蜷川実花 個展:うつくしい日々

ふと見上げた空の青さ、芽吹く若葉、風の薫りーー 蜷川幸雄の最期を共に過ごした思い出、父と娘の”うつくしい日々”をフレームに収めた、10日間のみの個展が開催される。

by Yuuji Ozeki
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10 May 2017, 9:20am

写真家の蜷川実花が個展を開催する。ちょうど一年ほど前のこの季節、鬼籍の人となった演出家・蜷川幸雄とともに過ごした追憶の日々が、本個展の主な題材となっており、近親者が生と死の間を行き来する状況下で、生命に焦点を当てた展示である。本人曰く「逝く人の目で撮った」と語るように、一点一点に、この美しい世界と別れゆく父の視線とそれを受け継ぐ娘の視線を重ね合わせた写真 約60点で構成される。また今月11日に写真集「うつくしい日々」も発売される。

ー 朝起きたら信じられないくらい空が青くて、あまりにも綺麗だった。どうせ逝くならこんな日がいいよね、って思った ー

おそらくは、本当に大切な人や自身の死と向き合う時の感受性でしか見えない景色なのだろう。体のどこかに常に不安と悲しみを宿しながらも、――『うつくしい日々』はそのような感受性で撮られた作品だ。作品に写る「止まれ」の標識の先に歩みが続くように、命は止まったようでありながら、娘へ、そしてその子供へと繋がれていく。稀代の演出家と写真家の関係ではなく、ごく普通の父と娘の最後の美しくも儚い日々だ。

この個展は、元は個人の邸宅であった原美術館で行われる。同美術館では、2015年に蜷川実花の個展「Self-image」展を開催している。あれから1年の間に写された"うつくしい日々"は、本人が「どうしてこんな写真が撮れたのかわからない」というほど、これまでの作品とは一線を画していることも本展の特徴だ。これらは従来の蜷川実花作品に見られるカラフルで華やかなイメージを覆すもの。そこには"死"に向き合うことで垣間見ることの出来た"生"の世界が広がっている。終わりと始まりは、いつも隣り合わせだ。

蜷川実花 うつくしい日々 - Mika Ninagawa:The days were beautiful
会期:2017年5月10日(水) - 5月19日(金) 会期中無休
会場:原美術館 東京都品川区北品川4-7-25
*5月14日は、原美術館の学芸員によるギャラリーガイドを実施予定(14:30より30分程度)

写真集『うつくしい日々』
発売日:5月11日(木)

Credits


Text Yuuji Ozeki
Photography Mika Ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

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