キム・ジョーンズと藤原ヒロシが語る、「Louis Vuitton × fragment design」

4月21日(金)から5月5日(金・祝)まで原宿のThe Mass&Ba-tsu Art Galleryにて開催されるポップアップストア<LOUIS VUITTON in collaboration with FRAGMENT POP-UP STORE>では、彼らによる2度目のコラボレーションアイテムが発売される。

|
apr 28 2017, 4:40pm

Louis Vuittonにとって、ここ日本が重要な場所であるのに疑いはない。ニコラ・ジェスキエールによるクルーズの招致といった影響もさることながら、今にいたるこの大きな流れを導いたのは、今回インタビューを敢行した両名の他にいないだろう。洗練された感覚によってビジネス的にも成功し、大の東京好きを公言するキム・ジョーンズ次シーズンにおけるSupremeなど、次々と世の中を賑わせるコラボレーションを発表する彼はいわば"コラボの魔術師"だ。「フレンドシップから始まることかな。お金のためとかじゃなくて"本物"である必要があるからね」と、その極意を明かす彼がパートナーに今回選んだのは、東京が世界に誇るカリスマ、藤原ヒロシ。「去年の夏に伊勢丹メンズ館で開催したポップアップストアのために一緒にカプセルコレクションを作ってから、いくつかコラボレーションの話はずっとしていたんだ」と振り返るキム。2016年の7月に約2週間にわたって展開されたポップアップストアでは、両名による初のコラボレーションであるLouis Vuittonとfragment designのカプセルコレクションが一同に並べられた。その反響は凄まじく、誰しもがこの2人による夢の再演を心待ちにしていたことだろう。

そもそもキム・ジョーンズと藤原ヒロシ、この2人の才能がタッグを組むことになった経緯とは、一体どのようなものだったのだろうか。「もともとキムのことは20年くらい前からずっと知っていますが、僕より全然若くて"一世代下"という感じではあります。どの時代においても様々な功績を残してきている彼とはいつかなにか一緒にできれば、というふうに思っていました」と話しはじめてくれた藤原氏。気の許せる年下の友人でありながら、出会った当初からキムの才能をはるか昔から見抜いていたようだ。そして今回、「ぼくはヒロシとのオーガニックでリアルな関係が好きだからね。彼はLouis Vuittonというブランドをよく理解しているし、彼自身の活動や作品も素晴らしい。だからとても自然な流れだったよ」とキムがいうように、決して打算的ではなく、あくまで自然な流れで夢は再び現実となった。世代の違う2人の固い友情から生まれた本コレクションこそが、コラボレーションの本来あるべき姿なのだと思わずにはいられない。

お互いのことについて尋ねると、キムは「昔からぼくの多くのデザインやアイデアは、ヒロシから影響を受けていてね。だから彼との取り組みのことはいつも僕の頭の中にあって、なにがしっくりくるかを考えるのは簡単なことだったよ」と臆面もなく答えてくれた。その正直な言葉からは、藤原氏に対する心からの尊敬の念が伝わってくる。それに対して藤原氏は「Louis Vuittonのメンズ・コレクション アーティスティック・ディレクターに就任した後も、これまで蓄積されてきたイメージを完全に変えたっていうのがすごく好きでした」と返答する。そう、なによりも彼らがお互いに尊敬し合い、理解し合うことで生まれたのがこのコレクションなのだ。

柔軟かつ大胆なキムの感覚を誰よりも敏感に捉え、「Louis Vuittonをキムがやることによって生き返るというか、欲しくなるものが結構あって」と反応する藤原氏。「たとえば、マサイのあの柄。実際にマサイのアイテムを身に付けるのは難しい。そのときにLouis Vuittonのクオリティがもたらされることによって、すごい使いやすくなって、使いたいって思う」と就任当初のエピソードを話してくれた。その印象を「Louis Vuittonっぽく見えないけれど、これが真のLouis Vuittonなんだ、っていう驚き」と解釈する藤原氏の姿に、2人の相性の良さが表れていた。

気の知れた親友と共有する、大人の最高の遊び。"カバ・ライト"(モノグラム・キャンバスは日本限定)は購入時にルイ・ヴィトンのバッグが入れられる巾着袋から着想を得たというのだから、そのユーモアと遊び心の奥深さといったらない。そんなセンスはもちろんデザインにも落とし込まれている。「僕がよく"エリックD"とか"チャックD"とかいろんなそういうふうに略しているんですが、そういうのをLouis Vuittonもやれんのかなって思って投げかけてみたら、大丈夫ですよってことで」といった具合で生み出された架空のバンド名「LOUIS V and The Fragments」の文字は、本コレクションを紐解く鍵のひとつとなっている。

藤原氏が「どっちかというと、彼がやりたかったこと」とその発端を教えてくれた、今回の2017秋冬メンズ・プレコレクション。キムは80年代のポップ・カルチャーなどのダウンタウン・ニューヨークを意識したことに関して、「ニューヨークのクラブとかたまり場に行っていろんなものをみることに憧れていたけど、そこに行くには若すぎた自分の経験からインスパイアされているんだ」と自身のクリエーションの源を明かしてくれた。「その時代は好奇心を満たすことにみんなが夢中で、ビジネスなんて二の次だった」と語る彼。そんな思いを抱いているからこそ、彼が手がけるコラボレーションは大胆さと好奇心に満ちあふれているのだろう。「他の人とコラボレーションするのはとてもワクワクするし、普段とはまた違った感じで仕事を楽しめるんだ。1年に20回くらいコレクションで同じような作業をするから、いつもと違うことをやるのは楽しいよ」という言葉からは、彼の仕事を楽しむという信条が伝わってくる。

常に世界中を駆け回るキムは、オフィスを空けることが大半だという。実際に目で見てアイデアを具現化する彼にとって、Louis Vuittonの永遠のテーマである「旅」はぴったりだ。藤原氏が教えてくれた「一緒にサファリに行く」という計画はいまだ保留とのことだが、彼らの生み出す真のコラボレーションはここ東京から世界へと飛び出していく。

関連記事:ルイ・ヴィトンと藤原ヒロシ率いるフラグメントデザイン、池松壮亮が東京をまとう

Credits


Text Kazumi Asamura Hayashi
Photography Keiichi Nitta at ota office