アイデンティティはひとつじゃなくていい: INTERSECTION interview
INTERSECTIONは多様なバックグラウンドを持つ、Z世代のボーイズバンドだ。YouTubeにアップロードされたPVが300万回再生されるなど飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍する彼らに、撮影&インタビューを敢行。
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90年代後期から2000年代初期のフューチャリスティックなスタイルをベースに刷新されたスニーカー〈Ozweego(オズウィーゴ)〉。 DAD(パパ)が履いていたようなモデル(型)は 進化を遂げていまZ世代を魅了している。今回そんなダッドシューズを履きこなしてくれたのは、活躍を続けるZ世代のボーイズバンド、INTERSECTION。
INTERSECTIONは、NY、ハワイ、キューバ、東京……様々なバックグラウンドを持つ4人が集い、2018年に結成された。メンバー全員が、アメリカと日本の血を引く「ハーフ」タレントたちだ。
昨年にデビューしたばかりの彼らだがその活躍は目覚ましい。最新曲「You’re the Reason」のPVが300万回以上再生され、今夏は〈サマーソニック 2019〉への出演も決定している。
2000年前後に生まれた彼らが同世代の〈OZWEEGO〉を手にとるということ、ファッションの解釈は時代を巡り生きつづけている。


—— まず、みなさんのバックグラウンドについて教えてください。
青山ウィリアム(以下、ウィリアム):カリフォルニア出身で、2歳で引越してからはずっと東京に住んでいます。東京ではずっと水泳をやっていて、インターナショナルスクール通っていました。今年の9月から早稲田大学に進学します。
ミッチェル和馬(以下、カズマ):NYで生まれて、8歳までアメリカの公立学校に通っていました。親の仕事で日本に引っ越してからは2年間日本の公立校に通ってから、インターナショナルスクールに転校しました。今後はハーバード大学に進学する予定です。
橋爪ミカ(以下、ミカ):ハワイで育って、このバンドのオーディションに合格したことをきっかけに、東京に引っ越しました。それが高校2年生のとき。ハワイの日本人コミュニティってすごく狭くて……もちろん日系人はたくさんいるんだけど、日本で育って第一言語も日本語っていう日本人はそんなに多くない。ケーレンと同じで、日本語は聞いていて理解はできるんですけど、あまり話せないです。でも仕事を通じて上達してきているんじゃないかな。
モリアティー慶怜(以下、ケーレン):僕のバックグラウンドは面白いよ。父親がアメリカの軍隊にいて、その都合でいろいろな国を点々としてきました。生まれたのはキューバのグアンタナモ湾。そのあとバージニア・ビーチ、スペインを経由してまたバージニア州に戻って、ハワイに移って、中学生のときに日本にやってきた。たくさんの国に住んできたし、たくさん転校もしたけれど、中高時代を日本で過ごせたのはすごく良かったな。日本はまだまだ勉強中。和馬やウィリアムのように生活のなかで日本語を勉強してきたわけじゃないし、最近高校を卒業したばかり。大学に進学するかどうかはまだ迷っているところ。

—— まずアイデンティティについて。自分のことを日本人だと思う? それとも、アメリカ人?
ケーレン:僕は絶対にアメリカ人寄り。娯楽も食生活も、アメリカのカルチャーのなかで育ってきたし。日本に住んでいても、基地の学校に通っていたから、コミュニティがかなりアメリカンだった。
ミカ:アメリカで育ったから僕も自分をアメリカ人だと思ってる。日本で仕事をしていると、自分がやったことで人を驚かせちゃうことがあります。
カズマ:僕もどちらかと言うとアメリカ寄りかな。でもこの4人のなかだったらいちばん日本人っぽいかも。仕事をやっていく上でも、日本人っぽいというか、日本の現場に慣れているほうだと思っていて。ただプライベートや恋愛で言えば、アメリカ的なオープンで感情的な部分があります。
ウィリアム:うーん…… わからない。どっちにも寄ってないような。考え方的には日本人っぽいときもアメリカ人っぽいときもあるし。宇宙人みたいな(笑)。
ミカ:ウィリアムは全体的に見たらアメリカ人っぽいよ。細かいところで、ここで育ったんだなと気付くけれど。行動とか繊細さとかはね。
ウィリアム:まあ、そうかもね。
—— アイデンティティクライシスは経験した?
ウィリアム:僕は絶対いまそれに陥ってる……。
カズマ:僕は最初からどっちでもいいと思っていました。ふたつあっていいって。

—— 日本語の「ハーフ」という言葉についてはどう思う?
カズマ:捉え方によると思うんですよ。言葉って。「ハーフ」を50%って捉えるんじゃなくて、両方のカルチャーをもっているから「ハーフ・アンド・ハーフ」なんだって僕は思ってる。
ミカ:僕も気にしたことないな。
ウィリアム:本当の意味で「ハーフ」のひとって実際には存在しないじゃないですか。本当は日本人だって、これが「ピュア」な日本人っていうのはいないわけで。みんなどこかしらの別のとこから来ている。日本で混血児のことを「ハーフ」と呼ぶのは、外国からの影響を受けていない時代が長かったから。半分外国で半分日本っていう概念になったと思うんです。それに対してアメリカでは、人種が交ざっているのが当たり前だったからまさに「ミックス」。
—— ではキャリアについて。音楽を仕事にしたい、という意識はバンドを始める前からあった?
カズマ:音楽は小さい頃からやってきたことだったので、仕事にはしなくとも、続けたいとは思っていました。だから仕事にするっていうチャンスが来たときは嬉しかったです。
ミカ:小さいときから歌うのが好きだったけど、いざ本気で取り組むとなるとすごく難しくて。でもこのバンドに入るっていう機会を得て、活動に時間を費やせるようになりました。それが音楽を学ぶモチベーションにも繋がってる。
ケーレン:実はこのバンドに入る前、別のボーイズバンドに所属していて。ただ当時は活動にあまり満足できていなかった。ポテンシャルはあったのに、バンドがうまくいってなかったんだよね。そんなときにもう一度セカンドチャンスが回ってきて、それがこのバンドのオーディションだった。
ウィリアム:最初はまったくやる気がなかったです。ずっと水泳しかやってこなかったから、自分が音楽をやっている姿が見えてなかった。音楽をやる意味もわからなかったし。このバンドに入ってそれが変わりました。
—— 卒業や進学という大きなライフイベントが間近にあるみなさんですが、進路への迷いはある?
カズマ:当然あります。それは全員に共通する悩み。バンドとか芸能活動って不安定な部分が多いし、みんなそれが怖い。でも怖いからといってやらないのも違うし……。みんな迷ってきたし、今でもまだ迷っています。


—— INTERSECTIONのYouTube動画に寄せられたコメントのほとんどが英語で書き込まれていることに驚きました。
カズマ:すごく嬉しい。活動を始めた当初から、世界中のいろんなひとに聞いてもらいたいという想いがあったので。今、音楽は地域に限られたものじゃなくなってきていますよね。誰でもオンラインで聴ける時代だから。
ケーレン:海外にいる人に届きやすいんだろうなと、予想はしていたので、そんなにびっくりではなかったな。まあ正直に言うと、もっと日本人からのコメントも欲しいな(笑)!
ミカ:最新曲「You’re The Reason」は歌詞の半分が日本語の歌詞なので、それで変化が起きるんじゃないかな。
—— 特に東南アジアの国にファンが多いと伺いました。
ウィリアム:やっぱり僕たちはアイドルなので。ルックスがフックになった部分はあると思います。
カズマ:最近東南アジアのほうで日本のポップカルチャーが人気らしくて。それの影響もあったのかな。
—— 行ってみたいアジアの国は?
全員:インドネシア!
カズマ:インドネシアのファンがいちばん多いんです。

—— 好きなファッションブランドは?
カズマ:〈A-COLD-WALL〉。ストリートだけどラグジュアリー。ひとには真似できないような一捻り効いたスタイルが好きです。
ケーレン:僕は〈LONELY論理®︎〉。これもストリート系のブランド。アニメのグラフィックとかをコラージュしていて、デザインが面白いんだよね。
ミカ:僕はこれといって好きなブランドがあるわけではないんだけど、スタイルでいったらラグジュアリー・ストリートファッション、かな。
ウィリアム:ラフシモンズとアンダーカバーが好きです。
—— (ウィリアムが履いているサンダルを見ながら)で、そのサンダル……?
ウィリアム:これはおばあちゃんの(笑)。今朝は急いでいて、たまたまこれが玄関の履きやすいところにあったから……。でもキメたい日はキメるんで(笑)。
—— 最近ハマっていることを教えてください。
カズマ:『天気の子』は公開初日に見て、めちゃくちゃ感動しました。あとはネットフリックスとか。『ストレンジャーシングス シーズン 3』をようやく見始めて。昨日の夜は4話まで見ました。
ケーレン:シーズン3は面白いよね! 僕はもう見終わった。最近見たネットフリックスは『ブレイキング・バッド』。あとは『ジ・オフィス』、こっちはもう見終わってるけど。マーベルのネットフリックスシリーズはよく見てて、今見てるのは『パニッシャー』。あ、シーズン2ね。
ミカ:ハマってるってわけじゃないけど、せっかく夏なんだし、海に行きたい。今度タイに行くから、そこでプールで泳げたらいいな。水があるとこはどこでも行きたくなるんだよね。
ウィリアム:ハワイ人だなあ(笑)。僕はなんだろう……ハマってるもの……やっぱり音楽作りですかね。

—— どんな音楽をつくってるんですか?
ウィリアム:それは秘密です。
—— えっ! ミステリアスですね(笑)。では最後に、8月にリリース予定のファースト・アルバムについて、聴き所を教えてください。
カズマ:このアルバムは僕たちが出会ってきてからいままでの集大成。11曲のなかには、今までリリースしていなかった曲も入っています。このアルバムを通して僕たちをもっと知ってもらえるんじゃないかなと思っています。
ケーレン:うん。そうだね。
ウィリアム:もう完全にまとめてもらっちゃったね。
—— ええっと……他になにかありますか?
ミカ:歌詞を聴いてもらえれば、曲順の意味とかもわかってもらえるかな。そのくらい考えてつくったアルバムなので。
ケーレン:僕らがどう成長してきたかもわかってもらえると思う。僕にいたっては声変わりもあったし。
ウィリアム:見なかったら損。
カズマ:”聴かなかったら”、でしょ。
ウィリアム:そうそう、”聴かなかったら”。
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Credits
Photography Motoyuki Daifu
Styling Risa Kato
Hair and Make-up NORI at W
Interview Makoto Kikuchi
Styling assistance Moto Ishizuka
Hair and Make-up assictance Ai Uekawa
Models Intersection ( Caelan Moriarty, Kazuma Mitchell, Mika Hashizume, William Aoyama )