激動の60年代を捉えたガーナの写真家

刻一刻と変化するガーナの姿をポートレートに捉え続けたジェームズ・バーナーの展覧会が開催中。

by Emily Manning
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25 May 2016, 10:40am

James Barnor, Eva, London, 1960s. Courtesy Autograph ABP

ロンドンで開催されている「Photo London」は、大きな話題になること必至だ。トロントではロンドンに先駆けて「Contact Photography Festival」が開催され、この1ヶ月ばかりの間で繰り広げられる数々の展覧会やインスタレーションは、大いに盛り上がりを見せている。今年で20周年を迎える「Contact Photography Festival」。シンディ・シャーマンやウィリアム・エグルストンなど名匠の作品に加え、卒業アルバムの写真をベースとした作品に至るまで、実に多様な作風のアートがカナダのクリエイティブ首都・トロントを盛り上げている。大盛況の本展示だが、中でもBAND Gallery and Cultural Centerにて公開されている展覧会がひときわ素晴らしい。その内容はガーナ人フォトグラファーであるジェームズ・バーナー(James Barnor)による、1960年代のアフリカの若者たちを捉えたポートレート作品群を讃えるものだ。

James Barnor, Ginger Nyarku, featherweight boxer with Coronation Belt, Accra, 1953. Courtesy Autograph ABP

1950年代初頭、バーナーはガーナ共和国の南海岸にある首都アクラ市ジェームズタウンに、ポートレートスタジオEver Youngを設立した。作風が人気を呼び、それに後押しされる形で、彼は当時のガーナ社会を象徴する人物たちを幅広く撮影するようになった。その被写体は、スタイリッシュな大学生など無名の人物から、後にガーナ初代大統領となったクワメ・エンクルマやボクサーのジンジャー・ニヤーク(Ginger Nyarku)など当時の要人たちまで多岐に渡る。1957年には、ガーナ独立記念式典に出席し、後にアメリカ大統領となるリチャード・ニクソンを撮影している。

James Barnor, Drum cover girl Marie Hallowi, Rochester, Kent, 1966. Courtesy Autograph ABP

その後彼は、反アパルトヘイトの姿勢を強く打ち出した文化誌『Drum』や、イギリスの新聞社Daily Mirror Groupによるガーナ現地紙『Daily Graphic』など、数々の雑誌や新聞にフリーランスのフォトグラファーとして作品を提供している。そしてイギリスに渡り、写真を勉強しながら本格的にフォトグラファーとしての活動を開始した。本展のプレスリリースは、「バーナーのポートレート作品は、60年代に植民地支配から独立へと動くガーナ社会の変化を捉えている。また、ロンドンが多文化的な国際都市へと変わっていく様子を、実に見事に表現している」と謳っている。

James Barnor, Mike Eghan at Piccadilly Circus, London, 1967. Courtesy Autograph ABP

James Barnor: Ever Young』展には、60年に及ぶキャリアの中でバーナーが撮影した80点強の作品が集められている。しかし、見所はなんといっても、アフリカ脱植民地化の流れを捉えた60年代の作品群だろう。

'James Barnor: Ever Young' runs at BAND Gallery and Cultural Center until May 29. 

Credits


Text Emily Manning
Images courtesy Autograph ABP
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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