「カワイイ」はファッションじゃなくて気持ち。『The COMM』編集長チュームにinterview

日本のストリートファッションシーンについて6カ国語で発信しているオンラインメディア『The COMM』の編集長、チュームにインタビュー。「カワイイ」の定義から、多様性との向き合い方、注目の女性クリエイターまで幅広く語ってもらった。

by MAKOTO KIKUCHI
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11 August 2020, 8:00am

大学3年生でロンドンから東京へと渡り、現在は東京を拠点にクリエイティブディレクターやスタイリスト、イベントマネージャーとして活動するチューム。彼女が運営する『The COMM』は日本のストリートファッションコミュニティや、そこで活躍するひとびとを紹介するウェブメディアだ。英語・日本語はもちろんのこと、仏語や独語など計6カ国語でコンテンツが展開されることも、このメディアの大きな特徴である。

複数の言語で発信することについて、チュームはこのように話す。「日本のストリートファッションを愛するコミュニティはグローバル。コンテンツを世界に向けて発信することは重要でした。私たちは、それぞれの母国語でもコミュニケーションをとることができるので、さまざまな言語圏のブランド、インフルエンサー、デザイナーなどを紹介することができます。特集された人が記事を読めるようにしたいという想いもありました」

『The COMM』を立ち上げる以前、チュームは英語圏のメディアでの日本のストリートファッションの語られ方に疑問を感じていたと言う。「当時英語で書かれていた記事のほとんどは、日本のファッションを『ヘンテコ』や『クレイジー』とバカにしていて、古いステレオタイプを押し付けるものばかり。新しくメディアを立ち上げようと思った最初の動機は、そうした欧米のメディアに対する怒りだったんです」

チュームは大学3年生で東京に渡ったのち、原宿の〈6%DOKIDOKI〉でショップスタッフとして働いていた。同時期に『FRUiTS』や『KERA』などのファッション誌に彼女のスタイルが取り上げられるようになる。「その時に出会った人々はとてもクリエイティブでファッショナブルで、自分の創造力を成長させてくれました。夢が叶ったような気持ちでした」

日本のポップなストリートファッションが、世界で注目を浴びるようになってから「カワイイ」は他言語圏でも知られる共通の概念となった。「カワイイ」という言葉が内包する意味は今や無限大だ。チュームはこの言葉を「じーっと見たくなるもの」と定義する。「『カワイイ』はその人が愛おしいと思っているものに対して使う言葉。『カワイイ』はファッションだけでなく、気持ちだと思う」

『The COMM』の制作に関わるメンバーはほとんどが女性で、国際的なチームだ。大学院生からフリーランスの翻訳者、さらには商社の社員までその肩書きはさまざま。『The COMM』でとりあげる人物やトピックも多様性に富んでいる。「私たちは多様性を『象徴』としてではなく、『標準』として設定したいと考えています」とチュームは説明する。「トレンドだからマイノリティをフィーチャーするのではなく、そのひと個人に注目すべき。また『The COMM』では、すべてのジェンダー・性別・人種をとりあげていますが、彼らを〈他人化〉しないように心がけています。例えば、ノンバイナリーの取材対象者にはジェンダーニュートラルな言葉を使うこと。翻訳者にとっては難しいことですが、やりがいがあります」

東京のクリエイティブシーンで、肩書きにわざわざ「女性」という枕詞を付けなくとも、女性クリエイターにスポットライトが当たるようになったのは、ここ10年ほどの話だ。最近気になる東京を拠点にする女性クリエイターを聞くと、チュームは「たくさんいる」と答えた。「イベントコーディネーターのカリン・ローが開催している〈Tokyo LoveHotels〉というイベントが最近注目を浴びています。このイベントは『The COMM』のように様々なクリエイターや作品を紹介する場所です。ギャルユニットの〈Black Diamond〉のあおちゃんはとにかく個性的。これほど自信のある人を私は見たことがありません。他にはDJのエレナ・ミドリやファッション学生のピオなども、エッジーな女性達で今後が楽しみです。よく一緒に仕事をしているスタイリストのドムは、いつもスタイリングとコンセプトのアイディアをたたくさん持っている女性です」

チュームが敬愛するクリエイターは、ケイティ・ペリーやSZA、CLといったミュージシャン達。彼女達の「作られたヴァージョン」ではないオリジナルな作品に憧れるのだと話す。「『VOGUE』編集長のアナ・ウィンターも私にとって素晴らしいインスピレーション。『アイコニック』なスタイルを持つ人だと思う。私自身はまだ、独自のスタイルを探している最中」

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