Blood Orangeの最新アルバムがリリース

デヴ・ハインズが、フィーチャリングいっぱいの素晴らしいアルバムと、美しいビデオクリップをサプライズリリース。散々な一週間を送ったというあなた。デヴのサウンドに浸って、惨めな気持ちを吹き飛ばそう!

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13 juli 2016, 4:43am

「サプラーイズ!」——先日、デヴ・ハインズ(Dev Hynes)がTwitterで投稿した。「僕の最新アルバム『Freetown Sound』を、全フォーマットで一斉発売開始したよ。楽しんでね♥」。もとは7月1日(金)に発売される予定だったこのアルバムは、ブラッド・オレンジ(Blood Orange)として3年ぶりの作品となる。そしてこの作品、期待を裏切らない出来栄えに仕上がっている。収められている17トラックには、エイヴァ・レイン(Ava Raiin)、エンプレス・オブ(Empress Of)、ポーチズ(Porches)、デビー・ハリー(Debbie Harry)、ビー 1991(Bea 1991)、スターチャイルド(Starchild)、イアン・アイザイア(Ian Isiah)、ネリー・ファータド(Nelly Furtado)、タナハシC(Ta-Nehisi C)、ケルシー・ルー(Kelsey Lu)、カーリー・レイ・ジェプセン(Carly Rae Jepsen)、パトリック・ウィンバリー(Patrick Wimberly)、カインドネス(Kindness)、そしてズリ・マーリー(Zuri Marley)がフィーチャーされている他、ヴィンス・ステイプルズ(Vince Staples)やヴィーナス・エクストラヴァガンザ(Venus Xtravaganza)、アシュリー・ヘイズ(Ashlee Haze)、デ・ラ・ソウル(De La Soul)らによる詩が引用されている。

2013年の『Cupid Deluxe』に顕著だった1980年代ジャズの要素を引き継ぎながら、『Freetown Sound』は、サンプリングやフィールドレコーディングを取り入れることによって黒人男性の男らしさや宗教を表現しつつ、移住と団結などを歌い、社会的主張を込めた感動的なサウンドとなっている。

デヴはこのアルバムをビースティー・ボーイズの実験的アルバム『Paul's Boutique』に喩えて「ミックステープみたいな作り」と説明している。実際にこのアルバムは彼が言う通り、ミックステープのような作りとなっている。アルバム全体を通して、その"耳に優しい"サウンドは日常を彩るには十分すぎるほどの出来栄えだ。しかし、そこには彼の半生や生い立ちといったエピソードが散りばめられている。「イギリスで黒人として生きること、アメリカで黒人として生きること——僕がこの国へやってきたのは21歳のとき。母がガイアナ共和国から、そして父がシエラレオネからロンドンに移り住んだのも、ふたりが21歳だったとき」と、そこにはとてもパーソナルでありながらも、彼が言うところの「これまで僕が作った中でもっとも、誰もが共感できる世界観」が広がっているのだ。

サプライズのリリースとなったアルバムとともに、シングル「Augustine」のビデオも公開となった。このビデオは、デヴ本人が監督・編集を務めているという。ゆっくりと走る車のトランクに座りエアピアノを弾くデヴが映し出されたシーンから始まり、黒人クィア文化に関する本や、トレイボン・マーティン射殺事件を報じる新聞の見出し、誰もいないアパートでピアノが旋律を奏でる様子、ザ・ストロークスのジュリアン・カサブランカスがチキンを食べる映像、ニューヨークに沈む夕陽をバックに踊るダンサーたちの映像などが、かわるがわる映し出される。「美しい」の一言に尽きる映像作品だ。

Credits


Text Francesca Dunn
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.