大志を抱け:AMBITIOUS AMBITION / SINXITY interview

韓国に昨年新たに立ち上がったクリエイティブプラットフォーム〈AXIS〉。その創設者であり、BIGBANG、2NE1、BLACKPINKのプロデューサーでもあるSINXITY、そして4月17日に同プロダクションからデビューしたambitious ambitionのメンバーにインタビューを行った。

by MAKOTO KIKUCHI; photos by Ginjiro Uemura
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18 April 2019, 7:00am

「私たちが作りたいものを作ればグローバルにヒットする。それが今のK-POPだと思っています」昨年新たに立ち上がったクリエイティブプラットフォーム〈AXIS/エクシス〉の創業者、〈SINXITY/シン・シティ〉は事も無げにそう言ってみせた。韓国を代表する大手芸能プロダクション、YGエンタテインメントに2009年に入社して以降、SINXITYはBIGBANG、2NE1、BLACKPINK等のアーティスト、述べ300曲以上のプロジェクトにビジネスからクリエイティブまでたくさんの立場で関わってきた。そんな〈エクシス〉の新たな音楽プロジェクトとして、ボーイズクルー〈ambitious ambition/アンビシャス アンビション(以下、aa)〉が4月17日、満を持して日本での活動を本格的に始動。デビュートラック4曲の配信をスタートさせた。

今回i-Dの取材に応じてくれたのは、〈aa〉のメンバーであるelanとLOGAN、そしてSINXITYの3人。取材日当日、目の前に現れた彼らを見て、意外だな、という印象を受けた。3人の間に流れる空気感はとても穏やかで、心地が良い。マネジメントをする側とされる側の間に当然生じるであろう、ビジネスライクでちぐはぐな縦の繋がりを全く感じなかった。「プロデューサーとアーティストのバランスが大事。100%会社によって作られたものよりも、彼らが考える要素を入れた方がもっといいコンテンツに繋がる。彼らは自分たちのことを誰よりもよく分かっていて、彼らにしか生み出せない新鮮さもある。会社が得意とする専門的な分野もある。そこを融合させる、というのが〈エクシス〉の仕組みです」とSINXITYは話す。

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ELAN AND LOGAN WEAR ALL CLOTHING AMI ALEXANDRE MATTIUSSI.

〈エクシス〉に所属する前は、自分でインディペンデントに音楽を作っていたと言うLOGAN。米・バークリー音楽大学を卒業しており、〈aa〉では、作詞、作曲、ボーカルを担当するなどマルチな実力派だ。ミュージシャンであることのハードルは、年々下がってきているように感じる。自宅から一歩も出なくとも、パソコンひとつで楽曲制作から発信までができてしまう。いや、スマホひとつでだって、それを可能にしてしまうかもしれない。そんな時代に、なぜあえて自らこの業界に飛び込むことに決めたのかと言う問いに対し、彼はあくまで冷静にこう答える。「単純に、より多くの人に自分の音楽を聞いてもらいたいと思っただけです。それは大金を稼ぎたくてとか、PV数を上げたくて、ということとは全く別の話。それをするのに、この会社を選ぶのはベターだと思いました。SINXITYは僕たちに「グループ」ではなく「クルー」を作る、というアイディアを持ち出しました。クルーとしてであれば、僕たちは自分自身をより表現することができる」。

俳優〈Hans〉としての顔も持つelanは今後の活動について、「俳優業と音楽業、どちらにも重きを置いてきたい」と話す。現在〈エクシス〉はK-POPドラマシリーズの公開を2020年に予定している。そこでDJ elanの役を演じており、今回リリースされた楽曲「golden」と「feeling」では実際に彼がサウンドメイキングにも参加している。ドラマのなかとリアリティをシンクロさせるこのユニークな取り組みは、一体我々に何を見せてくれるのだろう? 4月15日に発売されたばかりばかりの『i-D Japan no.7』のテーマ「ヒーロー」にちなんで、憧れの人は誰か問うたところ、肩の力の抜けた表情で、こんな頼もしい言葉を口にした。「とくにいませんね。いい音楽を作れて、人を幸せにできて、自分の音楽で踊ってくれる人がいたら。それが今僕が持っている総合的な目標です」。

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SINXITY WEARS ALL CLOTHING MODEL'S OWN.

彼らの楽曲のほとんどには英語詞が用いられている。LOGANとelanはそれぞれアメリカ、カナダの出身であり、二人とも英語と韓国語、どちらも流暢に話す。elanは「強いて言うなら英語のほうが話していてしっくりくるかな」と前置きしながら、「でも僕の韓国語もそんなに悪くないんですよ」と笑う。「僕たちの曲にはすべて英語詞のものと韓国詞のものと2つバージョンがあるんです。それを最終的にどちらの歌詞が曲に合うかという基準で決めます」と話すLOGAN。同じように韻を踏むことができ、なおかつ意味も近い言葉を英語、韓国語間ですることの難しさは、容易に想像できる。K-POP音楽が日本に輸入されるとき、元の曲に日本語歌詞を当てはめたものが普及することがとても多い。だがその多くがオリジナルの韓国詞とは程遠いものになってしまっているのも事実だ。今後〈aa〉で日本語歌詞の楽曲を出すことについて見解を聞くと、「変に日本語詞を出すというようなローカライゼーションは今後やめたほうがいい」とSINXITYは言い切る。「今は日本の〈aa〉クルーのメンバーを募集していて、これからスカウトしていく予定です。そこでいい日本詞を作ることができる人と出会えれば、可能性としてはあると思います」。

二人は現在、YouTubeチャンネルのコンテンツ制作を勉強中だ。もともと音楽プロデューサーを目指していたというLOGANは、そのチャンネルで自身がリミックスした楽曲も公開する予定だと言う。「有名な映画やドラマの台詞を切り取って繋ぎ合わせることで音楽にしちゃうんです。実はもうすでに一曲作っていて」そう話す彼はとても楽しそうだ。「僕は日常生活や、メンバーと旅をしているところなんかを配信していきたいです。あとはワークアウトの様子とかね」自分の夢ややりたいことを、歯切れのいい口調で語っていく彼らは、我々が安直に思い描いていた従来のK-POPアイドルの枠組みを軽やかに飛び越えていってくれるのだろう、そう予感させる。「今どきの男の子たちで、自分の夢を口にできるような人は少ないですよね。ちょっとクールな態度でいるほうが主流というか。でもこの彼らみたいに夢を持って走っている子たちは少なからずいるんです」そう語るSINXITYはどこか誇らしげだった。

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ELAN AND LOGAN WEAR ALL CLOTHING AMI ALEXANDRE MATTIUSSI.

ambitious ambition/アンビシャス アンビション

韓国新鋭クリエイティブプラットフォーム「AXIS」の第1弾マルチクリエイターボーイズクルー"ambitious ambition:通称aaクルー”。クルー各自が音楽プロデューサー、DJ、俳優などアーティスト以外の分野もこなし、マルチに飛躍するボーイズクリエイター集団。デビューシングル『black』『golden (feat.LOGAN)』『feeling (feat.Jaxon Kurt)』『Know You Better (feat.NiiHWA)』の4タイトルを4月17日に同時リリース。公式インスタグラムアカウントはこちら

Credit


Text Makoto Kikuchi
Photo Ginjiro Uemura