the a-z of makeup in 2016

“ブリーチした眉”、“さらけ出した欠点”、“ゴス”そして“肌見せ”—これら2016年の全てのトレンドをいっぺんに実践してみる。というのもアリなのかもしれない。男性のビューティマスターや、ビューティの世界を切り拓くトランスジェンダー達、そして声高に意見を代弁してくれるモデルなど、メイク界のパワープレイヤー達は、今季のランウェイに負けず劣らず多様化している。

by Hannah Ongley
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08 April 2016, 8:00am

【A】Adorn (飾る)
パール、金箔、スパンコール……。今年のビューティは、輝きが主役。宝石を盗むカササギのように、光りものに目を光らせて!伝説のメイクアップ・アーティスト、パット・マグラス(Pat McGrath)を崇拝するあなたなら、すでに彼女がスパンコールにインスピレーションを受けて作ったカルト的人気アイシャドー、#Gold001をチェック済みのはず。そのマグラスが、#Gold001に続く商品を発表した。8種のメイク道具からなるDIYメイクボックス、Phantom002だ。マグラスから本誌読者にアドバイス:「無難な使い方はやめて、大胆に」。

@patmcgrath @jadextaylor

【B】Boys(ボーイズ)
2つのジェンダーが混じりあってきているのは、ランウェイの世界に限ったことではない。メイクの世界も同じこと。Youtubeチャンネルに数百万人の登録者を持つビューティの達人、 パトリック・スターマニーMUA(Manny MUA)のビデオを参考に、完璧なキャットアイ・メイクをマスターして。

【C】Caitlyn Jenner(ケイトリン・ジェナー)
「私の時代よ」とばかりに娘カイリーを押しのけ、MACとのビューティー広告キャンペーン契約を結んだケイトリン。アンドレイ・ペジックやリア・Tに続き、トランスジェンダーに対する世の認知と受容を広める存在として評価されているケイトリンだが、今回の契約の目的を「恵まれない環境にいるトランスジェンダーたちへのサポート」としている。

【D】David Bowie(デビッド・ボウイ)
1月に他界したデビッド・ボウイへのトリビュートはその後も続き、今も衰えを見せていない。「男がメイクをしてもいい」という概念を体現した先駆者、ボウイ—メタリックなアイシャドーから、アルバム『Aladdin Sane』のカバーに使われた鮮烈なルックス(そしてケイト・モスがボウイに扮した『Vogue』誌の表紙)に至るまで、彼が打ちだした美は、疑いの余地なく世界に大きな影響を及ぼした。しかしボウイにとってメイクとは、容姿よりも生き方に深く関係していた。ときにマスクは、つけることよりも外すことが難しいものなのだ。

【E】Eyebrows(眉毛)
ブラッシングして、ブリーチでもするか、もしくは眉頭にスリットでも入れてみる? ここ数シーズン、眉毛にはそれほどの主張が見られなかったが、今季は実験的な眉がトレンド。2016年秋のランウェイで特に目を惹いたのはジジ・ハディッドの眉。GiAMBATTiSTA VALLiではラメでキラキラに、Chromatではネオンピンクに輝いていた。

【F】Freckles(そばかす)
不完全なものこそ美しい。俳優のロン・ウィーズリーやシンガーソングライターのSZAを見て欲しい。どんなスキントーンでも、そばかすを生かせばそこには個性が生まれる。太陽の恵み・そばかすを持っていないひとは、Topshopで手にいれることができる。2016年に流行りそうなもの? 虹色のそばかすなんかいいんじゃないかしら!

@eliotte_mua

【G】Goth(ゴス)
Marc Jacobsの2016年秋冬コレクションで、ボリュームのある睫毛とブルーのアイシャドーが、ホットなグランジ感を作り出していたのは記憶に新しい。他には、唇の輪郭をはっきりとライニングで描くこれまでの流行に対し、青白い肌に、中央から滲むようなグラデーションの赤いリップが多く見られる。

【H】Haters(ヘイター:中傷するひと)
SNSであろうが実生活であろうが、美しい容姿を持つ女性への中傷は、現代社会にはびこっている。でも覚えておいて。嫉妬はみにくい。嫉妬するぐらいなら、口紅をもうひと塗りしみて。そして、もしあなたにまだ、とやかく言いがかりをつけてくるヘイターがついていないなら、それはあなたが「もっとワイルドになっていい」という証かもしれない。

【I】Illuminate(輝き)
健康的な閃光に流行りすたりはない。しかし今季、メイクアップ・アーティストたちはその輝きを新たなステージにまで押し上げている。パット・マグラスは虹色のパウダーを用いてValentinoのモデルたちにシャワーを浴びたばかりのような輝きを生んだ。そしてGucciの"ストリート・ピーコック"もまた、ダイヤモンドのように輝いていた。絵と金色がふんだんに散りばめられていて、毛皮たっぷりのあのコレクションを引き立てるには、あれくらいの輝きが必要でしょう?

@caroline.torbahn

【J】Jelly(ゼリー)
ココナッツオイルの時代は終わった—次にキッチンから化粧机に持ってくるべき食べ物はゼリー。Glossierが初めてクラウドソーシングで作ったpHバランス・クレンザーや、Too Facedのピーナッツバター&ゼリー・パレットなどを使って、あなたも美味しい容姿を手に入れて。

【K】Korea(韓国)
韓国は、私たちがまだ知らない美の秘訣を知っている。韓国人の肌を見れば、それがハイクオリティのコスメと、ビューティ習慣によって育まれてきたのだとわかる。しかし、輝く肌だけが韓国の得意分野ではない。ジェンダーの垣根を越えて、男性用アイライナーや色付きモイスチャライザーがメインストリーム市場にまで発展している国は、世界中を探しても韓国ぐらいのもの。アメリカもそれに続くのか? i-Dはその行方を今後も追っていくから、乞うご期待!

【L】Leomie Anderson(レオミー・アンダーソン)
ニューヨーク・ファッションウィーク開催中、「どんな人種の肌・髪にも対応できるメイクアップ・アーティストが少なすぎる」とツイートし、物議を醸したVictoria's Secretのモデル、レオミー・アンダーソン。この一連のツイートは、いかに黒人モデルたちが舞台裏で苦悩を強いられているかを明らかにした。それに続き、彼女が制作した"サバイバル・キット"のビデオも話題に。問題に対し声を上げるモデルが増えてきているが、i-Dは彼女たちを応援したい。業界が耳を傾けてくれていることを願う。

@leomieanderson

【M】Maximalism(マキシマリズム)
これまで流行してきた「コントアリング」や「ノームコア」への避けられない反動として、強烈な主張を1つ入れる「マキシマリスト」のトレンドになりつつある。Pradaの2016年春コレクションに見られた、「朝目覚めてそのまま」というようなすっぴんメイクに鮮やかなコバルトブルーのキャットアイを合わせたルックスや、ノーメイクの目元に金色の唇を合わせたルックス—はたまた同シーズンのGiAMBATTiSTA VALLiのコレクションに見られた、ネオンカラーに光る目元など、驚きを与えて主張を表現するメイクは実は簡単に取り入れられる。

【N】#NoMakeup#ノーメイク)
ノーメイクはトレンドというよりも、それぞれが意思を持って決めるべきこと。すっぴんがトレンドとなることは早々にはなさそうだが、最近話題となっている「女性の裸の美しさ」の延長線上のものとして、顔でもそれを主張するのもアリかもしれない。男性社会に対する主張として、これほどシンプルな方法もない。

【O】Own your flaws(欠点を利用する)
学生時代には悩みの種だった自分の欠点と、仲直りをするなら今だ。傷やホクロ、お母さん譲りの離れた目でさえも、現代のビューティでは、それを隠すのではなく輝かせることが大切。

【P】Punk(パンク)
パンクは不滅だ。ディローンやルース・ベル、フェルナンダ・リー、フレデリック・ソフィなど、 本誌のカバーを飾る最近のスターたちのインパクトもあり、パンク・ルックは今でも新鮮に見える。もちろん、髪がショッキングピンクならアイライナーは必要ない—が、ぜひともヘアもアイライナーも同時に取り入れてみてほしい。

@patmcgrathreal

【Q】Queer(クイア:性的少数者)
社会的抑圧を受けてきたコミュニティが人として当然のパワーを持つことは当たり前のこと。伝統的な「女性らしさ」を強いられることに反発する女性たちのパワーは特に。メイクは性別を曖昧にしてくれる一方で、アイデンティティを表現するのにも役立つ。クィアメイクは、"化粧をする同性愛者"などという括りではおさまらない、ジェンダーを超えた自己表現方法だ。ジェンダーを超えた広告キャンペーンも少しずつ登場してきたが、この市場の計り知れない可能性を考えると、まだまだ伸び代がある。

【R】Reviews(レビュー)
インターネットのレビューは、Sephoraの男性店員が言うことよりもずっと信頼できるだけでなく、はるかに面白い。例えば、あるユーザーがUrban Decayのアイシャドー・プライマー・ポーションについて書いたレビューだ。「これを初めて使ったとき、2年も付き合った彼氏が6ヶ月間も浮気をしていたことが発覚。それから二日間泣き続けたけど、このアイシャドーとアイライナーはまったく化粧崩れしなかった。素晴らしい商品です」

【S】Skin(肌)
輝くようなみずみずしい肌を夢見て「ダメな食生活はもうやめる」を新年の抱負と決めたひとも多いはず。でもDNAはどうしようもないし、「脂っこいエッグベーグルは美味しすぎてやっぱりやめられない」なんていう人には、完璧でない肌を隠す方法がいくつも開発されている。BBクリームやCCクリーム、DDクリーム(こんなのも登場している!)を試してみてほしい。染めた髪には染た髪の美しさがあるように、クリームもまた、素肌とは違った美しい効果を生み出してくれる。

【T】Tech(技術)
3Dアイシャドー? コードレス・エアブラシ? メイクの未来は、ファッションの未来と同じくらいエキサイティングだ。クィアな世界を積極的に取り込み、ぶっ飛んだ世界観で人気を博しているネイルアート会社Metaverseは、そのスーパーかわいいバーチャルリアリティの技術をメイクの世界にも落とし込むべく、製品開発に取り組んでいる。

@metaverse

【U】Ugly(醜い)
2016年のメイクで大切なのは、「キレイ」ではない。メイクで、男性社会の気まぐれに媚びることもできるし、喝を入れることもできる。やろうとすれば、男性を怖気付かせることだってできる。バーで誰にも声をかけてほしくないなら、にらむよりも斬新で大胆な色の口紅を唇に塗るほうが効果的かも。

【V】Vampiric(ヴァンパイリック)
昼夜逆転の生活をしたくなるほど、今季ランウェイにはヴァンパイアのメイクが多く見られた。DiorからRodarte、Fenty × Pumaにまで見られた、血がにじんだような赤い唇と青白い肌というコンビネーションは、アンダーグラウンドでも地上でも通用するシックな装い。

【W】Walk of [No] Shame(朝帰りルックでいいじゃない)
一晩中家にいて、ひとりNetflixでアメリカのテレビドラマを見続けていたのだとしても、ファンデーションをしないでリップの輪郭はぼやかし、アイライナーを多用してエナジードリンクを飲みさえすれば、ワイルドな一夜を過ごしたように見える。アンバー・ローズでさえも認めてくれるはず。

【X】Xiao Wen Ju(シャオウェン・ジュ)
中国の美人モデル、シャオ・ウェン・ジュがO'Orealの最新広告キャンペーンの顔となることが発表された。彼女はInstagramでも様々なメイクを披露している。かなりの腕前だ。O'Orealはパク・スジュを初めてアジア系アメリカ人として同社大使に任命したり、ファン・ビンビンをモデルに起用するなどしてきたが、今回のキャンペーンはアジア人モデルが台頭してきていることを如実に表している。

【Y】YouTune(ユーチューブ)
現代女の子たちがアイライナーの引き方のヒントを得るビューティ・バイブルは、やはりYouTubeだ。2016年注目のアカウントは、この世のものとは思えないファンタジー・ルックスを伝授する クレア・デ・リース、そして、悪名高き"フェミニスト・メイク"のパロディを投稿したタデール・スミスだろう。

【Z】Zendaya(ゼンデイヤ)
CoverGirlのニューフェイスとなった女優ゼンデイヤ。広告キャンペーンではその変幻自在のカメレオンぶりを見せてくれているが、彼女自身もまたメイクの達人だ。ゼンデイヤは、レッドカーペットにも自分で手がけたヘアメイクで登場した。今年のグラミー賞では、デヴィッド・ボウイへのトリビュートとして、後ろ髪を伸ばしたマレット姿を披露している。

@zendaya

Credits


Text Hannah Ongley
Photography Gareth Powell assistance, Lex Kembury, James Robjant 
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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