Poppies and Violette. France, 2021.

アレクサンドラ・ソフィーが写し出す絵画的なフェミニニティ

ChanelやPradaにも起用されたフランス生まれの写真家は、裸の背中、率直なフェミニンさに慰めを見出した。

by Miss Rosen
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01 June 2022, 3:00am

Poppies and Violette. France, 2021.

マオリの言葉で、自閉症は〈タキワタンガ〉と呼ばれる。直訳は〈それぞれの時間と空間にある〉。ニューロダイバーシティの核心を突く、エンパワリングな捉え方だ。

フランスの小さな村で育ったフォトグラファーのアレクサンドラ・ソフィーにとって、自然は常に身近にあり、安らぎをもたらしてくれるものだった。「自分が周りとは違うと気づくまでに、かなりの時間がかかりました」と彼女はいう。「でも、自閉症をネガティブなものだと思ったことは一度もありません」

 中学に入ると全てが変わった。「型に押し込もうとするプレッシャーがすごかった。何もかもが細かく決められていて、何度もいじめられました」と彼女は当時を振り返る。「あの頃はものすごく人が怖かった。考えるだけで身体が震えました」。バスに乗ることができず、普通乗用車サイズの特別な救急車で学校まで送り迎えをしてもらっても、状況は悪化するいっぽうだった。〈変人〉のレッテルを貼られ、アレクサンドラは伝統的な社会規範に順応することを諦め、ひとりの時間に慰めを見出した。

a woman stands in a stream in her underwear
Julie. Territoire-de-Belfort, France, 2011.

「私は写真に救われました」とアレクサンドラはいう。10代で退学したあと、彼女はネットサーフィンやブログを読みながら家で過ごした。「あの頃はFacebookもInstagramもありませんでしたが、DeviantArtのようなサイトには、とても独創的でコンセプチュアルな作品がありました」と彼女は説明する。「もともとはフォトグラファーを目指していたわけではありません。写真は単に時間をつぶし、何かをやり、オンラインで過ごすための手段に過ぎませんでした。でも、そこからどんどん進化していったんです」

人工光に敏感なアレクサンドラは、自宅の庭のような自然環境での撮影を選んだ。自分を撮るのは苦手で、姉妹をモデルに、ロマンティックなフェミニニティを写真に収めた。SNSが普及すると、彼女の姉妹たちはプロフィールにアレクサンドラが撮った写真を使い始め、友人に絶賛される。突然、誰も彼もがアレクサンドラ・ソフィーの写真に熱狂し始めたのだ。

a burning bra
Reflections. France, 2020.

「町のみんなのためにプロフィール写真を撮りました」とアレクサンドラは、自分のヴィジョンに自信を持つきっかけとなったこの出来事を振り返る。誰もが彼女の才能に気づき、アレクサンドラは突如としてのけ者から人気者になった。しかし、ずっと疎外されてきた彼女は、すぐに警戒心を緩めることができず、まずは目の前の課題だけに集中することにする。写真の技術の習得だ。

運命の巡り合わせか、アレクサンドラの繊細な写真はPrada、Chanel beauty、Dior beauty、『Vogue』、『Vanity Fair』、『Harpers Bazaar』などの大手ファッションブランドや美容ブランドの目に留まる。「なぜこんなことになったのか全くわかりません」と彼女はいう。

a woman lies in the grass on a picnic blanket
After the picnic. Territoire-de-Belfort, France, 2020.

「町のみんなのためにプロフィール写真を撮りました」とアレクサンドラは、自分のヴィジョンに自信を持つきっかけとなったこの出来事を振り返る。誰もが彼女の才能に気づき、アレクサンドラは突如としてのけ者から人気者になった。しかし、ずっと疎外されてきた彼女は、すぐに警戒心を緩めることができず、まずは目の前の課題だけに集中することにする。写真の技術の習得だ。

運命の巡り合わせか、アレクサンドラの繊細な写真はPrada、Chanel beauty、Dior beauty、『Vogue』、『Vanity Fair』、『Harpers Bazaar』などの大手ファッションブランドや美容ブランドの目に留まる。「なぜこんなことになったのか全くわかりません」と彼女はいう。

a flower built around a nipple as a girl lays on the grass
Luna Leung. Paris, France, 2014.

「この本は、自由になるためのまたとないチャンスでした」とアレクサンドラは説明する。「あらゆる方法で、純真さを表現しています。ヌードを撮ることは、私たちの身体を欲望の対象としてではなくありのままを見せることで、その所有権を取り戻す助けになります。服が妨げになるのに対し、ヌードは私たちの飾らない自然体な一面を提示します。ファッションを、そしてその商業的で資本主義的な面を取り去ることで、写真は時代を超越するものになります」。アレクサンドラにとって、美しさとは主体か客体かの問題というよりむしろ、そこに存在することへの反応であり、その存在の本質を証言することなのだ。

現在29歳で、夫と子どもたちとフランス郊外の村で暮らす彼女は、家からあまり出ることなく生活している。撮影でパリに赴くなど、写真は彼女が屋外で行なう唯一の活動だ。「頭の中にイメージが浮かび、興奮して気持ちが高まることもありますが、平和で静かな家に帰ってくると、いつも幸せな気持ちになります」

 写真はアレクサンドラに自分だけの時間と空間の中で全力で生きる自信を与えた。「自分には、思い通りになり、この世界を生き抜く手助けになるものがあることを実感しています」と彼女はいう。「誰もいない場所でカメラを持って、友だちの写真を撮るのが好きです。ただ光に従うんです」

a woman in the grass surrounded by trees and flowers
Umbelliferous. Ardèche, France, 2021.
a photo of a woman shot naked from behind with a crescent moon in light
Alexandra Sophie, Flower Shower.

Credits


All images courtesy Alexandra Sophie

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