平成生まれのクリエイター4人が選ぶ、「平成の名コラボ」14選

PARCOの2018-19年秋冬ファッション広告を手がけた嶌村吉祥丸、山田健人、星加陸、半澤慶樹の4人。Vetementsから南北首脳会談まで。彼らが選ぶ「平成の名コラボ14選」を一挙紹介! あなたはいくつ知ってる?

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sep 14 2018, 8:45am

ファッション界に限らず、世の中には「コラボレーション」が溢れている。“合作”という意味でのコラボは、決して今に始まったことではない。こと美術の領域では20世紀初頭から盛んに行なわれていたし、企業同士が知見を交換しあってパートナーシップを取ることも一種のコラボと言えるだろう。特に1990年以降はあらゆるものが既知となり、「コンビネーション(組み合わせ)」が新しいものを求める術として台頭していった。もしかすると平成は、コラボレーションの全盛期だったのかもしれない。近年は話題づくりのための「コラボ」が雨後の筍のように現れている。30年間続いた平成も残りわずか。そんな節目に、いま一度、もはや当たり前と化した「コラボレーション」を考え直してみたい。

今回i-Dでは、先週発表となったPARCOの新ファッション広告を手がけた“平成生まれ”のクリエイティブ・チームの面々——写真家の嶌村吉祥丸、映像作家の山田健人、アートディレクターの星加陸、PERMINUTEデザイナーの半澤慶樹に、“平成の名コラボ”を選んでもらった。ここから見えてくる、良きコラボレーションのあり方とは? コラボ的創造力とその可能性を探る。

1. THE M/ALL(2018) selected by 嶌村
「音楽×アート×社会をひとつにつなぐ」をテーマにした新感覚都市型フェスが、2日間開催された。ミュージシャンやDJによるライブだけでなく、トークセッション、アーティスト・イン・レジデンスなどのさまざまな企画が催された。「社会問題や政治の問題が日々叫ばれるなかで、クリエイティブや純粋な音楽を通してメッセージを伝え、共感し、そしてそれをシェアする。SNS時代において、生の体験がより重要であることを再認識したアーティスト・学生・ミュージシャンを中心に企画され、ジャンルにとらわれずに様々な問題意識を持ちながら、一人ひとりがこの社会をより良くするため、より面白くするために動き出した。このイベントでは、議論を伴った実験的・実体的なコミュニケーションが取られたのです」

2. Farrow Designによる、Spiritualized『Ladies And Gentlemen We Are Floating In Space』のパッケージデザイン (1997) selected by 星加
「僕が音楽を知るきっかけとしてグラフィックデザイナーの存在が先行する場合が多く、なかでもイギリスのアートディレクターであるピーター・サヴィルと、Farrow Desginを率いるマーク・ファローは僕のなかでヒーロー的存在。デザイン専攻だった高校時代、教室の棚にあったFarrow Designを特集した『アイデア』を読み、喉から手が出るほどほしいアルバムを見つけました」。それがスピリチュアライズドの3作目となるアルバム。「ピル・パック仕様のアルバムは、CDを錠剤に模してアルミ封されているため、破らないと取り出せないというもの。音楽の表現領域がさらに厚みを増して消費された作品だと思います」

3. ビックロ(2012) selected by 半澤
「ビックカメラとユニクロの協同出店によって2012年9月に新宿に誕生した商業施設。フロア内で両者が入り乱れる様子は新鮮でした」。地下3階、地上8階建て。ロゴデザインやテレビCMといった店舗のトータルプロデュースはクリエイティブディレクターの佐藤可士和が担当した。「僕が上京したてのタイミングで完成したこと、大学のある新宿には毎日通っていたこともあり、いくどとなく足を運びました。カオティックな新宿の土地柄や店舗のエントランス・ディスプレイのキャッチーさも相まって、インバウンドの一大観光スポットにまで上り詰めたのは素晴らしいと思います」

4. 南北首脳会談 (2018) selected by 山田
4月27日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と韓国の文在寅大統領による南北首脳会談が、軍事境界線がある板門店の韓国側施設「平和の家」で始まった。「北朝鮮の最高指導者が歴史上初めて韓国に足を踏み入れたのは、間違いなく平成最大級のニュースで、歩いて踏み超えた点も含めて今後の南北問題における大きな節目の瞬間になったと思う」

5. 卓球世界選手権で南北合同チーム結成 (2018) selected by 山田
「スポーツというカテゴリの持つ平和と平等さの線引きや、南北の情勢も含めた異例のコラボレーションです。スポーツ・芸術分野以外では情勢的にも考え難く、これまでなかったことが即席で実現したという話題性も含めて選びました」

6. PANDA BLACK REWEAR PROJECT「WWF Japan x 株式会社京都紋付」(2013〜) selected by 嶌村
環境保全団体として設立されたWWF(World Wide Fund for Nature)が、大正4年創業以来、一点一点を職人の手によって仕上げられる京黒染め一筋の「京都紋付」と手を組み、“REWEAR(もう一度着る)”という文化を推し進め、一着を長く着まわすことで環境への負荷を減らしていく活動が〈PANDA BLACK〉だ。「汚れや劣化によって着る機会が減った服を、伝統的な染物屋さんが染め直し、新しく生まれ変わらせるというプロジェクト。日々新しい服が生み出され消費されているなかで、今持っているものを大事にしようというメッセージとともに、シンプルに染め直すことによって服の新たな一面を発見できるというもの」

7. “m-flo loves Who?”シリーズの時代 (2003〜2008) selected by 半澤
1998年に同級生だった☆TakuとVERBALの2人で活動をスタートし、ボーカルのLISAが加入して本格始動したm-flo。2002年にLISAがソロ活動に専念するためm-floを離脱した翌年、日本の音楽史に“featuring”の概念を定着させたともいえるこのシリーズが始まった。「毎回異なるボーカルを採用して楽曲制作する姿勢と、彼らの“未来志向”な作品が重なり合っていて強く印象に残っています。ボーカルは有名無名問わずジャンルレス。当時のJ-POPではまだフィーチャーされていない人選には、他にはない新鮮さがありました」

8. 祖父江慎が装丁を手がけた、楳図かずお『復刻版 漂流教室』(2007) selected by 星加
週刊少年サンデーで1972年から1974年まで連載された『漂流教室』は、大林宣彦監督によって映画化(楳図かずおも出演!)もされた不朽の名作。2007年10月から12月にかけて、楳図作品復刻プロジェクト“UMEZZ PERFECTION!”の第8弾として、祖父江慎が装丁を手がけた全3巻が発売。「圧巻です。楳図作品でいうと『わたしは真悟』『おろち』と悩むけど、いちばん好きなのは『漂流教室』。背を並べて収納するか、小口に刷られた高松くんたちを3巻並べて収納するか……なんて考えるうちから楽しいですね」

9. ENGINEERED GARMENTSによるラーメン店〈一風堂〉のユニフォーム(2014) selected by 嶌村
2014年に豚骨ラーメン専門店〈一風堂〉が、ニューヨークに進出。「NYにベースを構えるENGINEERED GARMENTSが、〈IPPUDO NY〉のスタッフ・ユニフォームをデザインしました。今や国際的な食文化のなかでも人気の“Ramen”に対して、日常的で大衆的なイメージだけではなく、ENGINEERED GARMENTSらしい要素がデザインに取り入れられています」

10. 鴻海精密工業のシャープ吸収合併 (2016) selected by 山田
台湾の電子機器受託製造大手・鴻海(ホンハイ)精密工業が、2016年3月30日の取締役会で経営再建中のシャープに3888億円を出資し、買収することを決めた。「アジア、特に中国における経済成長が注目されるなかでの出来事。日本の歴史のなかで確かなブランドを提示し続けたシャープが買収されたことは、さまざまな側面からみても非常に大きなニュースで、なおかつ、その後の純利益増加やグローバル化の成果を見ても日本の技術産業にとって重要な出来事だった」

11. Vetementsの2017年春夏コレクション(2016) selected by 半澤
「2016年7月にパリの〈ギャラリー・ラファイエット〉でショーを行ったVetementsの2017年春夏コレクションでは、Levi’sやCOMME des GARÇONSをはじめ、Manolo Brahnik、Carharttなど、合計18ブランドとの協業アイテムが登場しました。ダブルネーム、トリプルネームなどはよく見かけることはありましたが、コラボレーションもここまでくると潔いなと感じた記憶があります。2017年春夏は、僕の1回目のコレクションを発表したシーズンだったこともあり、特別な思い入れがあります」

12. 「横尾忠則、細野晴臣、糸井重里、3人が集まった日」(2016) selected by 星加
2016年8月から開催された「ヨコオ・マニアリスム Vol.1」展の会期中に「夏の夜の夢トーク」と題した、細野晴臣、糸井重里、そして急きょ登壇した横尾忠則による鼎談が行われた。「神戸にある横尾忠則美術館には学生時代から何度か足を運んでいました。この座談会には上京していて行けなかったので『ほぼ日刊イトイ新聞』にアップされた全9回の記事を読んだ記憶があります。なかでも好きな話のひとつが『何回やったかが重要だ』」。横尾の発言はこうだ。〈時間でものを測ったり、体験や記憶を時間に置き換えるとぼくはだめだと思うんですね。時間よりも、むしろ何を何回やったかという「回数」のほうが、大事なんです〉。「時間を回数に変換するだけ、モノの見方が大きく変わる事に気づかされました」

13. ライドシェアサービス「Lyft」とディズニーのコラボ(2017) selected by 山田
ライドシェアサービスに特化して事業を拡大してきたLyftは、2012年にニューヨークで始まった。相乗りができる〈Lyft Line〉や通学バスのように決まったルートを回る〈Lyft Shuttle〉など、ライドシェア事業のなかのオプションを充実させている。「この数年でグッズ主体からサービス主体へとビジネスのあり方が変遷しようとしているなか、ディズニーという、ある種グッズ主体・サービス主体の両方の観点から突き抜け続けていた一大ブランドが、新興サービスと手を組んだことは個人的には今後のビジネスシーンにとって大きな広がりを見せていく予感がしています」

14. Cafe Art:Homeless people x photography x art x cafe(2015) selected by 嶌村
「ロンドンでホームレスの人々にインスタントカメラ100台を配り、彼らが撮影した写真をコンテスト化し、カレンダーを作成するプロジェクト」。英国王立写真協会によるカメラのレクチャー会を開催し、彼らによる撮影を終えて戻ってきたカメラは80台。そこに収まっていた2500枚にもおよぶ写真のなかから、最終的にカレンダーの月々を飾る12枚が選ばれた。「さらに、提携するカフェでそれらの写真を展示することで、ホームレスに対する精神的・経済的支援を行うというもの。2016年には、首都圏の学生を中心としてフリーマガジンを制作しているUni-Shareと協力して〈THE HOME〉という同様のプロジェクトを日本で実施しました」

15. PARCO 2018-19AW AD (2018)
M/M(paris)が手がけてきたPARCOのファッション広告が今季、大きく刷新された——制作を終えた彼らが一堂に会して語った座談会の様子は、こちらをチェック。

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