#DearCatcallers:セクハラ男たちと自撮りをする女

「#DearCatcallers」のタグをつけられてインスタに投稿された男たち—彼らは自分たちが女性に辛い思いをさせているとは微塵も思っていない様子だ。

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11 December 2017, 6:00am

Noa Jansma @dearcatcallers

This article was originally published by i-D UK.

目の前を歩く女性を見て口笛を鳴らしたり、性的な言葉を投げかけたり、ナンパの末につきまとったり——それを英語圏では「キャットコール(Catcalling)」と呼ぶ。27歳のころ、わたしは10年のあいだに幾度となく経験してきたキャットコールに耐えきれなくなり、そうした男たちに「ファック・ユー!」と叫んで追い払うようになった。「こんな恥ずかしく怖い思いをさせやがって!」と叫んだこともある。それが賢い対処だとは思わない。キャットコーラーが逆上して事件に発展する可能性は現実として大いにあるからだ。しかし、ただ屈辱に耐え泣き寝入りするより、彼らに立ち向かい「これは許されるべき行為でない」ということを訴えることで、少なくともわたしは立ち向かったと自分を納得させることができ、少しマシな気分になれたのだ。

オランダのアムステルダムに暮らす20歳の学生、ノア・ヤンスマはもっと良い方法を考え出した。2017年8月29日、彼女はInstagramで「#DearCatcaller」というプロジェクトを開始した。彼女は街でキャットコールをしてくる男たちと自撮りをして画像を自身のページに1ヶ月間アップし続けた。キャプションにはキャットコールが起こったときの状況や彼らが発した言葉などを仔細に書き込んでいる。「10分間も追い回された挙句、彼は『セクシーなお嬢さん、これからどこ行くの? 一緒に行ってもいい?』と言い寄ってきた」「2本の通りを歩くあいだ、ずっと車の中から『セクシーだね!』『俺の車に乗れよ!』と叫び続けていた」「『セクシーさん、ひとりでどこに向かってるんだい?』」「『ねえ、どこ行くの? 俺んち来ない? どこに住んでんの? 楽しいことしようぜ』」「『俺がどんなことしたいかわかる?』」など、なんともひどい言葉が並ぶ。

「#親愛なるキャットコーラーさま(#Dearcatcallers)。キャットコールで褒められたと感じる女性はいません」ノアは最初の投稿で書いている。「このアカウントは、女性が普段いかに性的対象として見られているかを多くの人に知ってもらうために作られました。これから1ヶ月間、わたしが遭遇したキャットコールを投稿し、それがどれだけ頻繁に起こり、どのような状況で起こるのかを解説していきたいと思います」。1ヶ月のあいだに投稿された24枚の写真には、さまざまな年齢層や人種、ファッションセンスのキャットコーラーがニヤついた顔で手を振り、あるいはノアの後ろで親指を立てている姿が写っている。なかには、いやらしい目をしていたり、彼女の体に触っていたりするものもいる。ノアが1ヶ月のあいだに体験したすべてのキャットコールが投稿されているわけではない。危険と判断して自撮りができなかったケースも少なくない。

なぜ自撮りをするのかと彼女に訊いてきたのはたったひとりだという。「彼らは疑わないの。自分たちの行為をおかしいことだと思っていないから」と、彼女はオランダの新聞『Het Parool』のインタビューで答えている。男性の多くが性的な発言を放ったり、女性の身体を性的対象として見ることを悪いとも思わず、ゆえに彼女が自撮りを申し出ても、それが彼らのハラスメントを記録する手段などとは考えもしないのだ。そこに恥の感覚がない——それが問題なのだ。

そうした状況をキャットコールされる側の視点から捉えることで、ノアは自らの身体の扱われ方について訴えている。「セルフィーを撮ることで一枚のなかにハラスメントをする側とされる側の人間を撮ることができる」と、彼女は説明している。「キャットコーラーたちの前に、ハラスメントをされる側の人間であるわたしが立っている——この二者の力関係を逆転させるのがこのプロジェクトです」

ノアによる1ヶ月間の「#DearCatcaller」は完了した。だが、プロジェクト自体は終わっていない。彼女による最後の投稿はこう綴られている。「わたしの1ヶ月間の投稿は終わったけど、キャットコーラーが過去のものになったわけではありません。キャットコールは世界中で起こっています。だから、このアカウントは世界の女性たちに引き継いでいってもらおうと思います。プロジェクト完了には長い時間がかかります。どうかこのアカウントの動向を見守ってください。この闘いに加わり、みなさんも#DearCatcaller画像を投稿、もしくはわたしにDMで画像を送ってください」

同様のプロジェクトはこれまでにもあった。23歳のイギリス人写真家エライザ・ハッチによる「Cheer Up Luv」は、女性のポートレイト写真とともに彼女たちがこれまでに経験したセクシャルハラスメントの詳細をキャプションで綴っている。キャットコールが違法行為として認定されていないイギリスに対して、ノアが暮らすアムステルダムでは2018年1月1日から違法行為として取り締まりの対象となる。キャットコールを冒した者は190ユーロ(約2万5千円)の罰金が課せられるという。『Het Parool』紙とのインタビューで、ノアはこの法律による取り締まりが現実的にはとても困難だとの見解を示しながらも、この法律成立を「象徴的な進歩であり、とても良いことだと思う」と評価している。

ノアのInstagramに残されたひとつのコメントが、この闘いの文化的な難しさを物語っている。「キャットコールをしないひとを撮ったらどうだろう。そういうひとたちを讃えてもいいのでは?」 キャットコールが犯罪行為だという認識が世界に浸透するまでには、まだまだ長い道のりになりそうだ。

男性のみなさん。道ばたで女性にハラスメントをしないことは賞賛に値することではありません。それは人間として当然のことだから。こんなことをわざわざ説明させないで。キャットコールは女性と彼女たちの身体をめぐって争う権力闘争であり、現実に起こっている女性抑圧のひとつの形だ。