Nella wears Shibori merino jumper and merino lace skirt, Edward Crutchley. Earrings and bra (worn throughout) Colovos. Belt and boots vintage from Rokit. Myles wears shibori merino jumper, merino flannel shirt and trousers and waxed merino boots Edward Crutchley.

「製造者の名前を答えられる」2019年ウールマーク・プライズ受賞のEdward CrutchleyとColovosから学ぶサステナビリティ

メンズウェア部門とイノベーション部門をダブル受賞したEdward Crutchleyと、ウィメンズウェア部門で受賞したColovos。双方とも、単に異彩を放つブランドではない。ファッション界における、サステイナビリティへの新しい技術的アプローチを実現するブランドだ。

by Ryan White; translated by Ai Nakayama
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08 November 2019, 6:48am

Nella wears Shibori merino jumper and merino lace skirt, Edward Crutchley. Earrings and bra (worn throughout) Colovos. Belt and boots vintage from Rokit. Myles wears shibori merino jumper, merino flannel shirt and trousers and waxed merino boots Edward Crutchley.

This story originally appeared in i-D's The Voice of a Generation Issue, no. 356, Summer 2019.

2019年度のインターナショナル・ウールマーク・プライズ(IWP)を制したのは、ロンドンのブランドEdward CrutchleyとNYのブランドColovosだった。双方とも、進歩的かつ未来を見据えたブランドで、かつ、それぞれが拠点とする街のスタイルと同時に、ファッション業界のサステイナビリティへの新しいアプローチも体現している。そして何より、直観的でモダン。未来のファッションの可能性を提示している。

今回i-Dは、彼らのコレクションを撮影。それぞれのブランドのデザイナーにブランドの原点、メリノウールの斬新な使いかた、そして業界のなかでも由緒ある賞の受賞者として、どんな未来を描いているかを訊いた。

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Nella wears merino drape coat and merino skirt Edward Crutchley. Myles wears merino trousers and merino lace coat Edward Crutchley.

Edward Crutchley

ロンドンを拠点とするEdward Crutchleyは、今年度のIWPでメンズウェアおよびイノベーション部門の2部門を受賞(その賞金総額は30万オーストラリアドル(約2200万円))。デザイナーのエドワード・クラッチリーは、セントラル・セント・マーチンズを卒業し、2015年のFashion Eastで、本ブランドのメンズウェアを発表。以来10シーズンは、メンズウェアとウィメンズウェアを同時に発表しながら、精神的な面でも商業的な面でも成長を続けてきた。

彼の生み出す服には、ブランドの誕生から変わらず、彼らしい特徴が常に明確に表れている。ダイナミックで多様なプリント、高級感のあるテクスチャーと素材、現代的なカット。見事なストリートウェアと最高のテーラリングのあいだで、クリエイティビティを最大限に発揮しているこのブランドは、ロンドンにしかない要素を取り入れながら、この街を盛り上げる才能ある若きデザイナーたちの姿をまさに体現している。

「Louis Vuittonで働いていたときにこのブランドを始めました」とIWPの受賞を知ってから数日後、いまだにふたつの賞を獲得したことを信じられない様子のエドワードは語った。

「Louis Vuittonでの経験はすごくおもしろかったです。でも、他の誰かのために働いているときって、自分のアイデアを主張したくなることが絶対にある。だけどそのアイデアが、必ずしも自分の働いている会社でうまくいくわけじゃないんです」そうして、当時のLouis Vuittonのクリエイティブディレクターで彼のメンター的存在でもあるキム・ジョーンズの助言と応援に背中を押され、エドワードは思い切って新たな挑戦に乗り出した。

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Nella wears merino lace scarf and skirt Edward Crutchley. Myles wears merino lace shirt and scarf and waxed merino trousers Edward Crutchley

ブランドはローンチ以来、シーズンを重ねるごとに、規模も内容も徐々に成長してきた。地元の製造業者とも密に協力している。

「ほぼすべてのアイテムが、ロンドン北部2キロ以内の場所で作られています。もし、アイテムの作られた場所や製造者を訊かれたら、僕はその名前を答えることができる。誰が作ったか、そのひとたちがどういう労働環境で働いているかを知るのはすごく大切だと思います。僕が売るのは、できる限り搾取をしないように製造したアイテムです」

彼の思想は、ウールマークと親和性が高く、今回のIWP審査員にも共鳴したようだ。過去のコレクションでもウールを多用してきた彼は、2部門を受賞したウールマークとのカプセルコレクションで、ウールという素材の可能性をこれまで以上に追求した。

「ウールは超軽量なので、軽く流れるようなシャツから、丈夫なコートまでいろいろなアイテムに使用しました。ウールは様々なかたちで使用できる。プレスしてフラットに仕上げたり、あるいはふわふわにすることも可能です。1種類の糸から、あらゆるテクスチャーを生み出せて、いろんなことが実験できるんです。私は気心知れたサプライヤーと仕事をしたい。彼らと『どんな革新的なことができるだろう?』と協働する。いろんなリファレンスを融合させて、完璧にひとつのものに仕上げたいんです」

クラシックな技術に現代的なひねりを加え、長年積み重ねてきた遺産を有する、日本、イタリア、そして彼の故郷であるヨークシャーをはじめとする、世界中の素材メーカーとともに歩むエドワードの服は、速いファッションサイクルの中にあっても、クラフトマンシップへの敬意を忘れていない。服は、ただ購入するだけのものではない。〈投資〉が大事なのだ。

自身の将来について問うと、まだわからない、と彼は答えた。「この賞金で何をするかはまだ決めてないんです。意義のあることに使いたいから、焦って使ったり、適当な何かに投資するつもりはありません。それに、もしかしたら受賞は間違いだった、と言われて、どちらかの賞を返さなきゃいけなくなるかも、ってまだ疑ってるんですよ」

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Waterproof merino coat Colovos.

Colovos

2年前に誕生したColovosは、マイケルとニコールのコロヴォス夫妻によるブランドで、今年のIWPウィメンズウェア部門を受賞し、20万オーストラリアドル(約1500万円)の賞金を獲得した。

ミニマルでシンプル、細かなディテールにこだわる実にNYらしいブランドで、リラックスフィット、切りっぱなし、身体にフィットするジャケット、テーラリングの要素などをふんだんに使用している。ヘルムート・ラングの元で学んだふたりは、2000年代、彼が去ったあとのHelmut Langで、共同クリエイティブディレクターを務めた。主なキャンバスはデニムだが、ウールも彼らの作品には欠かせない。

「Helmut Lang、そして私たちの初めてのブランドHabitualのあと、もっと小規模なコレクションを築こうと思ったんです。ファッションの未来の、私たちなりのヴィジョンを反映したような」とNYにいるニコールは電話インタビューに答える。
「そして時を経て、できる限りサステイナブルなものにしたい、と考えるようになって。コレクションでは毎回、アイテムにいろんなものを取ったり加えたりしています。それにより、コレクションを循環するものにしたいので」

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Merino wool puffa, bra top and side buckle skirt Colovos.

「僕らは、ファッション界においてもすごく面白い立ち位置にいると思ってます。技術に関しても、テキスタイルに関しても、プロセスに関しても、アップサイクルに関しても」と付け加えたのはマイケルだ。

「アイテムはリサイクルされ、解体されて再び服づくりに使われる。それと同時に、オーガニック素材を使用して、サステイナブルなかたちで見事な服を作ることだってできる。もちろん工場で働くひとたちも、生活賃金を稼げます」

最近では、デザイナーたちも厳しいチェックにさらされ、世界におけるファッション廃棄物や二酸化炭素の排出量を減らすための取り組みが評価される。このブランドのようなアプローチの必要性は、これ以上ないほど高まっている。

ウールマークとのカプセルコレクションで、Colovosは耐久性があり実用的なアイテムを発表した。その核には現代的なミニマルな感覚や、サステイナビリティが宿っている。彼らは、衣料品製造のプロセスにおける有害化学物質の全廃を目的として環境NGOグリーンピースが主催している〈デトックスキャンペーン〉の参加工場とパートナーを組み、収穫から製造まで追跡可能な素材を使用。さらに、工場ではメリノウールの紡績に太陽光発電を利用している。

「私たちは、あらゆる業界で働くすべてのひとが、その仕事に対し、よりサステイナブルでエシカルなアプローチをしなくてはならない、と強く信じています」とニコール。「あらゆる業界を変化させ、正しい方向へ進めることは、私たち全員の責任ですから」

まさに彼女のいう通りだ。

ウールマーク・プライズについての詳細はこちらから。

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Nella wears Shibori merino jumper and merino lace skirt, Edward Crutchley. Earrings and bra (worn throughout) Colovos. Belt and boots vintage from Rokit. Myles wears shibori merino jumper, merino flannel shirt and trousers and waxed merino boots Edward Crutchley.

Credits


Photography Markn
Styling Bojana Kozarevic

Make-up Mattie White using MAC Cosmetics. Photography assistance Milly Cope. Styling assistance Emily Jones. Production Christina Barrett. Location scout Yolanda del Campo. Production co-ordinator Sandra Sebbe at POP House. Models Nella at Premier. Myles at Supa.

This article originally appeared on i-D UK.

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