Courtesy Gucci

Gucciのアレッサンドロ・ミケーレについてあなたが知らない37のこと

イタリア人鬼才デザイナーのすべてがここに。

by James Anderson; translated by Ai Nakayama
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26 November 2018, 6:51am

Courtesy Gucci

2002年の入社以来、トム・フォード、フリーダ・ジャンニーニのもとで裏方としてGucciを支えてきたアレッサンドロ・ミケーレは、2015年初頭、Gucciのクリエイティブディレクターとしてデビューした。もっさりした長髪とヒゲが特徴のこの異端児は、イタリアの老舗ブランドの売上高アップを実現(2017年度第1四半期の決算は、前年同期比51%増)しただけでなく、これまでの、趣味が良くエレガントでセクシーなブランドイメージを一新し、ヴィンテージテイストなのに超現代的なルール無用のスタイル、強固な姿勢、広大なファンベースを築き上げた。

ミケーレが先頭に立ってつくりあげるGucciの世界では、ヴィヴィッドな色彩がぶつかり合うなかに、100年前から使用されてきたであろう伝統的なモチーフのパッチワーク、恐竜やエイリアン、マンガ、生首、キラキラ、ヘビ、教会、花咲く庭、フィッシュアンドチップスの店舗などが混在し、それぞれが存在感を主張し合っている。クラシックとポップカルチャー、陰鬱と低俗を見事に混淆しているのが現在のGucciだ。ミケーレはこのGucciワールドにおいて、積極的にコラボレーションに取り組んでいる。ショーモデルも、広告キャンペーンの顔も多種多様だ。ポップスターのハリー・スタイルズ、ダンサーのマイケル・クラーク、女優/モデルのハリ・ネフ、デザイナーのダッパー・ダン、グッチゴーストを生み出したアーティストのトレバー・アンドリュー、写真家のマーティン・パーなど、多彩な人びとがミケーレのファッションヴィジョンの拡張に貢献してきた。

ミケーレについてはいくら知っても知りすぎることはない。Gucciを率いるマエストロの、知られざる事実をご紹介する。

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超キュートなハリー・スタイルズ(と子豚たち)を抜擢した2018年秋冬メンズ テーラリング コレクションの広告

1. アレッサンドロ・ミケーレの出身はローマ。1972年生まれで、つまり四捨五入すれば50歳だっていうのに、あの若さは驚異的。

2. アレッサンドロ・ミケーレの父、ヴィンチェンゾはアリタリア-イタリア航空の整備士だった。私生活では自然を愛するヒッピータイプの紳士で、休暇時は息子を連れてよく画廊や古い教会を訪ねていた。

3. 母は映画プロデューサーのアシスタント。アレッサンドロの少年時代、母は最先端のオシャレ都会人で、数々の俳優ともつるみ、常に大胆なヘアとファッションでキメていた。

4. アレッサンドロが服装や外見にこだわり、実験を始めるようになったのはわずか8歳のとき。10歳のときには髪をブリーチしていた。

5. アレッサンドロはローマのファッションアカデミー〈ACCADEMIA DI COSTUME E DI MODA〉で学んだ。当初、卒業後はコスチュームデザインの道を進もうと考えていた。イタリアのニットブランドLes Copainsでニットウェアデザインを担当すると、90年代後半はFendiでレザーグッズデザイン、そして2000年代初頭からはGucciでバッグデザイナーとして経験を積む。

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フランス、アルルのアリスカン墓地を会場にした2019年クルーズコレクションのショー

6. ニックネームは「ラーロ(Lallo)」。彼がもっているペールブルーのボンバージャケットのペイズリー模様の裏地には、そのニックネームが刺繍されている。

7. 熱心なコレクター。1865年に初版が発行された、ルイス・キャロルによる児童文学の金字塔『不思議の国のアリス』を計35版集めており、それが彼の所有コレクションのなかでもっとも価値が高いとのこと。

8. アレッサンドロは亡父が使っていた木製の杖もコレクションとして手元に置いている。杖はすべて父の手製であり、それぞれ様々な自然のシンボルや詩の一節が施されている。

9. 360足以上に及ぶ膨大なシューズコレクションを保有している。イメルダ・マルコスもさぞや真っ青だろう(かと思いきやそうでもなかった)。

10. マイセン磁器製のミニチュアパグも集めている。

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2016年秋冬コレクションショーのモデルとして抜擢されたハリ・ネフ。Photography Jason Lloyd Evan

11. Gucciの2017年リゾートコレクションの会場にロンドンのウエストミンスター寺院を選び、同寺院では初となるファッションショーを実現した。

12. サン・クレメンテ教会からインスピレーションを得ている。4世紀に創建された教会の遺構の上に、12世紀初頭に建造され、ビザンチン様式のモザイク画やフレスコ画が装飾に使われている。

13. 両手を最大限まで装飾している。すべての指に指輪を複数個つけ、しかも指輪にはエメラルド、サファイア、ルビー、パールなど様々な宝石付き。

14. 子どものころ、叔母からかぎ針編みを習った。落ち着きのないアレッサンドロのエネルギーを編み物で発散できれば、というのが叔母の狙いだったらしい。今でも彼は裁縫が好きで、YouTubeのチュートリアル動画で新しい技術を学んでいる。ロンドンではリバティ百貨店に寄って刺繍キットを買うのがお決まり。

15. ロンドン・オタクを自称している。ロンドンの美術館や劇場、イーストエンドのクラブキッズ、ウエストエンドでゆっくりと歩くオシャレなおばあさんたちなど、多種多様なモノが混在した、ロンドンのすべてを愛してやまない。

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生首とドラゴンの赤ちゃんをフィーチャーした2018年秋冬コレクションショー Photography Mitchell Sams

16.初めてロンドンを訪れたのは10代のとき。当時の彼はスーパースキニージーンズに尖った靴、ブロンドのモヒカンがトレードマークだった。ロンドンに到着した彼は、ご多分に漏れず、まっすぐカムデン・マーケットに向かった。

15. アレッサンドロは、超スタイリッシュで陰鬱な世界観を確立させているアーティスト、ニック・ケイヴと、モデルからファッションデザイナーへと転身した、同じく超スタイリッシュな彼の妻、スージーと仲が良い(ちなみにその昔、スージーはモデルとしてi-Dにも登場している)。

16. 免税コーナーで売っているような、古びた安いフレグランスは使わない。彼が愛用しているのは、その辺のフレグランスとは比べものにならないくらいに希少なコロン。フィレンツェにある世界最古の薬局サンタ・マリア・ノヴェッラで、1828年からつくられているという。

17. アレッサンドロの長年の恋人といえば、ローマ・ラ・サピエンツァ大学で教鞭をとっているジョヴァンニ・アッティーリというインテリ男子。付き合いはもう10年にも及ぶ。

18. ローマにある18世紀に建てられた建物内のアパートに恋人と暮らしている。元々はオフィスだったそうだ。またふたりは、ローマから2時間程度離れたチヴィタ・ディ・バーニョレージョという美しい集落に別荘を所有している。

19. かつて恋人ジョヴァンニにペンダントを送ったことがある。自らの髪の毛を編んだひと房を入れ、パールで飾ったペンダント。実にロマンティックだ。

20. スヌーピーを哲学者であると主張して譲らない。

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2018年春夏コレクションでは、スペインのアーティスト、イグナシ・モンレアルがヴィジュアルを手がけた

21. 子どもの頃は、ポップス界の伝説エルトン・ジョンの大ファンだった。2016年、LAの業界人が集まる洒落たパーティで、彼はついに幼い頃からのアイドルと対面する。彼らはともにソファに腰掛け、会話を交わし、それからしばらくして、アレッサンドロがエルトン・ジョンの次のワールドツアーで衣装デザインを手がけることに決まった。

22. ハリウッドのファッション/衣装デザイナー、ボブ・マッキーの大ファン。ウルトラキッチュなデザインで有名なボブの、目を見張るような大胆なルックは、この数十年以上、シェール、ルポール、ダイアナ・ロス、ティナ・ターナー、ライザ・ミネリ、エルトン・ジョンなどをはじめとする、恐れを知らない伝説的なパフォーマーたちに愛されてきた。

23. かつて取材で、車や電車を使うより自分の想像力を使うのが好き、と述べた。朝、遅刻せずに仕事に向かおうと思ったら大変だろう。

24. 自由な考えの持ち主で、かつ夢想家。ファッションは世界的な共通言語であり、生きかたや思想の発露だと信じている。

25. 2016年、CFDA(米国ファッション競技会)が主催するファッションアワードで〈国際賞〉を受賞し、アナ・ウインターから賞を授与された。アナはアレッサンドロについて、「彼は私たちに、より自由な夢を視ることを教えてくれた」と語った。

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自身のスタジオで撮影されたトレバー・アンドリュー。2017年、i-Dの〈The Family Values Issue〉でアリ・マルコプロスにより撮影された

26. Gucci本社にあるアレッサンドロの部屋には、大量の書籍、ペルシャ絨毯、観葉植物、アンティークの天鵞絨ソファ、鳥のぬいぐるみ、美術界の巨匠の作品などがあふれ、ミニマルとは程遠い。オフィスではいつでもお香がたかれ、9~10世紀のグレゴリオ聖歌がBGMとしてさりげなく流れている。

27. 大の動物好きで、ボスコ(Bosco)とオルソ(Orso)という名のボストンテリアを2匹飼っている。

28. 何でも自分でやってみるタイプの人間で、Gucciのショーのスタイリングも自らが手がけている。大物デザイナーのほとんどが一流スタイリストとコラボしてショーをスタイリングしている現在では珍しいパターンだ。

29. Gucciでの元上司であるトム・フォードを敬愛している。『Vogue』の取材で、トムと働けたことは「すばらしい体験だった」と語り、さらに「トムには映画スターみたいな雰囲気がある」と大絶賛している。

30. 平日のオフィスで食べるお気に入りのランチは、たっぷりの蒸し野菜と豆腐のセット。コンビニやワゴンで買う私たちの普通のランチとはだいぶかけ離れている。

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エルトン・ジョンからインスパイアされた2018年春夏コレクション。Photography Mitchell Sams

31. Gucciというブランドとその歴史を、どうしても抗えないほどに魅力的な美しいオールドレディに喩えた。

32. 新生Gucciのコレクションの発表時、めちゃくちゃ細かいやたら長文のショーノートを付属した。例えば「いつかの瞬間から生まれた破片の集積。もつれながら、予想だにしないかたちで、啓示が再び現れる…」

33. 英国のエリザベス女王を敬愛してやまない。「女王は世界でも随一の個性を放っています」と、かつてアレッサンドロは『The New Yorker』に語っている。「彼女の装いはとても魅力的です。色をまとうのが好きなんだろうな、と感じます」

34. 好きな色はピンク。ロンドン滞在中は数々のアンティークショップをまわり、様々なピンク色を探してインスピレーションを得ているのは有名な話。

35. 80年代にマンチェスターで結成されたTHE SMITHSのファンでもある。

36. 新生Gucciのファンにはセレブも多数。エイサップ・ロッキー、ジェームズ・フランコ、リアーナ、ケイト・モス、カイリー・ジェンナー…。アレッサンドロのデザインの熱狂的なファンには、ざっと挙げただけでも錚々たるメンバーが揃う。

37. アレッサンドロは現在の自分の仕事を心から愛している。『Vogue』にはこう語っている。「Gucciでの仕事は信じられないくらい恵まれています。ここでは私の情熱をすべて注ぎ込み、かたちにできます。自分がつくりたい〈キャラクター〉を創造することもできる。すごく楽しいです」

This article originally appeared on i-D UK.

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