Images courtesy of The Design Museum

クチュール界の巨匠、アズディン・アライアの回顧展がロンドンで開催

伝説のクチュリエ、アズディン・アライアの作品と歴史を存分に体験できるエキシビションが、ロンドン・デザインミュージアムで開催している。

by Felix Petty; translated by Ai Ito
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15 May 2018, 5:51am

Images courtesy of The Design Museum

ロンドンのデザインミュージアムが、ケンジントン地区に移転・再オープンした。新館のこけら落としとなる展覧会の栄誉をアズディン・アライアに、と決めたとき、今は亡きクチュリエでありシューズデザインの巨匠である彼もまさに同様のことを考えていた。2017年11月に急逝する前、アライアはロンドン旗艦店のオープニングの準備期間にこの美術館を訪れながら、特別ななにかをその場所で成就させたいと願っていたのだ。

その結実が今回の展覧会「Azzedine Alaïa: The Couturier」である。5月10日にスタートした本展だが、その計画は2017年初頭からはじまっていた。「展示のコンセプトは、すべてアライア自身から提案されました」と同ミュージアムのディレクターであるアリス・ブラック(Alice Black)は説明する。「彼の行動には推進力がありました。彼のような才能、創造力の持ち主に何かを課すことなどナンセンスに思えたのです」

アライアが提案したのは、彼の作品をブルレック兄弟(Ronan Erwan Bouroullec)、コンスタンティン・グルチッチ、マーク・ニューソン、クリス・ラズ(Kris Ruhs)をはじめとしたインダストリアル・デザイナーの作品と併せて(アライアと彼らとの対話とともに)展示するというものだった。

このコンセプトは、アライアが以前にも取り組んだものでもある。2015年にローマのボルゲーゼ美術館にて行われた「Couture/Sculpture: Azzedine Alaïa in the History of Fashion」で、彼の作品はバロック芸術の巨匠ベルニーニの彫刻、またはカラヴァッジオの絵画と対をなすかたちで展示されていた。アライアの美は、古典と現代、そのあいだのどこに置いても馴染む普遍性があるのだ。

「ファッションは絶えず時間に縛られています、業界の速さは過酷です」と、アライアとの仕事に魅了されたアリスは言う。「6ヶ月ごとに新しい変化、新しいルックが現れる。そのことにアライアは憤りを感じていました、彼は真逆の立場にいた。時代を超越していた。現代はすべてがとても速く、一時的ではかないものですが、彼は、不変性、美、技術、才能、クラフトマンシップといった対照的な分野で成功を成し遂げた人なのです」

9ヶ月の準備期間が過ぎた2017年11月、突然の訃報が舞い込んだ。それに伴いデザインミュージアムは岐路に立たされることになった。推進力と情熱を持った展覧会の中心人物がもういない、となったら残された者たちはどうするべきだろうか。ロンドンで最初の回顧展を行うということは、どんな企画であろうと、彼の才能への賛辞に見合ったものでなければならない。

一度は企画が頓挫しかけたとアリスは話す。しかし彼らは、アライアが残したものを使用して続行することを決めた。「キーコンセプト、核心部、そして展示の大枠はアライアがつくったものです。アライアはドレスとデザイナーの作品の組み合わせをすでに選んでいました。亡くなる前にドレスをすべて作りなおしていたのです」

「この展覧会を彼が望んだとおり、誠実にとり行うことに、私たちは全力を傾けました」と彼女は続けた。「アライアが残した強いコンセプトがありましたから、展覧会を通して彼の声が聞こえるようにすることはとても重要なことでした。彼の最期を展示に加えるにあたり、少し変更もありましたが、ほとんどアライアの構想どおりの内容になっています」

そのうえで、彼らはアライアの写真、コレクション、フィルム ──彼が作り出した作品を生き生きとさせるような 伝記的要素を展示に加えた。それが、ジャンル、時代、場所、スタイルのすべてに橋を架けた彼のキャリアに文脈とピリオドを与え、技能の幅をつまびらかにしている。この展覧会は彼の人生と魂そのものなのだ。

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This article originally appeared on i-D UK.

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