Photography Mitchell Sams

8人の女性アスリートが登場 Off-Whiteの「オリンピック」

陸上の世界的スター選手がトップモデルたちと肩を並べてランウェイを歩いた。

by Steve Salter; translated by Ai Nakayama
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04 October 2018, 7:13am

Photography Mitchell Sams

テニスの女王セリーナ・ウィリアムズとコラボした〈QUEEN〉を発表したばかりのヴァージル・アブロー。Off-Whiteの2019年春夏コレクションでは、Nikeの契約アスリート8名を起用し、彼女たちを称えた。Nikeの代表的シルエットにひねりを加え、再解釈したアイテムで知られるアブローは、今回のコラボでは、もっと人間そのものにフォーカスし、〈アスリート〉という人間像からインスピレーションを得た。

2017年、Nikeとのコラボ第1弾となる〈THE TEN〉がスニーカー業界を席巻して以来、スポーツウェアの最大手企業とアブローのコラボレーションがアパレル進出するのも時間の問題だった。米国陸上女子100mの覇者イングリッシュ・ガードナー、フランス代表中距離走者のレネル・ラモット、香港を拠点に活動する走高跳選手のセシリア・イェン、英国代表短距離走者のディナ・アッシャー=スミス、三段跳のコロンビア人金メダリスト、カテリーン・イバルグエン、米国代表走高跳選手のヴァシュティ・カニンガム、ベルギー代表七種競技選手のナフィサトウ・ティアム、英国代表七種競技選手のカタリーナ・ジョンソン・トンプソン、という各々立派なトレーニングを重ねてきた計8名のアスリートが、解体されたユニフォームをまとう。遊び心があり、手仕事を賛美し、蛍光色のトレンド満載の、〈スポーツウェア〉を進化させた、ハイブリッドなワードローブだ。「私たちは、括弧付きの〈スポーツウェア〉をつくっています」とアブローは説明する。普段着としてもオシャレ着としても更新された衣服。私たちはみんな、〈Off-Whiteオリンピック〉の勝者になれるのだ。

ヴァージル・アブロー自身も、ファッションの障害物を跳び越えてきた。アウトサイダーの新人としてシーンに登場した彼は、今やフランスを代表する格式高いファッションブランドのトップの座に就いている。今回のショーに先んじて、アブローはハンドカットのチュールドレスにNikeのランニングシューズ〈Zoom Vaporfly Elite Flyprint〉のアブロー・オリジナルを合わせた写真をInstagramに載せ、こんなキャプションをつけた。「このスニーカー、この写真に写っているすべてのアイテムは、制作するのに一生分の時間がかかっている」。この投稿を見逃したとしても、ショーを観れば、その途方もない仕事ぶりを自ずと理解できる。それこそが、現在のアブローの地位を築いたのだ。トラックに登場したベラ・ハディッドとケンダル・ジェンナーが写真判定にもつれこんでいる、そのうしろから、手でカットしたNikeのスポーツソックスが施されたシャツドレスをまとったカイア・ガーバーが追いかける。ショーが始まる前には、黒人女子陸上選手のパイオニアで、生涯で3度金メダルを獲得したウィルマ・ルドルフの声が会場に響いた。「遠くまで走れば走るほど、私は速くなる。最後の最後まで、私は加速できる。それがカギです」。このメッセージは、アブローとOff-Whiteにも共通している。

「スポーツはファッションと同じように、様々な文化を融合し、障壁を壊し、人間の精神力を称える共通言語です」とアブロー。「今シーズンは、アスリートの声やスポーツの力にインスパイアされ、世界じゅうにポジティブな、力強い変革をもたらしたいと考えました」。業界内で名声を築き、ラグジュアリーブランドのトップの座を奪取した彼の首には、金メダルがかかること間違いない。しかし、彼はそれ以上の高みを目指している。革命はテレビではなく、ライブストリーミングで見届けることになるだろう。

This article originally appeared on i-D UK.

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