でも先陣を切って動くフォワード。そしてDJ No Guaranteeの冷静さはコレクティブの活動やプレイのまとめ役的なボランチ。そしてムードメーカー役のNaoki Takebayashiは、なんでしょうね、応援団長みたいな感じです。

KOTSU WEARS T-SHIRT MARTINE ROSE. HOODIE HAIDER ACKERMANN.

——コレクティブで活動することのメリットを教えてください。
ひとりだとリスクを恐れてしまい思い切ってできないことが、4人集まることで、自由に、ある意味、好き勝手できることです。大箱でパーティを開催できるようになりますし、気持ち的にも盛り上がる。ソロで出演するパーティでは、若手DJがピークタイムでプレイする機会が少ないので自分だけではどうしようもないことがたくさんあります。そんな現状に対して、自分たちが本当にやりたいことをパーティやDJで表現するためには、自ら場所を作っていかないといけないと思うようになったんです。結果、去年のCircusで最高の夜をみんなで経験できたように思います。

——CYKの動き同様に、世界でもさまざま次世代の表現者がコレクティブを作って活動するようになってきています。そんななか、CYKのオリジナリティとは何だと思いますか?
コラボレイティブな関係性を構築していくことだと思います。例えば、Mall GrabというオーストラリアのDJを招待してパーティを開催したときは、フラワーアーティストLOYALTY FLOWERSによる演出やtokyovitaminのkenchan tokyoによるブラウン管テレビを使ったVJを依頼しました。また最近、CYK TOKYO RADIOというミックスのネット配信を始めまして、ここでは有名無名関係なく、自分たちが共感できるアーティストをフィーチャーしていきます。このように周りの人たちとお互いにサポートし合い、点ではなく、面として、つまりシーンとして盛り上げていくのが、CYKの特徴だと思います。

DJ NO GUARANTEE WEARS TOP FRED PERRY × RAF SIMONS. JEANS VINTAGE FROM CHICAGO HARAJUKU.

——そして今年の2月にはCYKとして海外デビューとなる韓国ツアーを終えました。Seoul Community Radioというインターネットラジオ、それに現在話題になっているContraやPistilという2カ所のクラブでプレイしました。振り返ってみてどうですか?
すごく楽しいツアーでした。オーディエンスの年齢層が日本と比べて全体的に低く、日本ではあまり感じられないエネルギッシュさがありました。それと同時に、日本にしかないものも見つけることができたのは貴重な経験でした。例えば、朝方“ゾンビ”のように無意識で踊り続ける大人たちには、韓国にはあまりいませんでした。僕たちは、先輩たちからいい音楽だけでなく、遊び方も教わっていました。“ゾンビ”を含め、日本のシーンがこんなにも面白いということを再確認できたツアーでした。

——CYK TOKYO RADIOでの活動、一貫性のあるデザインのフライヤー、さらに英語でのイベント告知など、海外を意識した動きが見られます。海外へ向かうCYKの原動力とは何でしょう?
あらゆる条件を超えてバイブスが合う人たちといい音楽を楽しみたいという気持ちかもしれません。パーティや音楽において「日本っぽさ」は何かと聞かれたら、まだはっきりと答えられる自信がありません。だからその答えを見つけるためにも国外に出て行きたい。ここ2、3年、中国や台湾、そして東南アジアなどでも、新しいクラブが次々とできていて、フェスシーンも盛り上がっています。韓国ツアーへ行って、自分たちの知らないところにかっこいい人たちがいるのを知ったように、世界で起きていることを、実際に目で見て感じたいです。

NARI WEARS JACKET NAPA BY MARTINE ROSE. T-SHIRTS RAF SIMONS. CAP DAMAGE DONE 2ND.

——クラブカルチャーはこれまで欧米のカルチャー先進都市が主役の時代だったと思いますが、近年では日本人アーティストがニューヨークのクラブを満員にするという事例などもあり、世界中がアジアの才能に注目しているように感じます。東京というアジアの一角で活躍するCYKが感じるアジアの魅力とは何だと思いますか?
日本のクラブシーン全盛期は90年代だったと思いますが、今はその時期に比べると勢いがないのでしょう。でも僕たちはその全盛期を体験していないので知らない。だから全盛期と呼ばれるような時代を作りたいし、感じたいので自分たちが作っていくしかないと……。だからこそ、中国や韓国をはじめとする発展途上のシーンが注目されてきているアジアにシンパシーを感じていますし、心強い味方が身近にいるのは嬉しいかぎりです。

NAOKI TAKEBAYASHI WEARS COAT ANN DEMEULEESTIER. T-SHIRTS VETEMENTS.

——いちばん楽しい瞬間とはどんなときですか?
オーディエンスやDJも含めて、全員が楽しかったと思える場所を作ることができたときです。そのためにDJとしてのプレイはもちろん、パーティの形態などもつねに更新したり工夫しています。8月末に開催するメンバーだけのオールナイトロングパーティは、その両面からの更新を試みるパーティでもあります。最近は、嬉しいことに海外で活動するアーティストから連絡をもらうことも増えています。CYKと共演したアーティストたちが周りのアーティストに話しをしてくれているようで……。日本国内はもちろん、海外の人たちとの横の繋がりも大切にしていきたいと思っている僕たちにとって、これはものすごく嬉しいことです。

——これからどのようなコレクティブになっていきたいですか?
東京には素晴らしいパーティがたくさんあります。単発で終わってしまうのがもったいないくらいかっこいいパーティも。だから僕たちはいい音楽でいいパーティを続けていく。CYKは、メンバー同士を信頼しているし、来てくれるお客さんも信頼しています。最高な音楽と最高な仲間がいてくれたら、“全盛期”と呼ばれるような明るい未来が見えてくる気がします。

音楽は文化の違いをフラットにさせてくれるメディアであり、言葉がないからこそフィーリングで他者とつながることができるアートだ。 音楽中心の日々を過ごすCYKにとって、国境線や言語の違いはなんでもない。上海、韓国や台湾にも、ここ数年でより成熟したカルチャーを持ったアンダーグラウンドのクラブやDJコレクティブが出現してきた。それらは、今まで音楽の世界で優勢だった欧米とは異なる価値を持った文化だろう。今こそ、アジアに目を向けて、価値を高めていくときではないだろうか。

ダンスフロアで感じられる喜びは主観的なものだが、その主観的な喜びを作り上げる過程でもっとも重要なのは周りにいる他人だ。ダンスフロアで同じ音楽にまみれ、それぞれの喜びを同時に共有することにこそパーティの本質がある。ベッドルームで音楽を聴いているだけではできない時間の過ごし方は、あなたの未来を少し変えるかもしれない。ぜひ1度、パーティに行ってみてほしい。あなたはその表情や振る舞いひとつで、DJの選曲やフロアの雰囲気を変え、その場にたまたま居合わせた、それまで他人だった人たちの夜をまったく違うものにする可能性を持っているのだから。

『CYK ALL NIGHT LONG』
日時:8月24日(金)OPEN 22:00
場所: CIRCUS Tokyo 東京都渋谷区渋谷3-26-16
出演アーティスト
CYK Crew (Nari, Kotsu, Naoki Takebayashi, DJ No Guarantee)

Entrance Free

Credit


Photography Kenta Sawada
Styling Takayuki Tanaka
Hair Yusuke Morioka
Text Arisa Shirota