Photo by Pascal Le Segretain/Getty Images, Marc Piasecki/GC Images, Pierre Suu/GC Images and Mike Marsland/WireImage

ベラ・ハディッドのファッション変遷

マイクロサイズのサングラスからデニム、Y2KスタイルからCharlotte Knowlesまで、2010年半ば以降、時代を象徴するファッションを身につけ、定義づけてきたベラの変化を振り返る。

by Zoë Kendall
|
13 August 2021, 4:15am

Photo by Pascal Le Segretain/Getty Images, Marc Piasecki/GC Images, Pierre Suu/GC Images and Mike Marsland/WireImage

身にまとうすべての服で、毎回ネットの話題を独占しているベラ・ハディッド。2014年にIMG Modelsと契約し、同年Tom Fordのショーで華々しいデビューを飾った彼女は、それ以降、進化し続けるスタイルでトレンドを捉え、時代を定義づけてきた。JacquemusからMuglerのケーシー・カドウォールダーまで、さまざまなデザイナーのミューズとなり、Instagramでルックを研究され、ファッション誌の内外で注目を浴びている。さらに、カンヌのレッドカーペットとネイキッドドレスのジャンルに君臨する絶対的な女王でもある。ベラの完璧なスタイリングや絶妙に配置されたアクセサリーは、新たなトレンドを生み(2016年のデニム、2018年のマイクロサングラス)、リバイバルを巻き起こし(Diorのサドルバッグ)、新進気鋭のデザイナーを後押しし(ネンシ・ドジョカ、シャーロッテ・ノウルズ、スプリヤ・レレ)、ネットを騒がせている(カンヌのSchiaparelliのドレス)。

まだキャリアを始めたばかりにもかかわらず、ベラのスタイルは2014年のデビュー以降、変化を繰り返し、トレンドを取り入れ、ときにはあえて流行に逆らい、彼女のスタイルを定義するさまざまなフェーズを経てきた。2016年のゴシック風レザースタイルから、2018年のラグジュアリーストリート、2020年のワークウェアルック、パンデミック下のDIYスピリットまで、スーパーモデルがいかに進化し、今日のファッションを定義づけ、定義し直してきたかを振り返る。これがベラ・ハディッドのスタイル変遷だ。

gigi hadid and bella hadid posing in 2014
Photo by Taylor Hill/Getty Images

2014年 ジジ・ハディッドとのCalvin Kleinローンチ・パーティー

ニューヨークに進出してモデルになる前は、主にリアリティ番組『ザ・リアル・ハウスワイブズ・オブ・ビバリーヒルズ』で、母親で〈リアル・ハウスワイフ〉のヨランダと姉でモデルのベラとの共演で知られていたベラ。この時期のベラは、ジジとともに数多のファッションイベントに出席し、洗練された、かつとても無難な、フォーマルなルックを披露していた。

定番アイテムは、シンプルなタイトドレス、オールブラックコーディネート、ポインテッドトゥパンプス、身体にフィットしたブレザー、上品なレオパードプリント、そして上の写真のような光沢のあるジャンプスーツ。初めて参加した2015年のメットガラも同様のスタイルで、当時の流行に合わせた刺繍入りのブラックのタイトドレスで出席した。現在のリスクを恐れない、トレンドセッターとしてのベラからはかけ離れているが、業界に足を踏み入れたばかりの新人モデルにはぴったりの装いだ。

bella hadid walking in los angeles
Photo by Bauer-Griffin/GC Images

2015年 ロサンゼルスのプライベートスタイル

パーソンズ美術大学進学のためニューヨークに引っ越し、IMG Modelsと契約した翌年、ベラはTom Fordの2015年秋冬コレクションでランウェイデビューを果たす。その次の年も、ベラはスキニージーンズ、タートルネックのセーター、ボディスーツ、レザーレギンス、フーディとスウェットパンツ、レザーのミニスカートという、当時の典型的なモデルのプライベートファッションをまとっていた。足元は必ずブラックのポインテッドトゥブーツかシンプルなスニーカーだ。

bella hadid wearing leather pants and walking in paris
Photo by Pierre Suu/Getty Images

2016年 Chanel 2016年秋冬コレクションショーからの退勤

3度目となるパリ・ファッションウィーク。Chanel、Givenchy、Miu Miuというそうそうたるブランドのショーに出演したベラは、それにふさわしい装いを披露した。すっかりベテランモデルとなった彼女は、典型的なモデルのプライベートスタイルに対し、より流行を意識した、わずかにゴシックなアプローチをとった。定番アイテムはフェイクファージャケット、シースルーフーディ、ブラレットトップス、ディアマンテのチョーカー、スタッズ付きのレザージャケット、(スキニーではなく)ブーツカットジーンズ。上の写真は、当時一世を風靡したUnravel ProjectのレザーパンツにミニTシャツ、ライダースジャケットという出で立ちでChanelのショー会場を後にするベラ。主にパパラッチのカメラのフラッシュを遮断するための、彼女のシグネチャーアイテムであるサングラスは見当たらない。この頃のベラは、大きなラウンドサングラスやシンプルなアビエーターモデルを愛用していた。

bella hadid posing on the red carpet at the grammys 2016
Photo by Steve Granitz/WireImage

2016年 グラミー賞授賞式

ベラのちょっぴりセクシーでゴシックな、新たなモデルのプライベートスタイルは、レッドカーペットのワードローブにも反映されている。フォーマルなミディアム丈のドレスやジャンプスーツは鳴りを潜め、ドレープドレス、広く開いたネックライン、太ももまでのスリット(もちろんオールブラック)が目立つようになった。2016年グラミー賞授賞式のこのAlexandre Vauthierのクチュールドレスは、彼女が初めて大きな注目を集めたレッドカーペットスタイルだった。身体の線に沿ったドレスは、厳密にはネイキッドドレスとはいえないが、のちに雑誌の見出しやネットの話題を独占する、ベラの名刺代わりとなるレッドカーペットルックの片鱗がうかがえる。

bella hadid in a red dress on the red carpet at cannes 2016
Photo by Pascal Le Segretain/Getty Images

2016年 カンヌ国際映画祭

見出しを独占したといえば、このAlexandre Vauthierのクチュールドレス。ベラが2016年カンヌ国際映画祭で着用したこのドレスこそが、彼女のレッドカーペットでの真の〈バズルック〉となった。『ハーパーズ バザー』誌はこのドレスをこの年のカンヌ国際映画祭で最もセクシーなドレスに位置付け、〈ハフポスト〉はさらに一歩踏み込んで「史上最もセクシーなドレス」と称した。また、『Vanity Fair』誌は「あの赤のドレス」と強調することで、ジェニファー・ロペスのVersaceのドレスのように、アイコニックなドレスとしての地位を確かなものにした。身体の線を強調するホルターネックとウエストまでスリットの入ったこの一着は、正真正銘のネイキッドドレスであり、流行の火付け役となった。さらにこのドレスは、ベラがゴシックスタイルから、よりグラマラスなルックへと移行するきっかけにもなった。

bella hadid walking in paris in a hat and denim skirt
Photo by Marc Piasecki/GC Images

2016年 パリ

ベラの2016年は、上半期はブラックレザーづくしで、下半期はデニム一色だった。愛用していたスキニージーンズを卒業したベラは、その年に大流行したRe/DoneのミニスカートFrameのジャンプスーツ切りっ放しのデニムジャケット、オーバーサイズのデニムセットアップなど、デニムに対してより洗練された、流行を意識したアプローチをとった。4回目となるパリ・ファッションウィークの休憩中には、デニムのタイトスカート、シアーなメッシュトップスの上にスカートと揃いのジャケットを羽織った姿をキャッチされた。メッシュのインナーは今もベラの定番アイテムのひとつだ。

bella hadid wearing a sheer crystal couture dress at cannes film festival 2017
Photo by Stephane Cardinale - Corbis/Corbis via Getty Images

2017年 カンヌ国際映画祭

2017年以前にもネイキッドドレスを着用していたベラだが、この一着は他のものとは似ても似つかない。この年のカンヌで、ベラは前年のVauthierの真っ赤なドレスのさらに上を行く、クリスタルをあしらった全体的にシアーなRalph & Russoのドレスを身にまとった。これぞまさに「カンヌ史上最もセクシーなドレス」だ。コルセットのボディスにシークイン、チェーン、クリスタルが縫い付けられたシフォン生地が目を引くドレスは、3000時間以上かけて手作業で作られたもの。このドレスが話題を独占した後、 Diorを体現するルックJulien MacDonaldの身体の線を強調するドレスMuglerのヌードカラーのキャットスーツなど、ほぼシースルーのランジェリーに近いドレスは、ベラのレッドカーペットの定番ルックとなった。

bella hadid walking down the street in a crochet two piece and tiny sunglasses
Photo by Pierre Suu/GC Images

2017年 カンヌ国際映画祭

常にInstagramのトレンドを独占し、先取りしているベラは、今から4年も前に、今年の夏のトレンドであるセクシーなクロシェニットアイテムを取り入れていた。定番のOrseund Irisのクロップドアイテムから、オフショルダーセーター(大好きなデニムとの組み合わせ)、タートルネックのミニドレス、キュートなクロップド丈のモヘアカーディガン、クロシェニットのミニドレスまで、2017年を通してセクシーなニットウェアを愛用していたベラ。上の写真のセクシーなクロシェニットのセットアップは、この映画祭のために太陽がさんさんと降り注ぐ南仏を訪れたときに着用したものだ。

bella hadid leaving a fashion show in heron preston in paris
Photo by Pierre Suu/Getty Images

2018年 Heron Prestonのプレゼンテーション

2018年はOff-White、Roberi & Fraudのサングラス、そしてTriple Sの年だったが、ラグジュアリーストリート全盛期でもあった。脱構築したブレザーやトラウザー、巨大な肩パッド、それからデイヴィッド・バーン風のオーバーサイズスーツ。CFDAファッションアワードOff-Whiteのシックなフューシャピンクのブレザードレスを着用した2017年の夏から翌年の夏まで、ベラはこのトレンドに大いに貢献した。この1年間、彼女はスナップを撮られるときはいつもテーラードセパレーツを身につけていた。コルセットを重ねたシャツクロップドシャツ(もちろんボトムスはOff-Whiteのデニム)、短いシャツドレス、ピンストライプのトラウザー、オーバーサイズのブレザー、細かなチェックウールスーツ。定番のインナーは愛用しているメッシュトップスで、足元はNikeのスニーカー。上の写真では、Heron Prestonのチェックのブレザーに魅惑的なメッシュトップス、トレードマークのマイクロサングラス、そしてもちろんTriple Sのスニーカーを合わせている。

bella hadid walking down the sidewalk in paris in vintage chanel
Photo by Pierre Suu/GC Images

2018年 パリ

2018年、ベラはヴィンテージのデザイナーアイテムや90年代のロゴマニアなど、ファッションアーカイブを参照し始めた。この時期のベラのスタイルのなかで、ぜひ真似したいのはChanelのセーターやスイムスーツガリアーノ時代のDiorlogoのTシャツ、Diorのサドルバッグ、Louis Vuitton × Takashi Murakamiのキャリーオール、ベラお気に入りのPradaのナイロンハンドバッグだ。ヴィンテージへの関心の高まりから、さまざまなファッションハウスが自らのアーカイブにインスピレーションを求め始めたのもこの頃だった。Pradaはブランドを象徴する素材であるナイロンをアップデートしたコレクションを制作し、Fendiはアイコニックなバゲットバッグの新作を発表した。90年代のロゴマニアが本格的なリバイバルを果たすと、ベラはすぐこのトレンドに飛びつき、ChanelのダブルCベルトやFendiのダブルFキャンバスなどのアイテムを取り入れた。上の写真は、パリ・ファッションウィーク中にFendiの新作のブーツとChanelのヴィンテージドレスを着用するベラ。しかし、彼女のヴィンテージへの愛はまだ始まったばかりだった。入手困難なアーカイブアイテムは、その後、彼女のワードローブの定番となる。2021年になった今も、ベラは見事なヴィンテージハンドバッグのコレクションを増やし続け、ジャンポール・ゴルチエからヴィヴィアン・ウエストウッドまで、さまざまなデザイナーのY2Kアイテムを愛用している。

bella hadid posing on the red carpet wearing charlotte knowles
Photo by Dimitrios Kambouris/Getty Images

2019年 MTVビデオ・ミュージック・アワード

2019年は、ベラがハイブランド(Chanel、Diorなど)やInstagramブランド(Daisy、Orseund Irisなど)から距離を置いた年だった。ビッグネームや大々的に宣伝されたアイテムの代わりに、彼女はオンオフともに小規模な、新進気鋭のファッションレーベルを支援するようになった。2019年8月、ベラはMTVビデオ・ミュージック・アワードのレッドカーペットで、ロンドンを拠点とするレーベルCharlotte Knowlesのストラップ付きセットアップを着用し、同ブランドの名前を世界に知らしめた。その3ヶ月後には、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート卒業生スプリヤ・レレのロンドン・ファッションウィークデビューコレクションのレースアップジャケットを着ているところをキャッチされている。これらの思わず目を奪われる革新的なアイテムは、翌年大反響を呼んだベラの同授賞式でのNensi Dojakaルックへの布石でもあった。2019年以降、ベラは Reese CooperのベストSerapisのパターンデニム、今はKNWLSとして知られているCharlotte Knowlesのアイテムなど、ファッション界の新星へのサポートを表明し続けている。

bella hadid wearing a denim balenciaga two piece at paris fashion week
Photo by Marc Piasecki/GC Images

2020年 パリ・ファッションウィーク

2020年はじめ、パンデミックが冬のパリ・ファッションウィークに影を落とすなか、ベラは〈ラグジュアリー・ワークウェア期〉へと突入した。計算し尽くされたこのルックを構成するのは、クロップド丈のフライトスーツ、フランネルのオーバーシャツ、パフォーマンスフリース、Louis Vuittonのセットアップ、チョアジャケット、カーペンタージーンズ、ドクターマーチン、そして上の写真のBalenciagaのデニムのカーゴパンツのセットアップだ。いかにも彼女らしいファッションで、中性的なオーバーサイズのアイテムに、遊び心あふれるバケットハット、カラフルなサングラス、トレードマークの柄入りメッシュTシャツなどを合わせていた。

bella hadid getting out of a car in new york city
Photo by Raymond Hall/GC Images

2020年 ニューヨークでのオフスタイル

パンデミックが始まった。レッドカーペットイベントは軒並み中止になり、ファッションウィークはオンライン開催され、ベラの真っ黒だったスケジュールは「ほぼすべて」白紙になった。母親の農場とニューヨークのアパートを行き来するなか、彼女のストリートスタイルは洗練されたものから、どれも似通ったスタイルになり、より自然体で折衷主義的(〈ちぐはぐ〉ともいえる)になり、ゆったりとした形、遊び心あふれる色やパターン、ユーモラスなアクセサリーが頻出した。

例えば、ピンストライプのパンツとアシッドウォッシュデニム、フェイクファーの組み合わせスポーツ用品巨大なマフラーだ。この写真では、彼女のお気に入りのSoulland×Playboyのパンツ、グラフィックニット、Bodeの手で刺繍したトートバッグや重ね付けしたビーズのブレスレットなどの大量のDIYアクセサリーという、いかにも2020年らしい、楽しいミスマッチスタイルを披露している。

bella hadid in paris 2021
Photo by Pierre Suu/GC Images

I2021年 パリ

ワクチン接種後の夏が近づき、レッドカーペットイベントが徐々に再開するなか、ベラの2021年ファッションは少しずつ洗練され、同時に2000年代的になっていった。ニューヨーク、パリ、カンヌで出歩けるようになった彼女は、パターンデニムネームプレート入りのベルトミニサイズのカーディガンローライズパンツ、小さな(そして厚手のレザーベストストラップのついたKNWLSJean-Paul Gaultierセクシーなメッシュトップスで、パンデミック下で再燃しているY2Kトレンドに、彼女なりのひねりを加えた。

bella hadid wearing schiaparelli on the red carpet at cannes film festival 2021
Photo by Mike Marsland/WireImage

2021年 カンヌ国際映画祭 

誰もが認めるカンヌのレッドカーペットの女王、ベラ・ハディッド。2016年、Alexandre Vauthierの真っ赤なドレスでネットの話題をさらって以来、彼女は毎年のようにこの映画祭で魅力的なルックを披露し、注目を集め、世界のトップ記事を飾っている。2020年、パンデミックによって活動休止を余儀なくされた後、ベラはこの名高いレッドカーペットの階段に、彼女史上最もアヴァンギャルドなルックで降臨した。Schiaparelliの新クリエイティブディレクター、ダニエル・ローズベリーが手がけた2021年秋冬コレクションのこのドレスは、胸元が大胆にカットされており、そこを覆うのは肺のようなデザインの、巨大なゴールドとラインストーンのネックレス。2016年のVauthierや2017年のRalph & Russoと同様、このルックも映画祭の開催期間中、InstagramとTwitterのタイムラインやファッションメディア、タブロイド紙の見出しを席巻した。真のファッション・イノベーターにふさわしい、瞬く間にアイコニックになった、革新的な〈ネイキッドドレス〉だ。

Tagged:
90S
Style Evolution
Y2K
Bella Hadid