オカモトレイジ interview:この男、人DJにつき

OKAMOTO’Sのドラマーとしてメジャーシーンで活躍する一方で、独自のイベントやエキシビションを開催するなど、さまざまなカルチャーを横断する個人活動が注目を集めているオカモトレイジ。その先鋭的な審美眼とコミュニケーション能力はどのように磨かれたのか?

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apr 20 2018, 3:19am

オカモトレイジは中学時代の同級生と結成したロックバンド、OKAMOTO’Sのドラマーとして19歳のときにアリオラジャパンよりデビューした。卓越した演奏力と音楽愛によって蓄積された豊富な知識量もあいまって、“恐るべき子どもたち”と呼ばれた彼らも今年27歳になった。早くからミュージシャンズミュージシャンとも言える立ち位置を築き、世間に媚びることのない粋な姿勢を貫く音楽人生の階段を上っているOKAMOTO’Sだが、レイジは自身の個人活動でも注目を集めている。さまざまなカルチャーを横断しているレイジの交友関係は驚くほど広く、深い。記憶に新しいのは、彼が主宰しキュレーションも手がけた〈YAGI〉という“エキシビションマッチ”だ。2017年11月に中目黒のWK Galleryにて24時間限定で開催されたこの“エキシビションマッチ”には、ヒップホップクルーKANDYTOWNからIOとKEIJU、TTT_MSWのデザイナー玉田翔太、映像作家の山田健人、謎多きラッパーQiezi Mabo、札幌のポストハードコアバンドthe hatchなど、多種多彩な17組のアーティスト=レイジの友人たちがクリエイトした作品が集結した。そのどれもが類似するものがない作品に囲まれた空間は無軌道で、そして実に刺激的だった。

「普段、俺がよく遊んでいる友達には音楽を作るやつもいれば、服を作るやつもいるし、絵を描いてるやつもいて。みんなと一緒に面白いことができるなと思って〈YAGI〉を開催しました。当初のイメージでは東京に乱立しているカルチャーを全部集合させたデパートのようなポップアップを開催しようと思っていたんですけど、結果的には少しコアな内容になりました。でも、〈YAGI〉をきっかけに知り合った人もたくさんいて。たとえばコラージュアーティストのYabiku Henrique Yudiはたまちゃん(TTT_MSW)がInstagramで見つけてきて、いきなりDMを送ってオファーしましたね」

レイジに自らのアンテナに引っかかる人や作品の基準を訊くと、こう答えが返ってきた。「そこは本当に申し訳ない話ですが、感性でしか判断できないというか。今はネットで調べたらすぐになんでもわかるし、説明できてしまう時代じゃないですか。だからこそ、これからは言葉にできない部分──なんの文脈もなく突然現れたものを見てどう感じるかが重要になってくると思っていて」なるほど、では、先鋭的なレイジの審美眼と、高いコミュニケーション能力はどのように磨かれたのか。彼のそれはまるで優秀な編集者のようだ。

「そもそも母親が編集者ですからね。その影響もあるかもしれないです。PHINGERINというブランドをやっているデザイナーのコバくん(小林資幸)に『レイジは人DJだから』って言われたこともあります(笑)。歳上も歳下も関係なくフラットに、でも失礼なく接することができるのは母親から受け継いだものかもしれないです。まず、俺は誰に会っても興味を覚えることから始まっていて。興味を持たないと、その人がどんな人かもわからないと思うので。だから、初対面の人に失礼な態度は絶対に取らないし、歳下の子だとしても最初は敬語で話します。人に対する礼儀は大事にしないといけないと思いますし、それは18歳の1月から丸1年アルバイトをしたライブハウス〈新宿紅布(レッドクロス)〉で教わったことでもあります。紅布の店長の猪狩(剛敏)さんは自分にとって恩師で。やっぱり俺は人との出会いに相当恵まれているんだと思います」

もちろん、人との出会いを活かすのは、彼の行動力に他ならない。「最近いろんな人と話している中で気づいたんですけど、だいたいのことはやろうと思えば実現できるなと。ほとんどの人がやりたいことがあっても諦めがちな気がしていて。でも、何かをやりたいとか、何かを作りたいとか、すべて自分からやろうと思えばできること。というのがどこかでわかっているから、俺は結果的にだいたいのことが個人レベルでは実現できているんだろうなと思います。もちろん、それを生業にするとなるとある程度の評価をされないといけないからまた話は別ですけど。でも、評価されなくてもいいし、たとえ赤字になってもその作品を生むことができたのなら、それでいいと思えることがアートだと思うんです。そこに気づいたらもっと多くの人の人生が楽しくなるんじゃないかと思います」

レイジは2016年にKANDYTOWNがメジャーデビューする際のA&Rを務めた。現役のバンドマンが裏方仕事に回ることは日本の音楽シーン、特にメジャーでは極めて異例だが、彼にとってそれは自分の感覚を活かす学びの場であり、OKAMOTO’Sでオーバーグラウンドの現場を知っている自分だからこそできる友人たちのサポートだった。「俺にとってOKAMOTO’Sというのはリビングのような場所で、やっぱりメインなんです。それとは別に個人的な趣味に関することは自分の部屋で楽しんでいるような感覚というか。自分がOKAMOTO’Sとしてメジャーの場にいることはすごく大事にしています。今のバンドの環境を十分に理解したうえでアンダーグラウンドを知っていることが自分の中で大きくて。俺がやっていることはさまざまなルールをかいくぐりながら緩くして、拡張していくようなことだと思っていて。時代とともにシステムは変わっていくから、そのローションになれたらいいなと(笑)」

どこまでも真摯に、自由に。オカモトレイジは仕事と遊びを楽しみながら、自らの感覚というアンテナがキャッチしたものを他者にシェアする。最後に、夢を訊いた。「いっぱいありますが、ここ最近はK-POPにハマってるということもあって、日本語、韓国語、英語を話せるトライリンガルになりたいです(笑)」

Credit


Text Shoichi Miyake.
Photography Riku Ikeya.
REIJI WEARS ALL CLOTHING MODEL’S OWN.