オノ・ヨーコの粋な采配——『ザ・シンプソンズ』が生んだコンセプチュアル・アート

「ビートルズを解散させたのはヨーコ?」「彼女に笑いは無縁?」——オノ・ヨーコという存在には、今まで見えていなかった「もうひとつ」の側面があるようだ。

by Clementine de Pressigny
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01 November 2016, 7:59am

オノ・ヨーコは、コンセプチュアル・アートの作品や、世界平和のためのキャンペーン、そしてビートルズを解散に追い込んだ人物として知られている(が、ポール・マッカートニーは「解散はヨーコのせいではない」と明言している)。そしてまた、彼女を「笑わない女」と思っているひとも少なくないだろう。しかし、彼女が現在アイスランドのレイキャヴィクで公開している最新エキシビション『Yoko Ono: One More Story...』に見えるのは、彼女のユーモアのセンスだった。

レイキャヴィク美術館で開催されているこのエキシビションは、ヨーコ自身が生んだ過去の作品に加え、ヨーコのキュレーションにより選ばれたアーティストたちの作品も展示されている。そのうちのひとり、アイスランドのパフォーマンス・アーティスト、ラグナー・キャルタンソン(Ragnar Kjartansson)は、アニメの『ザ・シンプソンズ』からのエピソードをベースにした作品を制作した。ベースとなったエピソードには、長い黒髪の"日本人コンセプチュアル・アーティスト女性"が登場し、バーMoe's Tavernで「男物のハットに、プラムをひとつ浮かせた香水をいっぱいに注いで」と飲み物を注文する(ちなみに、このエピソードではこのコンセプチュアル・アーティスト女性と恋仲になったバーニーが、組んでいたバンドから離脱すると騒ぎ、バンドメンバーであるホーマー、スキナー校長、アプーの3人を困らせる)。キャルタンソンは、この"飲み物"を再現し、『Yoko Ono: One More Story...』に出展している。

Yoko Ono: One More Story...』参加アーティストの面々は、ヨーコ自身がアイスランド国内外のアーティストたちへの呼びかけによって集められた他、一般公募によっても選出された。ヨーコは国内外のアーティストたちに「特定の人々に水を与えるような作品を提供してください。戦争で指揮をとっているような人々の心を癒すための水、世にある問題に関して果敢に発言をして草の根活動を続ける人々の勇気を讃えるための水——水(愛)を渇望する特定のひと、特定のグループ、特定の場所へ贈る作品を」と呼びかけたそうだ。この呼びかけは「みんなで一緒に楽しみましょう」と結ばれていた。キャルタンソンはそれに応えたのだ。

Credits


Text Clementine de Pressigny
Photography Reykjavik Art Museum
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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