by courtesy of Instagram 

自然災害やデモは自撮りのチャンス? インフルエンサーが次々炎上

なぜインフルエンサーは、非常時でも炎上してしまうのか?

by i-D Japan
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24 September 2020, 8:05am

by courtesy of Instagram 

ここ数ヶ月でインフルエンサーの炎上がニュースで頻繁に取り上げられるようになった。

アメリカ西海岸のカリフォルニア、オレゴン、ワシントン各州では3週間以上にわたり森林火災が複数発生、数千世帯が焼け落ち30人以上が死亡、数万人の住人が避難命令を受けている。気候変動による影響が大きいとされるこの火災だが、煙を吸った肺はCOVID-19にかかりやすいためコロナ下での危険性が高く、医療現場を逼迫させることも問題となっている。

煙は都市部へも広がった。山間部から強風によって運ばれた大量の煙はディストピア映画さながらの光景で都市部の住人たちを慄かせた。

しかし、これを絶好のチャンスと見た人もいた。インスタで30万人以上のフォロワーを有し、洋服を主に扱うアフィリエイトサイトを運営するブロガー、コレット・ルクレア(Colette LeClaire)もそのひとり。彼女にとって、オレンジ色に染まった空と『デューン 砂の惑星』めくビーチは理想的なフォトブースだった。

コレットはサンフランシスコの海辺でドレスを着た写真二枚をInstagramに投稿。キャプションには、その日がロサンゼルスへの引越し前日であり、このドレスを買うなら今しかないという旨が書かれていた。

米「PAPER」によれば、この投稿がTwitter上で拡散され炎上するとすぐにキャプションは書き替えられようで、今は「これがサンフランシスコでの最後の日。この海と砂浜にさよならを言いたくて、最後にいつもの遊び(自撮り)をしてきました。今は寄付のための服をかき集めているところ。このドレスはLAには連れていけないけど、サンフランシスコの誰かが可愛がってくれるはず懶 」となっている。

文末には「この数週間、カリフォルニアでは火災が続き、壊滅的な被害が出ています。火事に対処している人々のために祈りを捧げます。愛を込めて」とも書き加えられた。

燃えるインフルエンサーは彼女だけではない。

コロナのパンデミックが広がりつつあった今年3月、モデルでTikTokインフルエンサーの21歳Ava Louiseは便器を舐めて炎上した。彼女はCOVID-19なんてへっちゃらとばかりに、飛行機内のトイレの便器を舐める動画をTikTokとTwitterに投稿した。

「飛行機がどんなに衛生管理がしっかりしているか皆んながわかるようにRT希望」。コロナウイルス・チャレンジと銘打ったこの動画はたくさんRTされもしたが、それ以上の非難を浴びることとなった。もともと間違った感染予防策を指摘するために使われていた「#CoronavirusChallenge」を悪用するなといった批判や、誰がマネしたらどうするんだといった懸念の声などなど。チャレンジに参加するフォロワーたちも現れた(その1その2)。

それでも批判に屈しない彼女は「実際、私は自分のTikTok上の外国人嫌悪を止めた……今ではみんなが白人ビッチを嫌悪している」など複数のツイートで応答。便器は舐める前に漂白剤できれいにしており、感染リスクはなかったと主張した。

インフルエンサーは抗議運動にもやってくる。

今年5月の白人警官によるジョージ・フロイド殺害事件から全米各地に広がったブラック・ライヴズ・マターの抗議運動だが、それをシャッターチャンスと見て参加した二人組がいた。彼女たちは「ちょっとお酒飲んでから行こう」「暴動みのある服探さないと」といったチャットの会話をInstagramに写真と一緒にアップして燃え上がった。

これらは炎山の一角にすぎない。

マイアミのインフルエンサーはバリケードで封鎖された人気のないストリートに立って写真を撮り、ロサンゼルスのインフルエンサーは破壊された携帯ショップの前で写真を撮り炎上した。

この数ヶ月、英語圏に限定しても紹介しきれないほどの炎上がさまざまなメディアによって報じられている。スペイン語圏やフランス語圏、中国語圏ではまた別のインフルエンサーが燃えているはずだ。

しかし、なぜ彼女たちは炎上してしまうのだろうか。気候変動や人種主義差別によって人が命を落としているなか、それでも注目を集め、フォロワーを増やさなければならないと彼女たちを突き動かすものは何だろうか。炎上するインフルエンサーは現代社会がはらむ歪みの象徴なのかもしれない。

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