“往生”の先にあるもの:荒木経惟個展「淫秋」

荒木経惟の新しい展覧会が東京・原宿にあるアートスペースAMで開催。これまで多くの古典に感応してきた荒木が今回に捉えたのは「般若心經」だった。

by Kanayo Mano
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20 September 2016, 8:05am

いつ、誰を、何を撮っていても、すべての被写体が"アラーキーの写真"になって上がってくる。日本の写真界において、荒木経惟は特異な存在であり続けてきた。そしてこれからも、彼はその歩みをゆるめることなく走り続けるのだと、オーディエンスに確信させる新たな展覧会がスタートしている。

東京・原宿のアートスペースAMで開催されている「淫秋」と銘打った展覧会では、和紙にプリントされた写真に、荒木自身が書で「般若心經」をしたためた作品が並ぶ。書の本場・中国でも高い評価を受けてきた荒木の書は、伸びやかで力強く、そして言葉の端々に荒木自身の心が宿っているかのようだ。また、「結界」(2014)「半夏性」(2015)に続く最新作となる、インスタントフィルムワークをカットし、接ぎ合わせたコラージュ作品群も本展で発表。荒木の作品には、彼自身の"今"が色濃く反映されるが、この展示においても、背景にある荒木の心境に思いを馳せずにはいられない内容となっている。

この世に存在するすべてが「無」であり、真理は「空」にあると説く「般若心經」。2009年の前立腺癌の発症と摘出手術、愛猫チロの死などを経験し、死を往生と捉えた2014年の展覧会「往生写集」を経て、荒木は「死」からどこへ辿りついたのか、どこへ向かっているのか。その目で確かめてみてほしい。

荒木経惟「淫秋」
会期:開催中~11月11日(金)
開館時間:13:00~19:00
休館日:月曜・火曜
会場:アートスペースAM
住所:東京都渋谷区神宮前6-33-14 ♯301/302

Credits


Text Kanayo Mano
photo/ callingraphy (c) Nobuyoshi Araki courtesy: art space AM, Tokyo

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Nobuyoshi Araki