「女性であること」についての覚書き:アレクサ・チャン

ヴァージニア・ウルフにインスパイアされ、ブルームズベリー・グループの面々へのラブレターが洋服に形を変えたようなコレクションを発表する、アレクサ・チャン。モデルで文筆家、TV番組の司会者であり、ファッション・ブランドALEXACHUNGの創設者にしてクリエイティブ・ディレクターでもある彼女が、「女性であること」についての覚書きを披露してくれた。

by Audry Hiaoui ; translated by Atsuko Nishiyama
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18 April 2018, 7:55am

〈ヴァージニア・コレクション〉はオンラインストアで販売中。私は正しく「女」できてる? あなたと私のやり方の違いは? それってそんなに大事なこと? 「女性として生きること」をめぐる不確かな思いは、ときに誰しも感じるもの。「Notes On Being A Woman(女性であることについての覚書き)」は、女性であることの意味やそれにまつわる神話について考える、進行中のシリーズ。

モデル、TV番組の司会、スタイルアイコン、ジャーナリスト、文筆家、ファッションアプリのプロデューサー、そして新たに自らの名を冠したブランドを創設し、クリエイティブ・ディレクターに就任したアレクサ・チャン。34歳の現在までに、このちっぽけな青い惑星のあらゆる領域を制覇してきた。イギリス・ハンプシャー州の田舎村プリヴェット出身の彼女は、16歳のときにレディング・フェスティバルでコメディ・テントをうろついていたところをスカウトされる。そしてモデルの道での成功を目指し、大学進学の計画を止めてロンドンに移り住んだ。しかし程なくしてテレビの世界に方向転換を図り、2006年にはチャンネル4の「Popworld」の司会者に。二日酔いを抱えながらイギリス中を駆け巡った。さらに3年後には渡米し、自身の番組『It's On With Alexa Chung』を持った。

アレクサはこれまでにAG JeansやMadewellのためにカプセルコレクションをデザインし、Eyekoとのコラボレーションを展開。またファッションアプリ「Villoid」をリリースし、Mulberryから自分の名前のついたバッグを発表した。さらにブリティッシュ・ファッション・アワードで三年連続ベスト・ブリティッシュ・スタイル賞に輝いている。彼女は確かに素晴らしいスタイルの持ち主だ。

7年暮らしたニューヨークを離れ、英国の地に戻ってきた彼女は2017年、自らのブランドALEXACHUNGを創設した。最新の〈ヴァージニア・コレクション〉は、ヴァージニア・ウルフとブルームズベリー・グループに宛てた、ファッションという形のラブレターだ。例えばオーバーサイズのラッフルの襟、ゆったりしたスモックドレス、花の刺繍の入ったチェック地、チャールストンからヒントを得たプリント、セーラージャケットや、遊び心たっぷりのダンガリー生地のアイテム。コレクションを発表したばかりのアレクサが、「女性であることについての覚書」を教えてくれた。

女性であることについてもっとも気に入っているのは:男性たちに課される「男性らしさ」という息苦しい規範の外側で、物事を進められること。いまこの時代に女性であることは、特に刺激的で楽しい経験だと思う。観られるだけの存在から、意見を訊かれる存在になってきている、まさにそんな時期だから。

女性として生きる上でもっとも大変なのは:月ごとに生理の始まった日をメモするのを忘れないようにすること。そうすれば次の月のある時期に、なぜ自分がこんなに悲しい/傷つきやすい/怒りっぽい/すぐお腹が減るのはなぜか、すぐわかるでしょ。生理痛は辛いし、トイレに行くとき袖の内側にタンポンを隠し持つのも面倒。だからもう隠すのは止めて、堂々と手に握ったまま部屋の真ん中を歩いていくことにしようかな、と思っている。

「愛」を定義するとしたら:そんなに簡単に定義できるなら、偉大な芸術も、文学も、音楽も、ダンスも、映画も存在しなかったでしょう。だから、「愛」が捉えがたいものであることに感謝している。自分のことを言うなら、誰かといて完璧に居心地がよく、これで正解、と思えるときに愛のある状況だと感じる。

人間の体について今までもらった最良のアドバイスは:医療へのアクセスが一切ない無人島に取り残されたとき、いざとなったら漂流したヤシの実のミルクで輸血ができる。本当かどうかはわからないけど、聞いていておもしろかった話。

16歳の頃に誤解していたことは: そのくらいの年齢までには、将来何がしたいかを決めていなければいけない、と思っていた。40歳くらいまでの人生の展望がその頃に見えていなければ、すでに失敗が始まっているように感じていて。でも幸運なことに、私の両親は気楽で自由な人たちだった。結局は学業を1年休むことにしてモデルの道に進み、私の最終学歴はシックス・フォーム(イギリスの中等教育で最後の2年間を指す)になった。でもそれ以来、その頃の想像をはるかに超えるほどいろいろなことを達成してきた。

女性であることについて、ハリウッド映画から学ぶことはあまりなかった:映画の登場人物には、私を慰めてくれる女性も共謀者になれそうな女性も見出せなかった。憧れることは多かったけど、本当に共感できる女性像にはほとんど出会えなくて。女性であることについて教えられたのは、現実を生きるなかで。それと、私の母からも。母はいつも物事をきちんと説明してくれるし、私がストレスいっぱいで電話をかけても、いつも賢明なアドバイスをくれるの。

私がもっとも幸せなのは:友だちとカラオケで歌っているとき。カタルシスそのもの。

尊敬するのは、笑わせてくれる女性たち:女性に出会って、その人を尊敬するようになる決め手はいつも、ちょっと黒いユーモアのセンス。だけどもちろん、ソフトで洗練された女性も素敵だと思う。そういう女性らしさというのも、私にはすごくパワフルなものに感じられる。

歳を重ねることのもっとも良い点は:じっくり時間をかけて、テッパンのエピソードにどんどん磨きをかけ、よりいっそうおもしろく語れるようになってきていること。

歳を重ねることにまつわる最大の嘘は:それが身にしみて感じられるものであるということ。私はいまだに自分は20代だという感覚が抜けないの。

大人になったと感じるのは:いいシャンプーにお金を使うとき。

(前回このシリーズに登場した)アニー・レノックスからの質問「〈フェミニスト〉という言葉をあなたはどのように定義しますか?」:私は誇りを持ってフェミニストを自称している。最近の何年間かで、この言葉は新たな力を得てきたと思う。自分をフェミニストだと思うか、と恐る恐る質問されたのはそれほど前のことではないけれど、いまや有名なブランドの商品にもこの宣言がプリントされているでしょ。

次にこの連載に登場する女性への質問は:もしあなたに息子がいたら、女性について、彼にどんなことを教えますか?

〈ヴァージニア・コレクション〉はオンラインストアで販売中。

This article originally appeared on i-D UK.