ジェームス・ロングとダニエル・W・フレッチャーが語る、2018年にブランドを運営するということ

ロンドンでのメンズコレクションの幕開けを祝して、人気デザイナーふたりが、デザインやショー制作、ブランディングについて赤裸々なトークを繰り広げた。

by Felix Petty; translated by Aya Takatsu
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jun 19 2018, 7:23am

素晴らしくエキサイティングなメンズファッションの、新たなシーズンが幕を開けようとしている。2019年春夏コレクションは、今夜ロンドンで披露されるジェームス・ロングによるIcebergの凱旋ファッションショーからスタート。そして土曜日の午前中には、Daniel w. Fletcherの初となるランウェイショーが控えているのだ。というわけで、そのふたりを電話口に集め、華々しいランウェイを創造することについて、ちょっとしたおしゃべりをしてもらった。

ダニエル・W・フレッチャー:調子はどうですか? ストレス感じてます?

ジェームス・ロング:ううん、けっこう大丈夫。君は?

ダニエル:もうほとんど終わりなんです。あとは最後のコートだけ。あと数日は、ボタンの縫い付けがたくさんあるけど。実は初めてルックを見たばかりで。いくつかのルックを一緒に見て、どういうふうになるかアイデアを得られたから良かったですね。この作業はいつも楽しい。

ジェームス:今回ファッションウィークでは何をする予定?

ダニエル:初のランウェイショーです。土曜日の午前中に。あなたが金曜日の夜にショーを終えたあと、荷物を積み込んで、セットを組みます。

ジェームス:どんな気分?

ダニエル:正直、ちょっと緊張してますね。プレッシャーも少し。いつ何が起こってもおかしくないって感じ。ワクワクもしてるけど、すごくシュールにも思えます。

ジェームス:どうしてランウェイをしようと思ったんだい?

ダニエル:僕にとってこれが6シーズン目だから、違う方法で服を見せたいと思ったんです。これまでにいくつかの方法(街頭デモ、プレゼンテーション、ムービー)を試したから。どこまでいけるか試したくなって、今シーズンはランウェイがぴったりだと感じたんです。

ジェームス:販売するいいショップはあるの?

ダニエル:今は18店舗に置いてもらってます。オープニング・セレモニーが僕の卒業コレクションを買ってくれたことから、すべてが始まったんです。僕がブランドを始めた理由もそこにありますね。

ジェームス:すごいね、6シーズン目だなんて。

ダニエル:生産を間に合わせるのが超大変で! でもそれもどうにかなりつつあります。チームは今も同じ規模なんですけどね。チームっていうのは、僕とキャロライナ。ふたりでさばいています。サムは今もIcebergであなたと仕事をしているんですか? ごきょうだいのシャーロットも?

ジェームス:ああ、イタリアのエミリア=ロマーニャ州にあるIcebergのスタジオで、2週間過ごしたよ。それからロンドンにいるあいだもね。出張ばかりだけど、今でも一緒にいる。いろいろな、とても才能あふれる人が集うすごいチームさ。

ダニエル:チームみんなで支えてくれることが、かなりの安心感につながるだろうと想像できます。7年くらい前、あなたのところにインターンに行ったのを覚えてますよ。制作に携わって、はしごにウールを巻き付けてサイズを測ったり。当時は「本当にこれでいいのかな?」って思ってましたけど、今じゃ僕もレザーのロールを何本もタクシーに積んで、ロンドンから工場まで運んでます。

ジェームス:大学では制作について教えてくれることなんてないからね。

ダニエル:ビジネス的な面も何も学ばなかったと思います。まったくの白紙状態でした。

ジェームス:でもそのあと実践しながら学べた。それっていい学び方だと思うよ。

ダニエル:ブランドを運営しながら、コンサルタント的な仕事もしてきました。生産やビジネスをやってくれるチームがあるというのはありがたいですね。デザインに注力できますから。僕自身のブランドでは、予算やスタジオの大きさといった制約があります。今あなたはIcebergにいるから、自分のやりたいことをデザインだけすればいいという自由があるのだと思いますが?

ジェームス:実のところ、それほど変わらないよ。今もデザインして描いて、アイデアを出してるから。

ダニエル:今シーズンはなぜロンドンでショーをやろうと思ったのですか?

ジェームス:最初のショーはミラノでやったんだけど、今度は故郷に戻りたくなって。ミラノのショーでは、ドゥオーモの周りをパレードしたんだ。プレスだけじゃなくて、みんなが参加できたから、すごく良かったよ。だからここでもちょっとそれに似たようなことをやろうと思ってる。Icebergをひとつの都市に留めておきたくはないんだ。世界中に旅してほしい。

ダニエル:それはすごく素敵なアプローチですね。ファッションショーは繰り返し行なわれるから、どうしてもマンネリ化してしまう。だから僕も今シーズンはショーをしたいと思ったんです。そうすれば「ダニエルは毎シーズン、プレゼンテーションだな」というふうなことにならないから。

ジェームス:服がかっこよくて、みんなに見せるものが良ければ……、大事なのはそこじゃないかなって思う。どこでも、どんな方法でも見せられるものにすべきなんだ。僕がブランドを始めたころ、メンズウィークなんてものはなかった。メンズウェア・マンデーがあったくらいで。それからショールームで、出張がたくさん。僕は今Icebergでそれを繰り返しているようなものだ。すべてをもう一度。でもすごく楽しいよ、たくさんの人に会えるし。

ダニエル:卒業してから初めてのシーズンに、僕ときょうだいでNYCに行ったんです。すべての服をスーツケースに入れて、ただ売り込みに回りました。いったい自分たちが何のつもりでやっているのか、よくわからないまま。

ジェームス:でもそれって、おもしろいじゃないか。どうなるかよくわかってないけど、それをひも解いていくっていう。本当の達成感だね。

ダニエル:スーツケースを引っ張りまわして会いに行ったバイヤーの人たちが、今ではパリのショールームに来てくれているんですが、僕たちが現れて服をラックにかけ始めたときのことを今でも話すんです。何が起こっているのかちっともわかっていなかった、最高の時代のひとコマですね。今ではそれが大きくて、恐ろしいものみたいに見える。でも実は、それはあの一部が育ったものなんです。ショーを初めてするにあたり、僕は右も左もわかっていない。でもそれがワクワクするんです。

ジェームス:ショーのあと、パリに営業に行くの?

ダニエル:ええ、行きます。パリに行くのは毎回楽しみなんです。大学の友だちがたくさんデザイナーになっていて。みんなでパリに営業に行くんですが、それが実はとても楽しいんです。

ジェームス:いつもうれしい驚きがある。特に最初にパリにいったときはね。メンズウェアグループにいる人全員が友だちだっていうことに、みんなすごくびっくりするんだ。ウィメンズを始めたときは、完全に逆だった。誰も仲良くしていないことに驚いたよ。メンズウェア業界はそれほど競争が激しくないってことが理由だと思う。

ダニエル:今でもそれは変わらないと思います。

ジェームス:今シーズンのショーが何についてのものか教えて。

ダニエル:今シーズンのイメージはこうです。あるビジネスマンが、週80時間働いたあと、金曜日の夜に出かけて、超はしゃいじゃう。土曜日の朝、彼は9時に起きてーーショーが始まる時間ですーーすべてがおかしなことになっているのに気づく。だから裏地付きのスーツもあるでしょうね。彼がワイルドな夜をどこで過ごしていたのか、みんなに想像してほしくて、ちょっとセクシーでサディスティックな部分もあるんですよ。

ジェームス:とても良さそうだね。

ダニエル:ええ。あなたのほうはどうですか?

ジェームス:Icebergというブランドには歴史があるから、コレクションをスタートさせるときの選択肢はとても多いんだ。常に派手でポップで、音楽のリアルなエネルギーがそこにある。そこに関わり始めたとき、僕はすごくシックなカジュアルウェアを提供したいと思った。そこが始まりさ。すごくカジュアルな要素があるけど、すごくスタイリッシュでもある。多くのものが、厳密に解釈するとカジュアルだってこと。ストーリーについては、まあ見ていてよ。来てくれるよね。

ダニエル:ぜひ行きたいんですけど、金曜日の夜7時はキャスティングやら、仕上げ作業にどっぷり浸かっていると思います。土曜日の朝、9時前に起きられそうだったら、僕のショーにぜひいらしてください!

This article originally appeared on i-D UK.