デザイナーが選曲した「今、聴きたい一曲」 vol.2

東京のファッションデザイナーたちに、彼らのアティチュードが垣間見える「今、聴きたい一曲」を紹介してもらった。

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jun 29 2018, 11:01am

Photography Takao Iwasawa. ALL CLOTHING WRITTENAFTERWARDS.

「いのちの記憶」二階堂和美 山縣良和(writtenafterwards)
「昨年の10月に庭園美術館で行ったファッションショー「After Wars」のインスピレーションのひとつが高畑勲監督作品でした。先日告別式に参列し、改めて高畑さんの功績や偉大さを痛感しました。そこで流れていた音楽は『パンダコパンダ』や『アルプスの少女ハイジ』などの主題歌だったのですが、それらのあまりにも有名な音楽が、自分の心に深く染み付いていることを実感しました。そして後日、二階堂さんがこの曲をその告別式で歌われている姿を拝見して本当に心が震えました。シンプルな歌詞が心地よく、“刹那”とともに生きる、人の感情や情景が心に浮かぶ時代を超えた作品です。高畑さんの作品を観たり、二階堂さんの音楽を聴くことで、自分もまた、次の世代に引き継げる作品を作らなければならないと強く思います」

「愛到你發狂」譚詠麟 (Alan Tam)シュエ・ジェンファン(Jenny Fax)
「Jenny Faxが台湾で行ったファッションショーで使った1曲で、ザ・ナックの「My Sharona」を香港の歌手であるアラン・タムが1980年にカバーしたものです。この楽曲に私は80年代らしさを強く感じるし、香港のシンガーが彼なりの言葉で歌っている。そうしたミックスカルチャーのテイストは、Jenny Faxというブランドとあい通じる部分があると思っています。この曲を耳にすると、80年代を過ごした子ども時代が頭に浮かぶんです。あの、とてもエネルギーに溢れた日々を……」

「Ghost Town」Kanye West YOON(AMBUSH®️)
「カニエ・ウエストが今月リリースした非常に“パーソナル”なアルバム『Ye』のなかの1曲「Ghost Town」は、彼が苦しみ、足掻きながらも叶うことのなかった羨望のモンタージュを、アルバム全体のカメオである070 Shake(ニュージャージー出身のティーンエイジラッパー・シンガー)が歌っています。無関心や自失感と戦いながら「ストーブの上に手をかざしてまだ自分からは血が出るのか確かめてみた もう何も痛くない 自由を感じた」と彼女が歌い上げた歌詞が表す、ざらつきのある自由連想的(free-associative)な構造が面白いと感じましたし、私の心を強く刺すものでした。私は今まで、彼の素晴らしいアルバムが制作される過程を何度も目撃してきましたが、2013年にアルバム『Yeezus』が東京でリリースされた日の真夜中の3時に、新宿や渋谷を歩きながらVERBALと3人で人生について語りあったことは今でも忘れられません」