21世紀に向けた服:Ganryu 19SS

Comme des Garçonsを離れ、独立した丸龍文人がデビューコレクションを発表。未来を見据えたその斬新な服は、自然とも共存しうるものだった。

by Steve Salter; translated by Aya Takatsu
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jun 28 2018, 9:43am

渡辺淳弥のもとでパタンナーとして働いているころに見いだされ、ストリートスタイルを変化させた自身のブランド設立をComme des Garçonsに依頼された、福岡生まれの丸龍文人。10年にわたるその歴史のなかで、アメリカのスポーツウェアと日本的デコンストラクションを意図的にミックスしたその服は、カルト的なファン層をつくり出した。そして2017年、オフィシャルな発表を出すことなく、Comme des Garçonsはこのブランドを休止。丸龍文人の専門技術もまた失われてしまった。そう、今日までは。「1年間、意図的にファッション業界とのつながりを絶ち、ほかの業界に目を向けていました」。ショーのあと、丸龍文人はそう説明した。「その期間で、私のクリエーションの何かが変わったかもしれませんが、それは私が話すのではなく、みなさん自身に見つけてほしいと思っています」。多くを語らない丸龍は、つねにその服を通して私たちに語りかけてきた。では、なぜ今変化なのか? 2019年春夏シーズン、ピッティ・ウォモの一部として、彼は自らの名を冠した独立ブランドを、フィレンツェ郊外の地下にあるコンテンポラリーアートのギャラリーでローンチさせた。

「21世紀に向けた服をつくりたいと思いました。都市と自然の相互作用をよりよく表現する服です」。メールを通して、丸龍文人はそう説明した。そんな彼の考え方--シャイニーなルックや最新式のジャンプスーツといった方法ではなく--が、このブランドを未来派にしているのだ。そのこだわりは、絶えず変化する現代のライフスタイル。オープニングに登場したネオプレンのフード付きローブから、服(正面からはショートパンツ、背面からはロングパンツに見えるアイテムや、ケープになったパーカなど)は変化し、すべてがゴムベルトを使って身体に取り付けられていた。天候、そして未来に左右されないデザインだ。

2019年春夏デビューコレクションの鍵となるインスピレーションは、水からもたらされた。丸龍がつくる仕立ての良いスポーツウェアは、水の循環を模している。日本の哲学において、“水”という要素は流動的でよどみなく、かたちのないものを意味する。彼の十八番である巧みなカッティングは、このコレクションで多くの機能的なデザイン--サイエンスラボでも場違いに見えないようなもの--を生み出し、その継ぎ接ぎはメタモルフォーゼを想起させる。その服はアクセサリーとして持ち歩いたり、着たり、必要とあれば使うこともできるだろう。また、袴のような伝統的なアイテムは、モダンで都会的な服につくり替えられていた。

1日を通して着用者に付き従い、どんな状況にも対応できるようなそのアイテム。雨季をなんとか乗り切りたい? 2055年に暮らしてる? そんなあなたには丸龍の服がぴったりだ。「水の役割や可能性が好きなのです。自由にかたちを変えられるように、その能力を抽出しました」と、彼は話す。そのなかを泳ぎ、身体を浸し、飲むこともできるコレクションなのだ。

来シーズンはパリで21世紀の服を発表すると約束した丸龍文人。Comme des Garçonsが持つカルトの影から外に出た彼にとって、エキサイティングな新しい夜明けとなるコレクションだった。

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This article originally appeared on i-D UK.