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キアヌ・リーヴスのファッション変遷

大人気俳優なのに30年間同じ服を着ているといううわさは本当なのか? 

by Zoë Kendall; translated by Nozomi Otaki
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21 May 2021, 9:46am

Images via Getty, Getty + FilmMagic

ファッションに関しては、好みがはっきりしているキアヌ・リーヴス。1980年代後半のハリウッドに彗星の如く現れた彼は、ずっと数個のアイテムをローテーションし続けている。そのなかで飾り気のないカジュアルウェアと洗練されたスーツを融合させ、まさに〈こざっぱりした〉という表現がぴったりな、唯一無二で一目瞭然のスタイルを確立した。

定番アイテムは、よれよれのTシャツ、スリーピーススーツ、ダメージデニム、ライダースジャケット(ついでにヘルメット)、さらにレッドカーペットでのビーニー、そして足元は万能のスエードのトレッキングブーツだ。

キアヌは30年格好が変わっていないという声も多いが、彼のスタイルは(ほんの少しずつではあるが)着実に進化してきた。そんな彼が自らを象徴するルックに磨きをかけ、完成させるまでの道のりを振り返る。

1989年 駆け出し時代のフォトセッション

1986年に銀幕デビューを果たし、1989年の『ビルとテッドの大冒険』でブレイクしたカナダ人俳優、キアヌ・リーヴス。その後のまぎれもなくカジュアルで、ほんの少しハードコアを取り入れたスタイルをほのめかすヒントは、まだ20代前半だった駆け出し時代のフォトセッションにも表れている。

 ダメージジーンズ、着古したTシャツやスエットシャツ、そして特筆すべきはヴィンテージ風のスエードのトレッキングブーツだ。このブーツは、90年代後半に文字通りボロボロになるまでずっとキアヌの定番アイテムであり続け、今もなお彼の足元に影響を及ぼしている。

keanu reeves in a leather jacket and holding a motorcycle helmet on the red carpet
Photo by Ron Galella/Ron Galella Collection via Getty Images

1989年 インディペンデント・スピリット賞授賞式

上で紹介した写真からわずか数ヶ月後、私たちはキアヌのハードコアカジュアル・ルックのさらなる進化を目撃する。色あせた黄色のスエットシャツに、レザーのライダースジャケット、ダメージジーンズ、くたびれた白のスニーカー、極めつきは、こちらも頻繁に登場する傷だらけのヘルメットだ。

 キアヌはさまざまな場所でバイクへの愛を語っており、この2年後には、ブラウンのスエードジャケット姿で、愛するノートンのバイクにまたがって映画『Another You』のプレミアから走り去る姿をキャッチされた。

keanu reeves hang ten hand gesture at the point break movie premiere
Photo by Ron Galella/Ron Galella Collection via Getty Images

1991年『ハートブルー』プレミア

1991年、キアヌお気に入りのブラックレザーはブラウンのスエードに入れ替わり、トレードマークの真っ黒のライダースジャケットの代わりにキャメルのコートが登場するようになった。

『ビルとテッドの大冒険』のプレミアではTシャツに、『Another You』の試写ではチェックのフランネルシャツにこの新たな定番アイテムを合わせたキアヌ。上の『ハートブルー』のプレミアでは、ペイズリー柄シャツと組み合わせ、70年代スタイルを演出した。

keanu reeves smiling outside the MTV Movie Awards
Photo by Jeff Kravitz/FilmMagic, Inc

1992年 MTVムービー・アワード授章式

スーツにカジュアルなひねりを加えるスタイルを得意とするキアヌ。1980年代後半から90年代前半にかけ、彼はポロシャツ、カシミアセーター、ジャージー素材のヘンリーシャツ、チャンキーニットなど、多様なアイテムとジャケットを合わせた。足元はもちろん、トレードマークのトレッキングブーツだ。

さまざまな選択肢のなかで、キアヌが特に気に入っていたのは、クラシックなブラックTシャツとの組み合わせ。その起源は1992年にさかのぼり、MTVムービー・アワードのキアヌの服装は、今では彼の代表的なルックのひとつとなった。

keanu reeves riding a motorcycle in a suit at the independent spirit awards
Photo by Ron Galella/Ron Galella Collection via Getty Images

1993年 インディペンデント・スピリット賞授賞式

キアヌの1993年を象徴するアイテムといえば、このブラウンのヘリンボーンのスーツだ。彼はこのセットアップ(もしくはジャケットのみ)を、映画のプレミア、空港、挙げ句の果てにはシェイクスピア原作『空騒ぎ』を映画化した『から騒ぎ』のプロモーション撮影でも着用した。

この写真では、レザーのライダースジャケットをレイヤードし、足元にはトレッキングブーツを合わせ、ヘルメットをかぶったままで、しかもバイクのエンジンすらかけっぱなし、という彼にしかできないスーツの着こなしを披露している。

keanu reeves in a beanie on the red carpet at the Devil's Advocate premiere
Photo by SGranitz/WireImage

1997年『ディアボロス/悪魔の扉』プレミア

1997年から1999年にかけ、キアヌはレッドカーペットの上でもそれ以外でも、リラックスしたスタイルを見せるようになる。新たに確立したロックスターとしての地位に影響されてか、彼を象徴するシルエットはルーズさを増していく。ロサンゼルスの有名ナイトクラブ〈Viper Room〉やイングランドのグラストンベリー・フェスティバルなど、DOGSTARのステージでは、キアヌは超オーバーサイズのTシャツとジーンズにビーニーを組み合わせていた。

 このルックはレッドカーペットにも進出し、ニットのビーニーを、カシミアのスーツやウールのセーター、ベルベットのブレザーなどのソフトなアイテムと合わせ、トレッキングブーツの代わりにスエードのローファーが足元を飾った。この時代は彼のリラックススタイルの最盛期だったが、ビーニーや見事なドレープのスカーフは、今でもキアヌのレッドカーペットルックに度々登場している。

keanu reeves on the red carpet at the hardball movie premiere
Photo by Ron Galella/Ron Galella Collection via Getty Images

2001年『陽だまりのグラウンド』プレミア

代表作『マトリックス』を携え、主演俳優としての地位を確立した後、キアヌのスタイルは少しずつ洗練されていった。スーツはより立体的で流線形になり、Tシャツではなく同じ色合いのドレスシャツやベストと合わせられることが増えた。

 トレードマークのトレッキングブーツも鳴りを潜め、しばしば磨き上げられたオックスフォードシューズに取って代わられたが、それでもキアヌの着回しアイテムから完全に姿を消したわけではなかった。おなじみのトレッキングブーツは『マトリックス』のプレスツアー中、2000年のMTVムービー・アワードと『マトリックス』のパリでのプレミアで再登場を果たしている。

keanu reeves on the red carpet at cannes film festival
Photo by Pool CATARINA/LEPETIT/Gamma-Rapho via Getty Images

2003年 カンヌ国際映画祭

ハリウッドの名だたる俳優たちの例に漏れず、キアヌもブラックフォーマルを着こなせることを証明している。その最たる例が、2003年のアカデミー賞(光沢のあるボウタイとカフスボタンで超オーソドックスなルックを披露)とアメリカン・シネマテーク・アワード(ポケットチーフにマッチする純白のシルクタイで彼らしいオケージョンスタイルを披露)だ。

 しかし、2003年のカンヌでキアヌが着用したブラックフォーマルは、まさにキアヌそのものだった。シンプルなフライフロントのシャツ、思い切りとがったラペル、そしてもっとも目を引くのが超ルーズなボウタイだ。この独特のスタイリングは単なるミスか、それとも計算されたものだったのか? 私たちには知る由もない。

keanu reeves with his hands in his pockets at Amanda De Cadenet's party
Photo by Donald Bowers/Getty Images

2005年 アマンダ・デ・カディネット『Rare Birds』出版パーティー

キアヌのワードローブのなかで、2000年代の最頻出アイテムといえば、このTシャツだ。2005年から2006年にかけ、このグレーブラウンのTシャツは、瓜二つのグレーとブラックのピンストライプスーツと組み合わせられることが多く、カンヌ国際映画祭をはじめ、MTVムービー・アワード授章式やNYのセントラルパークのイベント〈Shakespeare in the Park〉にも登場。基本的に、キアヌはブラックフォーマルが要求されないすべてのイベントで、このTシャツを身につけている。

keanu reeves walking in new york city with a teacup in his hand
Photo by Marcel Thomas/FilmMagic

2006年 ニューヨーク散策

2000年代から2010年代にかけ、キアヌのパパラッチショットは史上最高のセレブ・ミームを生んだだけでなく、彼の興味深く多岐にわたるルックを明らかにしている。レッドカーペットのスタイルは確立したものの、彼の私服はもっと実験的だ。この時代のキアヌは、テクニカルなハイキングスニーカー、ストライプのスカーフ、トラッカーハット、カーゴパンツ、アーミージャケット、レザークラッチ、ウールのロングコートを身につけた姿をキャッチされている。

keanu reeves at a film screening in paris in an all-black outfit
Photo by Marc Piasecki/Getty Images

2016年 パリの試写

2010年代のキアヌを象徴するスタイル。これこそが誰もが思い浮かべるキアヌ・リーヴスであり、いかにも彼が好みそうなアイテムが揃っている。それはすなわちブラックスーツ、浅めのVネックTシャツ、繰り返し登場してきたブラウンのスエードシューズだ。これは現在のキアヌのお気に入りであるだけでなく、彼がこの30年で磨きをかけてきたスタイルの集大成ともいえる。

keanu reeves on the red carpet at the premiere of john wick: chapter 2
Photo by David Livingston/Getty Images

2017年『ジョン・ウィック:チャプター2』プレミア

洗練されたブラックスーツは、キアヌが2010年代に演じたジョン・ウィックの代名詞的アイテムだ。しかし、2014年から2017年にかけて最初の2作のプロモーションを行なった際、キアヌはこの大人気キャラクターからは距離を置き、これまでにない遊び心に富んだフォーマルスタイルを披露した。

この3年間で、キアヌはストライプやドット、編み目模様のネクタイから、ネイビーブルーや宝石のような色合い、つやのあるブラウンのレザーベルト、全身トープのワントーンスタイルまで、さまざまなルックに挑んだ。

keanu reeves standing on the beach at the Saint Laurent SS20 menswear show
Photo by Phillip Faraone/WireImage

2019年 Saint Laurent 2020年春夏メンズコレクションショー

正真正銘の映画スターだけでなく、スタイルアイコンとしての地位も確立したキアヌは、Saint Laurent 2019年秋冬メンズコレクションのキャンペーンモデルに起用される。2016年にアンソニー・ヴァカレロが引き継ぐ前の、エディ・スリマン時代のSaint Laurentの若々しさに満ちたルックに影響されたのか、キアヌは2019年後半、スーツにグラフィックTシャツを組み合わせるようになる。上の写真では、このフランスのメゾンのプリントTシャツを着用し、オールブラックコーディネートを披露している。

keanu reeves on the red carpet at LACMA Art + Film Gala
Photo by Steve Granitz/WireImage

2019年 LACMA アート+フィルムガラ

2019年、約6年にわたる三部作を締めくくる『ジョン・ウィック:パラベラム』のプレスツアー中、キアヌは完璧なスーツスタイルで、このキャラクターを象徴するルックにオマージュを捧げた。LACMA アート+フィルムガラには、まさにジョン・ウィックそのもののダークグレーのスリーピーススーツで登場。自らアイコニックな映画のルックに身を包み(これ以上望むものがあるだろうか?)、足元はブラウンのスエードスニーカーではずしを効かせた。

 もちろん、30年間まったく同じ服を着ていたわけではないが、今までもこれからも、キアヌはキアヌ。これだけは確かだ。

 
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