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sina suien spring/summer 17 at tokyo fashion week 

不協和音が“刺し”示した日本的思考。

by i-D Staff
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20 October 2016, 8:51am

会場中に響き渡るドーンという文字通りの鈍重な音はショーの間じゅう流された。この音のせいでショーの冒頭から非常に暗い印象を受けた。というのも「F/S needle/string/cloth」のテーマにあるようにSINA SUIENの今シーズンは、衣服を製作する上で避けては通れない"針で刺す"という行為にフォーカスしたコレクションだったからだ。この音の正体は、テキスタイルに刺繍を施しているときの音を録音し、極限まで引き延ばした加工音であるという。

針供養などにたとえられるよう、日本では古来から物に宿る八百万の神を崇めてきた。今日でも軍艦を擬人化したゲームが人気を博しているように、ときには命があるかのごとく扱い大事にし、静物にも関わらず愛でることさえある。今回、音楽を担当した藤本由紀夫曰く「針を通す行為は、言い換えれば針で刺す――意外に残酷な行為なんです」とのこと。音の本質を突き詰めいくと今コレクションの意図が汲み取れる。メインの洋服だが、西洋的な視点を織り交ぜながらデザインされた中国趣味のガウンやドレス、煌びやかな刺繍が配されたレース素材の貫頭衣などで、これらを纏ったモデルたちが両手に小型スピーカーを持って登場した。モデルのパーソナリティを表すようにそれぞれのスピーカーからは異なる電子音が発せられる。婦人服が持つ柔らかさや華やかさといった要素と、製作工程そのものに発見した暗部を対比させ、あえてその不協和音を楽しんでいるかのようなコレクションであった。

photo/Takehiro Goto

Credits


Text Yuuji Ozeki