Courtesy Bottega Veneta

新生ボッテガ・ヴェネタはかつてのセリーヌ?

元Célineのデザイナー、ダニエル・リーがBottega Venetaに新たな命を吹きこんだ。彼のデビューコレクションを堪能しよう。

by Osman Ahmed; translated by Nozomi Otaki
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19 december 2018, 10:25am

Courtesy Bottega Veneta

オールドCélineのファンに朗報だ。新たな救世主が誕生した。彼の名はダニエル・リー。今年7月、イタリアのブランドBottega Venetaの新クリエイティブ・ディレクターに就任した32歳の英国人。Céline(今はアクサンなしのCeline)の前クリエイティブディレクター、フィービー・ファイロの右腕だったリーの抜擢は、ある程度予想できた。ファイロのあとをエディ・スリマンが継いで以来、数多くの女性、そして相当数の男性がフィービー・ロス(PPSD)に苦しんでいるのは周知の事実。だからこそ、リーのデビューコレクションは、@OldCelineの熱烈なフォロワーたちの心を掴んだ。しかしリーは、世間の期待どおり、かつての師匠ファイロの控えめでシックな考え抜かれたデザイン、アグリーでありながらエレガントな美学を、新たな仕事に取り入れただけではない。彼は既存のスタイルをさらに進化させたのだ。

bottega veneta pre fall collection look book daniel lee

結局のところBottega Venetaの基盤は、職人技が光る革製品、そしてメンズウェアだ。リーの前任だったトーマス・マイヤーは、サテンのイントレチャート・クラッチバッグ、両面仕上げのカシミアコート、羽のように軽いブラウスを発表し、同ブランドの〈密かな贅沢〉時代の先駆けとなった人物。リブランドの時を悟ったBottega Venetaの親会社ケリングは、そんな彼の後任として、まだ知名度の低いセントラル・セント・マーチン卒業生を抜擢した。

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ファイロ同様、リーにとっても服がすべてだ。ブランドを象徴するイントレチャートは大きく引き伸ばされ、流線型でハイウエストのテーラリングやシャープなAラインスカートに映える大きめのバッグに用いられた。男性の胸ポケットからのぞくハンカチのようなデザインが施された、キャラメル色のシルクカフス付きキャメルコート。マシュマロのように柔らかなキルトのレザースカート。完璧なシルエットのオーバーサイズのムートンコート。開いた襟に沿うジュエリーのようなシルク。足元は不思議な丸みを帯びたパンプス、金のアンクレット付きのレザーメッシュのスティレットヒール。コードバン、エスプレッソ、アンバー、赤褐色などの色彩は、ミラノで暮らすモダニストの部屋を思わせる。ブランド側は同コレクションについて「寛大で、暖かく、優しい服が、柔らかく身体を包み、守ります」と説明している。

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しかし、Bottega Venetaにはメンズウェアという第二の関門があった。リーが自らのスタイルを前面に出すのはウィメンズだけで、メンズは(退屈ではないにしろ)古典的なテーラリングを軸に展開するのだろう、というのが大方の予想だった。しかし彼が発表したのは、プロポーションを重視した、全く新しいメンズ・コレクションだった。縦ラインを強調するスーパールーズなワイドパンツ、襟ぐりが歪んだニット、前身頃が透け感のあるシフォンの、ゆったりとしたカシミアのタートルネック。コバルトカラーの靴紐スニーカーもある。

まさに「スター誕生」だ。リーがミラノ・ファッションウィークで正式なデビューを飾り、彼のヴィジョンが始動するまであと数週間。今回のコレクションと同様、すばらしいショーを期待したい。

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This article originally appeared on i-D UK.