SEVENTEENが振り返る、デビューからの5年間と重要なシングル5曲

デビュー5周年になるSEVENTEENのメンバーたちが、彼らの音楽活動を象徴する作品について解説。

by Taylor Glasby; translated by Nozomi Otaki
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26 May 2020, 8:00am

5月26日、デビュー5周年を迎える13人組K-POPグループSEVENTEEN。ボーカルチームのひとりで、ロサンゼルス生まれのジョシュアは、その年月になかなか実感が湧かないという。「あっという間でした。新曲のリリースやコンサートの準備でとても忙しくて」と彼は微笑む。6枚のEP、3枚のアルバム、5回のツアーが、不鮮明なモンタージュのように彼のなかを駆け巡っていったのだろう。

SEVENTEENは一夜にしてスターの座に上り詰めたわけではない。多くのアーティストと同様、彼らのこれまでの道のりは決して平坦なものではなく、さまざまな浮き沈み、成功と挫折を経験してきた。
2020年になった今、ヒップホップチームのエスクプス、バーノン、ミンギュ、ウォヌ、ボーカルチームのウジ、ドギョム、スングァン、ジョシュア、ジョンハン、パフォーマンスチームのディノ、ジュン、ディエイト、ホシから成るSEVENTEENは、K-POPを代表するグループとなり、その完璧なパフォーマンス、作詞作曲やプロダクション能力は国内外で高く評価されている。

他のメンバーたちも定期的に作詞作曲に参加しているが、グループの全楽曲を手がけるのはボーカルグループのウジと、彼らが所属するPledisエンターテインメントのインハウスプロデューサー、BUMZUだ。ジョシュアはそんなふたりの関係について、先輩後輩から「対等な立場」にあるアーティストへと進化した、と語る。

ポップスからファンク、バラード、そしてヒップホップやハウスまで、ジャンルを超えてクリエイティビティを発揮し続けるSEVENTEENは、どれほどヒットしたとしても、ひとつのサウンドにとどまることはない。

「僕たちはそれをリスクというより、変化を受け入れることとして捉えています」とミンギュは明言する。今回、SEVENTEENの5年にわたる進化を祝して、彼らの輝かしいキャリアを彩ってきた5つのシングル曲について、メンバーたちにFaceTimeで語ってもらった。

ADORE U (May 2015)

ホシによると、ファンクの要素を取り入れたバブルガムポップ「ADORE U」は、厳密には彼らのファーストシングルというわけではないという。彼らの本当のファーストシングルは、デビュー前にリリースされた、同じくエネルギッシュなナンバー「Shining Diamond」だ。スングァンが「歌詞に僕たちらしさ、僕たちの情熱がよく表れている」と評するこの曲も、今回の候補のひとつだったが、ウジは「『ADORE U』こそがSEVENTEEN。あの頃の僕たちをいちばんよく表している」と断言する。

2014〜2015年当時のトレンドだったダークなイメージや挑発的なEDMとは対照的に、パステルカラーの綿菓子のような「Adore U」ついて、バーノンはそのMV自体も異質な作品だった、と語る。それは、ひとりひとりの個性が存分に発揮されている、メンバーたちがじゃれ合うシーンだ。

K-POPにしてはローキーな映像で描かれるのは〈理想の隣の男の子〉のファンタジーだが、そこにはデビュー前のリアリティ番組でファンが既に見てきたSEVENTEENの姿も映し出される。

「Pledisは僕たちにありのままの自分を表現させてくれますが、同時に彼らが理想とする〈K-POPグループとしてのSEVENTEEN〉もあります」とバーノンは業界でのコントロールされたイメージと、自分たちの手で音楽をつくりあげることのバランスについて説明した。

「Adore U」で提示されるボーイミーツガールのストーリーは実にシンプルだが、絶え間なく続くコーラスからドギョムとスングァンのパワフルな歌声まで、曲の構成は緻密で、完璧なバランスを保っている。リリース前、この曲に対する自信にメンバー間で差があったことを、彼らは面白おかしく振り返る。

エスクプスは歌にもパフォーマンスにも揺るぎない自信があったというが、ジョンハンはトレンドに逆行するほうが「インパクトがある」と考えていたいっぽうで、「自信満々だったとはいえないと思う」と苦笑いを浮かべる。

長年にわたって何百回もパフォーマンスをしてきたが、彼らは今でも「Adore U」を心から大切に思っている(ウォヌも愛を込めて「アップビートで楽しい曲」と語る)。SEVENTEENがK-POP史に残る華々しいデビューを飾ることができたのは、この曲の色褪せることのない斬新さのおかげだ。

(아주 NICE) VERY NICE (July 2016)

ミンギュはSEVENTEENの最初のシングル3曲(「Adore U」「Mansae」「Pretty U」)を〈三部作〉と呼ぶ。「『VERY NICE』もこの3曲のストーリーに連なる作品です」と彼は説明する。「ですが、これらは独立した曲でもあります」

ドギョムによれば、以前のSEVENTEENはストーリーテリングよりも音楽的な成長に重きを置いていたというが、初恋の理不尽さや甘酸っぱい告白から、「Very Nice」で表現される弾けるような幸福感まで、彼らの歌詞の内容はサウンドとともに着実に進化してきた。

「Very Nice」は、彼らの陽気でキャッチーなサウンドのひとつの集大成といえる。過去作はすべてこの曲への布石だったのかと思うほどだ。

「もちろん、制作の裏にはある程度計算している部分もあります。エネルギッシュなサウンドをつくりたくて」とこの曲をデビューアルバム『Love & Letter』のリードシングルにしたかった(結局リパッケージ版『Love & Letter』のリードシングルになった)というウジは語る。

「でも、ほとんどの曲は運命的な偶然から生まれますし、この曲も生まれるべくして生まれたんだと思います」

ハリウッドの名作ミュージカルを彷彿とさせるクリーンで力強い振り付けも、「Very Nice」で表現されるほとばしるような感情によくマッチしている。

「振り付けチームと振り付けをしていたときは楽しかった記憶しかありません」とディノは回想する。「ずっと笑ってました」

他のK-POPのダンスと同様、この曲の振り付けも見かけ以上に難しい。「もっと面白くするためにどんなアイテムを加えたらいいか、みんなで意見を出し合いました」とホシ。

「そこでサスペンダーを使うことを思いついたんです。お客さんが充分目に追えるくらい単純ですが、実際に踊るのは振付師にとっても複雑で難しい振り付けです」

バーノンによると「それぞれの個性やメンバー同士のケミストリーをいちばん反映した」この曲は彼らの代表曲となり、2019年の〈Ode To You〉ツアーでのアンコールでは21分も続いた。さらに「Very Nice」は、彼らの2015〜2016年の作品を象徴する、軽快で耳に残るメロディの最高到達点といえる。

韓国のウィークリーチャートでは1位を獲得できなかったものの、MVの再生回数は彼らの全作品のなかで第2位を記録(2020年5月21日時点で約7500万回)。さまざまな男性/女性グループにカバーされ、国内の数々のヒットチャートの常連となっているのも、この曲が今も愛され続けている証拠だ。

(숨이 차) GETTING CLOSER (December 2018)

「ひとつのジャンルにフォーカスするのではなく、多様な音楽に挑戦したい」とジョシュアは語る。2017年の「Don’t Wanna Cry」や2018年の「Thanks」など、彼らの音楽は徐々にエモーショナルなEDMへとシフトしてきたが、この「Getting Closer」は、彼らの過去作でもっとも攻撃的なエレクトロニックサウンドと、「メンバー全員で挑戦したかった」とウォヌが語るパワフルな動きを提示している。

「〈숨이 차〉は韓国語で息切れという意味ですが、そのタイトル通り、歌ったり踊っているあいだずっと息切れしているような曲です」とジュンはおどけてみせる。

「ダークでインパクトがあって、SEVENTEENのパフォーマンスのカッコよさがつまっています」とドギョムはいう。「僕たちの大人な一面が見られる最高の曲です」

歌詞で表現されるゆがんだ欲望や衝動を駆り立てるようなパフォーマンスも魅力的だ。「激しい曲なので、ダンスもそれに合わせないと」とバーノンは笑う。「踊る前は必ずストレッチをします。すごくハードなので」

ディエイトは、この曲のインスピレーションを探すのは簡単だったと語る。「誰にもダークな一面はありますよね」と彼はいう。「僕自身も自然とこういう気持ちになることがあったので、それを曲で表現しました」

しかし、スタジオでの作業は思うようには進まなかった。ミニマルだが力強いインストゥルメンタルにも触れ、ウジは難しい曲だったと語る。「制作プロセスは思ったほど簡単にはいきませんでした。途中で何度もサビ、アレンジ、歌詞を変更しました」

パフォーマンスの観点から曲について考えたことが突破口となった、とウジはいう。「もっと前向きに考え、ステージを心に思い描いてみたら、作業が進みました」

「Getting Closer」はミニアルバム『You Made My Dawn』リリースに向けたウォーミングアップ的な作品だったかもしれないが、彼らにとって大きな変化のきっかけとなった曲でもある。多くの作品を世に送り出してきた3年間を経て、彼らは活動の方向性を変えることを決めた。

「僕たちは常に本物のパフォーマーであることを重視してきました」とバーノンは明言する。「成長したいなら、いつも同じことをやっているわけにはいきません」

このような考えは、彼だけでなくスングァンとウジも活動初期から抱いていたもので、今はグループ全体に浸透しているという。「この曲によって、僕たちは自分たちの領域を押し広げました」とバーノンはいう。「一歩前に進んだんです」

HIT (August 2019)

「最初にこの曲を聴いたとき、興奮がこみ上げてきて、すぐに自分たちがステージでパフォーマンスしている姿が思い浮かんだんです」とスングァンは笑う。「特にホシが興奮していたのをよく覚えています」

サッカー応援歌のような旋律と重いビートが、火砕流のように耳に押し寄せてくる。「すごく楽しい曲で、とにかく踊りたくなります」とジュンも興奮気味に語る。「パフォーマンスや曲全体が僕のスタイルにぴったりだったので、僕もこの曲に惹かれたメンバーのひとりです」

もし彼らの初期の作品しか知らなければ、SEVENTEENがK-POPでは珍しい、鼓動が高まるようなクラブチューンを作るなんて想像もしていなかっただろう。しかし、ディノによれば、彼らが前に進むことができたのは、この実験的な試みのおかげだという。

「HIT」が誕生したきっかけは、彼らが「パワフルでラウドな曲を作りたい」というアイデアについて話し合ったことだ、とエスクプスはいう。「曲を通してダイナミックなパフォーマンスを見せる、というのが主な狙いだったので、この曲にはかなり力を入れて取り組みました」とウジは当時を振り返る。ホシも微笑み、こう付け加えた。「ウジはずっとサウンドの細かなところにまでこだわって作業していたので、みんな感動してましたよ!」

「Getting Closer」と同様、「HIT」もステージのコンセプトを強調するために、ある意味で逆説的に作られた曲だが、この曲を多面的なダンスナンバーに仕立て上げているのは、官能的なヴァースと雄叫びのようなフックだ。

しかし、ビートの裏にはSEVENTEENの核となる要素が隠されている。それが「この日から僕らは自由だ」という歌詞だ。MV中にはジョンハンを縛るロープが断ち切られるシーンがあり、とらわれていたディノが解放されるような振り付けもある。

「音楽やパフォーマンスが僕たちが目指すものと一致しているので、それ自体が僕たちにとっての〈自由〉といえると思います」とジョシュアは説明する。

SEVENTEENのアルバム制作は、メンバー13人の感性を反映する途方もない作業に向き合う、取捨選択の繰り返しだ。快挙を成し遂げた今も(昨年リリースされた『An Ode』は3度トリプルプラチナを達成した)、バーノンは「もっと多くのひとが僕たちのことや僕たちのプロデュース能力を知ってほしい」と願っていて、そのなかには楽曲の幅広さも含まれる、と語った。賛否を呼ぶ「HIT」のような楽曲を解き放つことで、彼らはクリエイティブの火花に意気揚々とガソリンを注ぎ込み、誰も無視できないような炎を上げるのだ。

FEAR (September 2019)

「この曲について話したかったのは、SEVENTEENの過去と今の想いを歌っているから」とエスクプスは打ち明ける。「今では僕たちの考え方も成長し、視野も広がりました。歌詞に自分の考えや想いを取り入れるようになってから、作品がすごく複雑になっていったんです」

「永遠に続くものなんてない」とジョシュアは「Fear」で歌う。大抵のポップグループには寿命がつきものだが、彼は〈今〉を生きることに集中したい、と語った。「それでも独りになると、来年はどうなるんだろう、と不安になるときもあります」

「僕の幻想を切り捨て 逃げ出す」と歌うバーノンを長年悩ませているのは、「SEVENTEENのバーノンであること」、そして理想的なハンソル・バーノン・チェ像をつくりあげた人びとをがっかりさせることへの不安だ。

このように、「Fear」はメンバーたちの率直な想いや創造に伴う葛藤から生まれた。「変化が必要だということはみんな理解していて、意見も一致しましたが、それを実際に受け入れるのはなかなか難しかったんです」とバーノンはため息をつく。「スタジオであれこれ試しながら作業を続けました。みんな疲れ切っていました」

「コンセプトに関していうと、僕たちの全く別の一面を見せることへの不安もありました」とウジは吐露する。「僕たちが向かうべき方向性とか、今の立ち位置とか、将来とか…。それは僕たちが感じていたプレッシャーのほんの一部に過ぎません。僕たちはいつも前を向いて壁を打ち破ってきましたが、どうしても壊せない壁を立ち止まって見上げることは怖くてできませんでした。僕がこういう裡なる葛藤を抱えていることを、みんなは意外に思うかもしれませんが、これは僕たちのアイデンティティに欠かせないものです」

「僕の記憶を全部消して 僕は毒だから」という歌詞で、この曲は始まる。このパートの毒を飲み干し、胸をかきむしるような振り付けは、グリム童話を思わせる。「僕たちは毒を表現するのにいろんな方法を試しました」とディノ。「振り付けにストーリーを加えていったので、ああいう雰囲気の曲になったんです」

結果として、この曲のダンスは「普段の僕たちのスタイルとはだいぶ違うものになった」とホシはいう。しかし、振り付けを考えるうえで少し滑稽な瞬間もあった。「ちょっと面白かったのは、鏡の前で練習していたとき、鏡越しにメンバーたちがセクシーな振り付けを試してみたり、髪にこうやって指を通すのが見えて…」とバーノンはその動作をまねて笑う。

「Fear」の制作によって、彼らが新たな創作センスを得たのだとすれば、そのライブパフォーマンスは彼らにさらなる自信を与えた。「もっとエッジの効いたパフォーマンスができるようになり、このコンセプトが本当に自分たちに合っているのか、という不安も断ち切ることができました」とドギョムは微笑む。

リアリストのミンギュにとって、「Fear」は不安定な標石のような存在だったが、今ではアーティストとして進化し続ける彼らの道にしっかりと刻まれた。「僕たちが経験した最大の変化のひとつです」と彼はいう。「その変化はかなりうまくいった、と今なら自信を持って断言できます」

This article originally appeared on i-D UK.

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