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「写真は嘘」:小見山峻インタビュー

ファッション、人、音楽、様々なシーンを独自の感覚で捉え続けるフォトグラファー・小見山峻の一風変わった写真展が開催される。個展開催を目前に控える彼に、メールインタビューを敢行。Tシャツをメディアに写真を展示する理由や、自身の写真論を語る。

by Hiroyoshi Tomite
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29 May 2017, 9:45am

i-D Japanでもポートレイトなどを撮りおろしているフォトグラファー・小見山峻初の個展「swindle」が開催される。今回の展示は、嘘をテーマに彼自身のこれまで撮りためてきた写真をTシャツというキャンバスに落とし込むという。Tシャツの製作及びプリントはRADWIMPSや凛として時雨など様々なアーティストのプロダクト・ディレクションを行いう加藤晴久(LUCK'A Inc.)が担当している。今回展示を控える小見山峻にメールインタビューを試みた。

写真を「嘘」だと定義する理由はなんですか?
写真は被写体が存在してはじめて成り立つ表現なので、そのアイデンティティは被写体に大きく依存しがちだと思います。そのなかで、撮り手としてのアイデンティティの追求は、対象をいかに自分らしい観点で認識して写真に収めるか。自分にしか見えない世界は何なのか。極端に言ってしまえば、理想は日常にあるありふれたモノでも他の誰かが想像つかないような写し方ができること。「嘘」というのは、写真そのものを「嘘」と断言するのではなく、誰かにとって、自分の写真が「嘘」のような世界であってほしいという理想です。

価値ある写真とは何だと思いますか?
それが分かってしまったら、写真の価値はなくなると思います。個人的には、要素として撮り手の「らしさ」がしっかり浮かんでくることが大事だとは思っていますが、果たして、それも正解かはわかりません。毎日死ぬほど考えていますが、一生分からないものだと思います。だからこそ楽しいです。

Tシャツを通じて写真を表現する理由は?
もっと写真を楽しんでもらえたら、というのが第一です。SNSが当たり前の世の中になって、写真を撮ることも観ることも2次元的な面ではぐっと日常的になりました。それでも、じゃあ「写真集をディグってみよう」とか、「誰か知らないけど面白そうだから写真展に入ってみよう」とか、「あの人の写真を部屋に飾りたい」とか、そういった3次元的なモチベーションはまだ弱いと思うんです。やっぱり自分が写真が好きだから、いろんな人にもっともっと楽しんでほしいということをずっと考えていて。最初はZINEについてより身近になってほしいと思い、無料のフォトイシュー『depth charge issue』を製作して配布しました。想像以上に沢山の人に行き渡ってすごく嬉しかった。だから考えはそのままに、より写真を楽しめる手段を探して、見つけたひとつの遊び方だったんです。かたや、今は動画もディバイスでいくらでも持ち歩ける時代だけれど、Tシャツにすることによって「作品を身にまとう」という新鮮な捉え方ができるのでは無いかと思います。

バンドのライブ撮影、ファッションフォト、ポートレイト、それぞれに通ずる部分、そうでない部分を教えてください。
突き詰めるとやっていることはほとんど同じかもしれません。構成を練る、撮る、選ぶの流れは一貫して同じです。ただ、そのバランスは大きく違っていて、ファッションやポートレイトは構成にかける時間がかなり大きい。ライブ撮影も事前にリハなどで練り込む部分はありますが、はじまってしまえばあとは瞬発力です。けれど、ファッションやポートレイトで頭を捻って浮かんだ景色がライブの撮影中にヒントになることは山ほどあるし、ライブ撮影で鋭くなった瞬発力がファッションやポートレイトを撮影する際に活きてくることは多々あります。上手く言い表すのが難しいですが、これは両方本気で取り組んではじめて見えてくるものだと思います。あと、ライブ撮影は機材が多いので肩と足腰がしんどいですね(笑)。まぁどれにせよ、やはりどれだけ自分の観点を突き詰められるかにかかっています。ファッションもポートレイトも描きたい景色を追求するし、ライブフォトだって、ただの記録写真だと思って撮ることはまずありません。そのときそのときの自分の「カッコいい」「面白い」が正解だと思っているので、純粋にそれに従うだけです。

写真を撮り始めてから約4年。写真に対する気持ちの変化はありましたか?
もう4年なのか、まだ4年なのかわからないですが、あいかわらず写真は好きです。写真以前の話ですが、14歳くらいのときに受けた衝撃はたぶん一生忘れない。理解をはるかに超えたヤバいものをみて身体中に電撃が走る、みたいな感覚。自分にとっては円山応挙とTHE BLUE HEARTSと松本大洋がそれで。自分の作品がそんなふうに誰かの撃鉄になれたらとずっと願っています。次々に浮かんでくるアイデアを形にする楽しさをもっと今以上に味わっていきたい。細かい枝葉はその時々の感情で当たり前のように変化しますけど、その根幹はずっと変わらないと思います。

「swindle
会期:2017年5月30日(火)〜2017年6月11日(日)*月曜休
会場:LUCKAND-Gallery Cafe&Bar
オープニングパーティ日時: 6月2日(金)18:00-21:00

Credits


Text Hiroyoshi Tomite

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