shu uemura uchiideが語る無限のファンタジア

村上隆とのファンタジーなホリデーコレクションが話題のshu uemura。アーティスティック ディレクターのuchiideに、コラボレーションとi-Dでのシューティング、そしてブランドが追求する美の世界を尋ねた。

by Aiko Ishii
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11 November 2016, 4:45am

shu uemuraはこれまでもさまざまな分野のアーティストとコラボレートしていますよね?
今の時代、女性の美しさはメイクだけでは表現できないと思うんです。ファッションやヘアスタイルとのバランスもあるし、音楽や文化が影響することもある。あるいは、最新の科学が人間の美に関係することさえあります。現代の美がホリスティックなアプローチでなりたっているからこそ、顔だけではなくそれ以上を提案していくことが、これからのshu uemuraの役割だと考えているんです。アーティストたちとのコラボレーションはまさにその一環です。デザイナーやクリエイター、さまざまな分野で活躍する人たちと互いに刺激し合いながら、これまでにない新しいものを発信していく――今回の村上隆さんとのコラボレーションも、そうした背景から生まれました。

ホリデーコレクションはどのように実現化されたんですか?
村上さんと「テーマをどうしよう」とお話しした際に、2度目のコラボレーションとなる今回は、彼のアイコンである"フラワー"を取り上げて、アーティスト村上隆の世界観とshu uemuraのスピリットに焦点を当てようということになりました。村上さんの作品には無限の宇宙のような奥深さがありますよね。それで自然と「空だね」「空間だね」という言葉が出てきたんです。

「無限」を表現するということでしょうか?
哲学的ですよね(笑)。村上さんは芸術に対して非常にピュアな方だと思います。彼が描く"フラワー"は美でもありピュアさのシンボルでもある。美しさに向き合うときの気持ちの表れですよね。美をピュアに突き詰める精神は、僕たちの姿勢と共通しています。まるで子供のような、無垢な純真。それで、ふとレイチェル・カールソンの『センス・オブ・ワンダー』を思い出したんです。姪の息子と休暇を過ごす物語なんですが、森や海の美しさに素直に感動する子どもの気持ちがポエティックな文章で綴られています。僕も子どもの頃、冬の夜空を見上げて、ただただ静かに降り積もる雪の美しさに感動したことがあって……。そういう、きっと誰しもが心のどこかにしまっている、ピュアな感動の記憶を落とし込めたらという想いから今回のコレクションが誕生しました。

i-Dでのビジュアルで表現したのは?
テーマとはまた少し離れたところで、今回のカラーコフレを使いながら、どう今の"リアリティ"を表現するかにチャレンジしました。メイクは重ねていく作業ですが、何かをつけることではなく、その人の魅力を引き出すことが本当の意味でのメイクアップです。完璧に作り込むのではなくて、自然なヌケ感のある"不完全な美"が、若さやバイタリティを高めることができるのだと思います。ポイントは"メイクをするところ、しないところ"をハッキリさせること。目元を色で遊ぶなら、あえてマスカラやチーク、リップはしない。リップの色と質感を強調したいなら、ほかはアイブロウだけに限定してみる。コフレにある色を全部使う必要もありません。単色でも、何色か重ねてみてもいいし、このパレット1個で何種類ものカラーメイクを楽しめる。複雑なテクニックは必要ないんです。指でさっと乗せるだけでもいい。それくらいシンプルに、テクニックを補ってくれる使いやすい処方になっています。

left:マットな赤の次はシアーなレッドを。「その人自身の唇の色がまるで透けて見えるかのような、透明感のある赤です。濃くしたアイブロウとのコントラストだけで見せるミニマムなメイクながら、その効果は最大限に引き出せます」
tsugumi wears rouge unlimited SHEER SHINE rouge bloom
right:ピンクをベースカラーに目元と唇だけを染めて。「強く発色するカラーを使うときは、キワに引き締める色を少しだけ入れて影を作ってあげるとアジア人の目に似合います。平面的にせず、自然なグラデーションを意識してください」
tsugumi wears eye cosmic blossom eye&cheek palette-cosmikawaii. Rouge unlimited SHEER SHINE pink bloom

left:パープルを黒で引き締めクールなパーティガール。「クールだけど必要以上にグラマラスではない目元。フレーム近くはブラックのアイライナーで根本の影をややぼかすように。完璧にラインを引かないことでフレッシュに仕上がります」
tsugumi wears eye cosmic blossom eye&cheek palette-cosmicool
right:シアーなピンクの唇にグリッターな目元でホリデー気分。「赤と違ってピュアな可愛さが表現できるピンクのリップ。甘さが強くなりすぎないようにまぶたにはゴールドを。ほんの少しの質感の対比が、顔の中でバランスを作ってくれます」
tsugumi wears lip rouge unlimited SHEER SHINE pinky bloom

赤リップやチーク使いなど、最近はカラーに対する関心も高まっていますよね。
ここ数年、アイライナーがトレンドの時代が続きましたけど、80年代や90年代調がファッションに戻ってきて、メイクシーンでも"面"での表現があらためて脚光を浴びています。形で変化するライン使いも面白いけど、色はそれぞれ固有の感情作用があるからもっと幅広い変化を楽しめるはず。だから、若い今こそ体験できるカラーにぜひチャレンジしてもらいたいです。メイクが仕上がったら、必ず一度下がって全体を見てみてください。他人の視線って鏡ほど近くないですからね(笑)。ファッションとのバランスや全体で自分の顔がどう見えているのか。ちょっと引いてみるのが、あなたに本当に似合うメイクに仕上げるコツです。人の顔ってどんどん変わるものです。スタイルや年齢によっても変わりますから、その時その時でちゃんとメイクの仕方も変えみてください。

新しい試みに挑戦する一方、創始者である植村秀氏から継承した、今後も変わることのないブランドのフィロソフィーはありますか?
たくさんありますが、一言で表すなら"シンプルであり、リッチであること"です。相反する要素かもしれませんが、例えば様々な色を掛け合わせてできた黒は一見シンプルながらよく見ると実に奥深い。そこに到達するまでに安易に妥協を許さないプロセスやスピリットが隠されているんです。もっともシンプルな方法で、最大限のリッチな魅力を生み出す、そういうメイクアップを提案してきましたし、これからも突き詰めていきたいと思っています。それは"洗練"をどうとらえるか、ということにもつながります。時代に敏感であることは大事ですが、フォロワーになってしまっては意味がない。一極集中ではない今の時代、無数の極のなかで、shu uemuraもひとつの強く輝くユニバースでなければならない。「ブランドは1日で壊れる」と自らを厳しく律しながら、美を追求しチャレンジを続けてきた植村の言葉が、今実感として深く身に沁みています。

@uchiideafb

brand.shuuemura.jp

Credits


Text Aiko Ishii

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