上海の新世代 写真家レスリー・チャンinterview「僕の基礎には日本の写真がある」

上海の新世代を代表する写真家レスリー・チャン。植田正治や上田義彦の作品に影響を受けて、独自の美学を洗練させていった彼にインタビューを敢行した。

by Ryan White
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16 October 2019, 5:42am

「ある意味ではすごくシンプル。自分が美しいと思うものだけ写真に収めるから」と短期休暇で東京にいるレスリー・チャンは語る。「中国で育った幼い頃の記憶をよみがえらせていることもあるけど、単純に美しい表情ということもある」

揚州で生まれ、南京で育った(どちらも中国東部の大都市だ)レスリーの芸術的センスは、ふたつの街で触れた伝統的な庭園や湖、様々な様式の建築に囲まれていた幼い頃に培われた。「この街は両方とも、この100年で文化的にも経済的にも大きく変化した。中国の社会主義的な動きから、現代の西洋や日本のカルチャーまで、芸術的にも色々な影響を受けてきた」

現在は上海を拠点とする26歳のレスリーは、立派なポートフォリオとは裏腹に、フルタイムの写真家としての活動期間は意外と短い。若い頃は絵画に関心を抱いていた彼が、大学時代に日本の著名な写真家である植田正治や上田義彦の作品に刺激を受け、自らの絵画のスキルを写真の構成へと応用しようと決めたのだ。

「僕の基礎には日本の写真がある。それは重要な事実だと思う。僕は、欧米の理想像を中心に据えたものではない、ファッションフォトの言語をつくろうとしてるから」とレスリー。「僕は、日本の写真界の巨匠たちの作品のほうがより近くに感じる」

「有能な技術者」である友人たちの助けを借りつつ、彼は写真をすべて独学で学んだ。「他の芸術形態とそこまで大差ないから。僕は普遍的な美というものがあると信じていて、卓越した写真作品はそれを体現している」

鮮やかなカラーパレット、繊細ながら力強い被写体の配置など、彼の基礎にファインアートがあることは、その作品からも見てとれる。

「僕の作品においていちばん重要なのは、単純に、視覚的に美しいものであること。でもそれもいろんな解釈ができるよね。あと、何か意味を内包していること。鑑賞者の興味をそそり、考えさせる作品にしたい」

彼は常にフィルムカメラを使用している。「アナログのフィルムカメラしか使ってない。そこまで高価じゃないけど、現像やスキャンにかなりお金はかかってる」と彼はいう。また、それが商業作品であっても、彼は決して妥協しない。

「クライアントの仕事をするときだって、何がなんでも自分のヴィジョンは主張する。でも、僕に依頼してくれるクライアントはいいひとばかりだよ。僕の作品を観て、ちゃんと理解してくれるから」

「僕は滅多に依頼された仕事は断らない。でも、僕が美しいと思うものを貫くのが無理そうだと思ったら、辞退させてもらうよ」

時に詩的な美しさ、時にナンセンスな雰囲気をたたえる彼の作品には、細部まで徹底的に計算されている。「アイデアをかたちにする前に、技術的な面を確実にしておくべきだ。写真の本質には応用美術というものがあると思う」と彼は主張する。

「自分の頭のなかにあるイメージを再現するための手段をマスターしたら、深遠なアイデアに集中できるようになるし、それこそが良い写真家になるために欠かせない点だと思う」

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Credits


Photography Leslie Zhang

This article originally appeared on i-D UK.

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