Fashion

古着屋ambivalanceがギャラリースペースを併設してリニューアルオープン

シーズンごとにビジュアルを撮り下ろし、ギャラリーも併設する新しいタイプの古着屋ambivalanceが代官山にリニューアルオープン。現在フォトグラファー岩本幸一郎の展覧会「ULTRA C」が開催中の同店でオーナーの並木俊輔に話を訊いた。

ByTatsuya Yamaguchiphotos byKoichiro Iwamoto

世界有数の古着屋大国といっても過言ではない日本において、また新しいタイプのショップが誕生した。

2017年10月に板橋・常盤台でオープンしたambivalenceのコンセプトは、古着を独自のフィルターでとらえ直し、「今」と「少し先」の“ファッション”として発信していくこと。メンズやウィメンズのみならず、従来のジャンルにとらわれない商品のラインナップは、春夏と秋冬シーズンごとに刷新され、テーマにそったルックブックの制作にいたるまで細やかなディレクションがなされている。時代感覚を掴んだスタイリング提案をとおして、古着から新しい可能性が引き出されていくのだ。

そうしたコンセプトに共感する人々に背中を押されたambivalanceは、発信力をより一層高めるため代官山に店舗を移転する計画を立ち上げた。その実現のために着手したのがクラウドファンディングだ。そしてたった1ヶ月で目標金額を上回る支援総額を達成した彼らは、今年6月30日にスペースを拡大するかたちで新店舗をオープンした。

ambivalanceにはジャンルレスにアーティストやクリエイターが出展することができるレンタルギャラリーが併設されており、今後はアートや写真といったコンテンツの発信にも注力していくという。現在7月14日までの会期で写真家・岩本幸一郎の写真展「ULTRA C」を開催している同店のオーナー、並木俊輔にショップへの想いを訊いた。

Koichiro Iwamoto from “ULTRA C”
Koichiro Iwamoto from “ULTRA C”

——はじめに、ショップのコンセプトを教えてください。

古着という、時を経て価値が再定義される商品を、「今」と「少し先」の”ファッション”として提案することをコンセプトにしています。店名のambivalenceという言葉は、同一の事象に対して相反する感情を抱くことです。時代や場面、人によって価値が変化する“ファッション”は、まさにアンビバレンスだと考えています。

——古着の魅力とは?

当時の生産背景や独自性のあるデザイン・ディテール、着用シーンや着こなしなど、一点一点が内包している“ストーリー”にあると思います。現代では古着をコーディネートとして取り入れ、デザイナーズブランドとともに着用するのはごく自然なことだと思いますし、ヴィンテージ品をサンプリングしてモードに昇華するブランドも多く見受けられます。正直なことを言うとヴィンテージに精通しているわけではなく、古着屋経験もありません。多くのお店をまわるなかで、自分たちの求める新しいカタチをコンセプトに落とし込んだのがambivalenceなのです。ただ、「古着はあくまで古着だ」という一種の自閉したカテゴリーに捉えられがちなのも事実です。従来の魅力に加え、よりフラットな視点を持ち、古着を現代的なファッションピースと捉えることで、今とその先の潮流を表現できるのではないかと考えています。

——古着屋としては珍しいことですが、シーズンごとにテーマを設定し、ビジュアルを撮影するというアイデアはオープン当初からあったのですか?

はい。ただ商品を販売するだけでなく、コンセプトに基づいて、ブランドのように“世界観”を表現したいと思ったからです。一点ものの商品を使ってスタイリングしているのですぐに売れてしまうものもありますが、それもひとつの面白さだと思っています。僕たちなりにファッションの潮流を読み取り、その先を意識した独自の解釈を落とし込んだシーズンテーマを店頭展開の約半年前に決め、ディレクションを行なっていきます。ただし、買付けはそれ以前の構想段階からスタートしています。

Koichiro Iwamoto from “ULTRA C”

——商品のラインナップが実に幅広いジャンルやアイテムで展開されています。2018年秋冬のテーマについてお聞かせください。

次シーズンとなる2018年秋冬はLBGTに着目し、色やタイトなサイズにこだわってラインナップを揃えました。昨今のトレンドのひとつであったビックサイズに対するアンチテーゼの意味合いも込められていて、それもまた今と少し先への提案といえます。

——移転に際してレンタルギャラリーを併設した理由は?

ショップのコンセプトに加えて、場所自体も新しさを感じる——何よりお客様を夢中にさせる——場にしたいと思っていました。量産品ではないために商品の入れ替わりが早い古着屋と、定期的に内容の変わるギャラリーを併せることで、新しいものを持続的に発信できる場にできると考えています。ファッションは決して単一的でなく、多くの要素が組み合わさることでさらに魅力的に見せることができる。さまざまなアーティストやクリエイターとともに有機的な発信ができたらと思っています。

——今後の展望をお聞かせください。

既存の概念にとらわれず、新しいショップのカタチを確立していきたいです。ファッションは一過性のものであり、ブランドが常にトレンドを発信することの難しさは感じています。でもambivalenceは古着屋であるがゆえに、商材の幅を制限せず今かっこいいと思えるものを提案できるので、ファッションの面白さを肌で感じていただけるショップにするべく、柔軟にさまざまな取り組みをしていけたらと思います。

ambivalence
住所:〒150-0034 東京都渋谷区代官山町10-10 代官山トゥエルブ1-C
営業時間:12:00〜22:00

岩本幸一郎写真展「ULTRA C」
会期:7月14日(土)まで