イラスト界の巨匠・灘本唯人の没後初個展

今年7月19日に心不全のため、90歳で逝去したイラストレーターの灘本唯人の追悼個展「MY FAVORITE -灘本唯人のにんげんもよう展-」が開催される。往年の名作30点の展示とともに新作のトートバッグやネオシルクを販売する。

by Yuuji Ozeki
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13 December 2016, 8:49am

プロ活動60年目であり90才となる節目の今年、惜しくも鬼籍の人となった灘本唯人の追悼記念個展が開催される。灘本は戦後の高度経済成長期に日本へいち早く"イラストレーション"という言葉を持ち込み、横尾忠則ら幾多の才能を見出した文化的カリスマである。当時、灘本の務める「早川デザイン事務所」、和田誠のいた「ライトパブリシテイ」、宇野亜喜良と横尾忠則のいた「日本デザインセンター」があり、グラフィック・デザインを牽引していた。ある日、彼らの前で先輩格の灘本がフランスの雑誌を持ち込み「装釘画家じゃあつまらん。これからはイラストレーションだよ」と言った。これが日本での"イラストレーション"のはじまりである。その後、この4人を中心に発足した日本初のイラストレーターの組織「東京イラストレーターズ・クラブ(現在の東京イラストレーターズ・ソサエティ)」では理事長を務め、今や300人を超える組織のトップとして戦後イラストレーションの隆盛を牽引。1993年にはイラストレーターとして初となる紫綬褒章を綬章する一方で、唯ひとり飄々と個性的な作品を発表し続けるスタイルで、名前の通りのクリエイターでもあった。当時の銀幕スターを描いた「銀幕伝説」に代表される写実な筆致以外にも「灘本式美人画」と呼ばれるウィットに富んだ現代女性を描くことでも知られ、彼の作品はモダンで軽妙な独特のタッチが特徴的だ。その大胆なデフォルメにはシュールなエスプリが込められている。

日本のイラストレーション史とは即ち灘本の歴史である。本展示では、1956年の山陽電車宣伝部入社時から今年7月に逝去するまでの60年に及ぶ活動のなかで遺した、新鮮で色鮮やかなポスター等、400点を超える作品群を厳選し、今こそむしろ注目されるべき強烈なインパクトのある傑作約30点を展示する。イラスト界に黎明をもたらし、時代の寵児として街の風景や世の中の空気作ってきた彼の軌跡を振り返ってみたい。

MY FAVORITE -灘本唯人のにんげんもよう展-
会期:2016年12月15日(木)- 12月26日(月)
会場:HCL フォトアートギャラリー
住所:〒160-0022 東京都新宿区新宿1-6-5
開館時間:平日10:00-19:00 土日及び最終日10:00-17:00
入館料:無料
問い合わせ先:HCLフォトギャラリー 03 - 3226 - 9602

Credits


Text Yuuji Ozeki

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