ポップアップする食事処:東京の新しい食の形態「ポップアップレストラン」の実態

レストランである条件?そんな既存文化はぶっ壊せ!と言わんばかりして誕生した東京の新しい食の形態「ポップアップレストラン」の実態について。

by mcnai and Kazuki Chito
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07 December 2020, 10:00am

食に対する既存の風潮に中指を立て「オリジナル」に忠誠を誓う謎の集団、あらゆるカルチャーに触発されたフードマガジン・mcnai magazine(マカナイ・マガジン)のメンバーであるKazukiが送る、東京の新しい食文化「ポップアップレストラン」。

食事処、英語で言えばレストランだが、レストランという概念にはどのような特徴があるだろうか。簡単に羅列してみるとするなら、同じ場所に常にあって、営業日が決まっていて、料理人というその道の修行を料理学校や修行なので学んできた人たちが調理をしているといったような特徴が思い浮かぶと思う。しかし、東京では我々が考えるような「レストランであるための条件」を裏切るようなカウンターカルチャー的空間の構築が始まっているのである。その名も「ポップアップレストラン」。ポップアップレストランの特徴は以下の三つである。

① 決まった場所で展開されてるわけではない。

決まった場所で展開されるわけではなく、主要拠点がいくつかあるといったのがポップアップレストランの重要な特徴である。レストランは場所ではなくブランド、そして精神だということが伝わってくるスタイルとなっている。

② 毎日営業しない。決まった曜日だけ。(ほとんどの場合が週末)

好きな時に好きなことをすればいいという精神のもと、お店が開かれているので多くの場合、お店がオープンする少し前にインスタグラムなどで日時が告知される。

③ 運営主は料理畑出身でない人が多い。

「ポップアップレストラン」を切り盛りしている人たちは決して料理学校にいったわけでもなく、どこかで毎日、休むことなく料理修行をした人たちでもないのだ。多くの場合が料理好きのファッション、音楽、アートといった全く違う業界の出身者である。

三つの特徴を読んでも具体的な全体像はいまいち掴めてないはず。そこで、今回はそんなフード界のカウンターカルチャーである東京拠点の「ポップアップレストラン」を三つ紹介したいと思う。

1. 提灯東京

「”架空”の居酒屋」、「海外からみたIZAKAYA」というコンセプトをもとに展開する提灯東京。上質な串焼きや一品料理、こだわりのレモンサワーが提供されるといったジャパニーズクラシックな一面を持つ傍ら、他のフードブランドとコラボし、自分たちのメニューをそれに合わせて変えてしまうといったような裏原カルチャーを彷彿させたりするような居酒屋の常識を覆す居酒屋である。現に、2020/8/30の提灯東京では鯛骨拉麺 鯛祥とコラボし、鯛骨拉麺と一品料理だけが提供された。開催日はインスタグラムにも記載されているように「毎月一回程度、だいたい第四土曜日」といったアバウトなものになっており、ポップアップレストランを体現したブランドとなっている。開催場所は東京、三鷹にあるハーモニカ横丁を拠点としている。

2. Chipper’s Coffee&Sangas

極上のサンガスとオーストラリア仕込みのコーヒーを提供するChipper’s Coffee&Sangas。サンガスというのはオーストラリアのスラングでサンドイッチのことを指しており、一口食べれば笑顔がほころび、二口食べればご機嫌になり、三口食べればエナジェティック(チッパー)にしてくれるサンドイッチとなっている。開催日は毎週、金曜、土曜、日曜。代々木公園の近くにある「CAMELBACK」というカフェを借りて開催されている。

3. 1-800-SNACC HOUSE

エロいブラウニーをテーマにブラウニーを提供する「1-800-SNACC HOUSE」。SNACCはスラングでセクシーでプリプリな女の子、HOUSEがプレイ・ボーイマンションのことを意味する言葉となっており、オーナーがそのマンションでブリブリな女の子=ブラウニーをそのマンションからデリバリーするといったヤバめなコンセプトをベースに展開しており、オリジナルのアパレルラインなどもそのコンセプトに沿って制作されている。オーナーのブラウニー好きから始まったこのお店は代官山のPizza Sliceで土日限定で開催されていたりする。

食体験は常に進化し続けるものだと思う。上記にある三つのブランドを見ればわかるように食事だけにフォーカスが当てられているというよりかは、他の領域、特にビジュアル面やストーリー性が重視されているように見える。今まで、日本のレストランの多くでは食事のクオリティーにかなりの重要性が置かれていた。しかし、ポップアップレストランは他の分野にも注力することを忘れない。ロゴにこだわり、空間づくりにこだわり、そして味にもこだわる。食体験は食事のクオリティーだけではなく他にもあるのだということを暗示している。まさに既存のレストランという概念を疑い、それに争う、フードにおけるカウンターカルチャーだということができるだろう。


Text Kazuki Chito from mcnai