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クルーズ・コレクションはなぜこれほど重要視されるようになったのか?

今週、ファッション関連の投稿がタイムラインを席巻しているのに気づいた人も多いだろう。今は“クルーズ”の時期なのだ。だけど、最近よく聞くようになった「クルーズ」ってそもそも何だろう?

by Jack Sunnucks; translated by Aya Takatsu
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04 June 2018, 7:30am

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あふれんばかりのクルーズ・コレクションの写真をInstagramで目にした今週、“クルーズ”というのは1年のいつごろなのか、そもそもクルーズってなに、と誰もが頭をひねったことだろう。そして、ただでさえ慌ただしいファッションショーをさらに増やす必要があるのか、とも思ったに違いない。ああ、恐れることなかれ、ファッション好きの者たちよ(特に恐れていたわけではないにしても)。「クルーズ」に関するあらゆる疑問をここに晴らそう。

〈“クルーズ”ってそもそも何?〉

アメリカでは“リゾート”とも呼ばれているクルーズ・ラインは、もともと真冬に発表される夏服のコレクションだった。「それなら、なぜ雪景色に薄手のブラウスが必要なの?」と疑問が浮かぶだろう。それは慣例的に、富裕層は冬を暖かい場所で過ごすから。暖かい地中海に浮かぶクルーズ船の上とか、そこでカヌーを漕ぐとか。彼らに毛皮のコートが必要ないのは明らかだ(リル・キムがエレガントに着こなしていたビキニと毛皮コートスタイルのファンだというなら別だが)。つまりクルーズコレクションはそんなふうに生まれたのだ。CHANELやDior、Gucciなどのラグジュアリーなメゾンがデザインした休暇中の服がほしいという人たちのために。

〈これまで“クルーズ”という言葉を聞かなかったのはなぜ?〉

最近まで、「クルーズライン」というのは業界用語の色合いが強かった(巻きスカートやオフショルダーのトップスにそれほど関心がある人がいるかは疑わしいが)。しかし、大手メゾンが春夏と秋冬のあいだにもう一稼ぎできると気づいてから、変化が訪れた。こうして、最高級メゾンがコルーズ・コレクションを催すことになったが、京都(Louis Vuitton)やキューバ(CHANEL)など、ショーが遠方で開催されることも多い。今年は、フランスへ連れ出されることが多かった。Dior、Louis Vuitton、Gucciがそろって、歴史にあふれリゾート地としても人気のあるこの地をショー会場として選んだからだ。対照的に、PRADAはそのきらびやかなショーをニューヨークで開催している。

〈インスタは「クルーズ」の話題でいっぱい〉

世界中から大勢が押しよせるファッションウィークとは反対に、クルーズラインは、限られたごくわずかの関係者とインフルエンサーのみが招待される。ゴージャスで暖かい場所で開催されることも、盛り上がりの一助となる。誰かに伝えたくなる要素に溢れているのだ。

〈了解、じゃあファッション的にはどうおもしろいの?〉

デザイナーたちは、商業的な期待が重くのしかかる普段のショーではそれほど見られなくなった創造的な世界に、クルーズでなら飛び込むことができる。Diorのマリア・グラツィア・キウリはメキシコの女性騎手からインスピレーションを受け、ニコラ・ジェスキエールは彼自身のコンセプチュアルで80年代的なスタイルの総括をLouis Vuittonのコレクションとして発表した。つまり、真冬の買い物客はちょっと刺激的でほかとは違うものを買いたがるという理由により、クルーズ・コレクションはデザイナーたちが、自由に実験的なことを行なえる場なのである。

〈誰がクルーズラインの服を着ているの? 私も着られる?〉

先ほど触れたように、クルーズ・コレクションは世界中の富裕層のあいだで人気を博しているものだ。うまいことに、そうした人々の多くは現在停滞気味のヨーロッパ市場ではなく、中国や中東、南米など、温暖な気候の地域出身なのである。彼らが厚手の冬用コートを買うことなどないので、クルーズはまさに彼らのためにあるようなものといえる。正直なところ、多くのブランドが規模の大小はあれどクルーズ・ラインを有しており、地球温暖化が進んでいる昨今、クルーズ・ラインが誰にとっても最も待ち遠しいシーズンになる日もそう遠くはないのかもしれない。

This article originally appeared on i-D UK.