Marino Asahi 's project #genderfreeborderlessmakeup for Photography Remi Hasegawa

リアルサイズモデル・HIBARI interview:ハッピーになるために人との違いを学ぶということ

お笑い芸人からリアルな等身大モデルに転身。激動の年だったにも関わらず、インディペンデント誌をはじめ、楽天ファッションウィークのランウェイでも引っ張りだこだったあの子は誰?

by Chihiro Yomono
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29 December 2020, 9:44am

Marino Asahi 's project #genderfreeborderlessmakeup for Photography Remi Hasegawa

プラスサイズ?いや等身大のリアルサイズモデル・HIBARI。地元・島根では、周りと異なる自身のセクシュアリティや価値観の違いに違和感を覚え、自身の居場所を探すべく東京に上京、早5年。小さい頃から人懐こくて周りをハッピーにさせることが好きだった少女は、いつしかお笑い芸人を目指した。幾度かのターニングポイントを迎え、素のままをさらけ出しセルフラブを深めたいという目標設定にシフトターンした今、現代社会に蔓延る人種や異なる価値観からの差別やLGBTQ+への理解、体型への偏見。自身が表現できることをそのままカタチにしていきたいと語るハッピーガールが、モデル・HIBARIとして世の中に伝えたい思いと、彼女がレスペクトするZ世代のTikTokersたちとともにセルフラブを語ってくれた。

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── お笑い芸人を目指していたキッカケは?

自分が楽しいと思うことをして、みんながハッピーになれたら最高だなと思っていたことと、具体的には、お母さんが自分へのプレゼントとして買った車を事故で壊してしまって、お金を返すのではなく、なんでもいいから行動に移してやりたいことをやってみなさいって言われたことがきかっけで、オーディションを受けたことで、お笑い芸人を目指すことになったんです。

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── 芸人からモデルになろうと思ったのはなぜ?

その当時の相方が本当に旅が好きな人で、いろいろな場所に行ったり、やりたいことがあったみたいで、結局、沖縄に移住をすることになったので解散と同時にやめることになった感じです。

── モデルに転身したことでクリアになったことは?

おいら、もう何も隠さなくてもいいじゃんっていう気持ちが強くあって。「痩せたら可愛いよとか」それはそれで嬉しい言葉だったけど、その言葉によって自分は、”完成されていない”という気持ちに引きづられていた感覚があって。けれど、東京に来て、いろんな価値観に出会って、今はこの顔と身体がとても好きなんだということに気が付いたので、このままで隠す必要もないし、変わる必要もないということがわかったというか、どんな体型で違いがあったとしてもそのままの自分を受け入れて表現したいということが重要だという価値観が、今の事務所の社長と一致したんです。

── 自分の主語を「おいら」って言っているけど、それは訛り?

特に島根の方言でもなんでもなくって。小さい時のおままごと遊びの時に、近所の子達がみんな年上だったりということもあったのかもしれないけど、なぜか弟役とかペット役をすることが多くて、生まれてこのかたずっと「おいら」って言ってたので、自分でもなぜそうなったのかよく覚えていないんです、癖なのかなんなのか。笑 

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── 独特なので聞いてみました 笑

おいらはバイセクシュアルかレズビアンだ、女の子が好きなんだって気が付いてからは男の子のことを好きになってはいないんですけど、地元・島根にいた当時は男の子の恋人がいたんです。その当時の彼には「おいら」とかなんで使うのって言われてた時期もあって、直そうとしてたこともあったんですけど、なかなか治らなくて(笑)。 いまはこれが「おいら」だしこのままでいいかなって思っています。その彼とは最近会う機会もあって「”おいら”に戻ってるじゃん!」って言われたんだけど、「もう、これでよくない?」って言ったら、「そうだよね、それがHIBARIだもんね」って言っていました。今では、これが「おいら」ですって胸を張って言ってます。

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── 東京に来たことで大きく変わったことは?

もともと人がすごく好きで、人がたくさん集まっている場所にいるのが好きなんです。東京は居心地がいい。島根だったら、ピンクヘアーでチャリ漕いでるだけで、ビックリする大人もいたし、周りには女の子が好きな女の子なんて誰もいなかったし、相談できそうな人もいなかった。人と違う自分に対して病気なんじゃないかとか、カミングアウトしたらどうなるのか想像がつかなくてとても怖かった。でも、東京で出会えた人たちから学べたこと、刺激を受けたこと、共感がたくさんあったことの中でも、男×女だけの世界じゃないってわかったことで本当に心が解放されたんです。だって、おいらが住んでいた世界では教えてくれなかったことだったから。心地よいと思える場所が見つかったんです。

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── カミングアウトしたことで心境の変化は?

これっていう具体的な何かがあったわけではないけれど、”自分”が好きになれたことってすごく気持ちがいいことなんです。昔は何かがおかしいっぽいんだけど何なのかがわからなくて、自身のことが好きか嫌いかなんてはっきりわからなかった。”自分に生まれてきてよかった!”って心から思えたことってすごく大きい。あと、経験したからこそ同じように悩みを抱えている誰かに優しくなれる。ジェンダー・セクシュアリティに限らず、もしも経験がなければ、無意識に心に悩みを抱えている人たちを傷つけるようなことを言ってしまう可能性があると思うんです。いまだったら、カミングアウトできていない可能性がある人がいるとしたら、その人の立場に立って考えることができることができるようになっていると思う。

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── 周りの友人たちの影響もあった?

友達に出会ったことで、おいらに重要なのは、”太ってる/痩せてる” ”イケてる/イケてない” とかじゃなく、自分自身に対して自信を持ってる人が ”かっこいい”、って気が付いたこと。おいらはいつも嬉しくなると感情のコントロールが効かなくなるから落ち着くまで優しく待ってくれたり、体型のことも、剃ったり剃らなかったりする体毛のこともこのままで良いじゃんって言ってくれる。周りの友達は「HIBARIはありのままでいい」って気づかせてくれる。なんか良い世の中だよなって。

── 素のままをさらけ出すことは勇気がいることですよね? 

やっぱり自分自身に元気がないとダメ。自分で元気になれることを模索するのが一番大事。ありがたいことに、今は痩せるための方法ではなく、便秘とか肌の調子をキープさせるための健康を第一に考えるための方法を実践するようにしています。

── 自分自身が表現したいことは見つかった?

プラスサイズではなくてリアルサイズ。ありのままでいること。少し前は肌を露出することも苦手意識があったけど、二重顎とか二段腹とかも。とにかくありのままの自分をさらけ出してきたことでもらえた勇気をより多くの人にもシェアしていきたい。夏になったらビキニ着たいから痩せなきゃいけないとかそんなことしなくても”可愛いんだよ”ってことは何も変わらないよって、おいらなりに表現していきたいって今は思ってる。まだまだ考え中で、体型のこと、ジェンダーのことどうしたらより自分らしくハッピーに表現することができるかなって。

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── ハッピーな表現というと?

できる限り平和に解決する方法を見つけ出すことがベストだと思っていて、問題定義よりもどれだけ幸せを感じるかを表現することに長けていると思うので、まずは、おいらなりの表現を考え中だけど、周りから始めていきたい。

── 不安定に時期が続き、社会問題が浮き彫りになっているなかでできることとか伝えたいことってありますか?

まず、思いついたことがあって。1つめは、今しかできないことを見つけて即実行。おいらの場合は大きな白い布を買って部屋に貼って家にいる時いつでも落書きができるような状況にして絵を描き始めたこと。外に出れないけど好きなものに囲まれようという作戦。自分の中の願望というかユートピアを描くんですよ。 2つめは、友達とのビデオ通話が増えたこと。普段そんなにお家の行き来のなかった友人との間でビデオ電話でお互いの住んでる空間が見えたりしたことで関係の距離が縮んだ気がする。お互いが一対一で楽しもうとしたことで距離を縮めるキッカケになったことはとても嬉しかった。特に何も話をずっとしてるというわけでもなく、そのまま繋げてお互い晩御飯準備するとか、今も続いていますね。

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── この期間で話したメイントピックは?

BLMのことも話しましたね。差別が無くなって欲しいという気持ちは大前提で、誰もが同じ気持ちなはずなのに、ソーシャルメディアでの言葉の選び方や、同じタイミングで賛同の投稿シェアをするしないだとか、小さなことでお互いを傷つけてしまったり。おいら的に行き着いたことは、どんな問題においてもポジティブな解決方法にフォーカスしたいと思ったこと。選択肢には努力も伴ってくる、けれども最終的には「愛」が勝つということを信じたい。自分も経験したことが少ないようなトピックもあるから、世の中に溢れる意見も尊重したいとは思うけれど、否定や喧嘩だけでは変わらない。

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── 今伝えておきたいことは?

今いる世界は全てではないということ。周りを気にしないでいいということ。みんなのようになろうとしなくていいということを伝えたい。おいらの場合は島根から東京で共感できる人たちと出会えたことを、実際に地方の阻害された世界で同じ悩みを抱えている若い人たちに対して何かできることを考えたいと思います。おいらは活動家とかではなくて、自身がそうだったから、自然発生的に世界にある違いを受け入れていきたい。あと、アンチとかそんな場合じゃ本当になくて、時間はどんどん過ぎ去ってしまうもの。インスタもTikTokもどんどん新しいソーシャルツールが生活に溶け込んでいくように、ジェンダー、人種、身体っていう違いに対して、受け入れて、学んでいかないときっとどんどん時間が過ぎていっちゃう。世の中はいろんな問題を抱えているし、解決するには、まずは自分を助ける方法、自分がハッピーになれる方法を模索していくことがいろいろなことにつながっていくと思う。

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── TikTokが気になってる理由は?

いまインスタは自分の自己紹介というか自分の状況を公開したり、友達が何をしているのかチェックしたりはするけど、TIKTOKでは老若男女、どんな人がいるのか、才能発掘できるし、片手一つで世界のいろんな人を見つけることができるってすごいツールだと思ってる。

── おすすめTickTokerを教えてください!

おそらくまだ高校生くらいで特にプロのダンサーでもないと思うのだけど、この若さでここまでスタイルを持っているって、なんて強い子なんだろうと思ってずっとチェックしているユーザー。ダンスのスタイルも大人っぽくて完成されているので、年齢とセンスの成熟度にただ驚き。練習や努力をしてということだけではない、天性の何か光るものを感じさせるところが素敵ですよね。@nixgonzaga

人それぞれいろんな表現方法があって、例えば彼女の場合は、自身の病気のことや経緯、自分はなぜTIKTOKをやっているのかとても明確に話しているんです。難しい言葉を使うというわけではなく自分の言葉でフォロワーに語りかけることに長けていて、彼女の言葉には説得力があるので、聞いているこっちも勉強になる。世界中の同じ病気を持つ人たちの理解が深まるように発信するという目的を持っている人。彼女のやっていることは全てにおいてプラスにしかならないと思う。彼女の言葉で印象に残っていることは、何度生まれ変わったとしても同じお父さんとお母さんから生まれてこの顔で生まれたい、自分自身を愛してるって言っていたこと。彼女の言葉によって、自分自身を愛したいと思えたから本当に尊敬です。@thrush_hijikata05.31

コスプレイヤーなのでそのキャラになりきるのは当たり前だとは思うんですけど、メイクや話し方や動作仕草も自己プロデュースを追求しているところにプロ意識を感じてしまう。お家ごっこ感があることも、さらに好感度が上がるポイントなのかも。@ao_akase

自分のお母さんのモノマネをしているフィリピンと日本のハーフの女の子。脱力系ママのさらけ出し感半端ない感じからなぜか安心感を与えてくれるという。デコったり、メイクバッチリとかいうわけでもなく、日常をそのまま中継している感。笑 自然体な感じがとにかく見ていて落ち着くし、笑いのセンスも良くて心地よいんです。笑 @mi8yan6

いわゆる「ぶりっ子」って世間では少し避けられがちだけど、そんなことは物ともせず、自分自身をさらけ出しているところが彼女の素晴らしさ。彼女の中にある「乙女」の自己キャラプロデュース力、可愛いさと恥ずかしさを物ともしない強さにレスペクトです。@xx_killmee


Photography Remi Hasegawa
Make Marino Asahi
Hair Masaki Takada
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HIBARI