森栄喜の朗読パフォーマンス『A Poet: We see a Rainbow』のドキュメンタリー映像公開

「僕自身が写真を撮り続けていて気づいたのは、嘘がまったく含まれていない“本当のこと”を偽らずに写し出すと、本当っぽくならないということ」

by Tatsuya Yamaguchi
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01 February 2019, 3:00am

写真家で、同性婚実現に向けた活動も行う森栄喜が、フェスティバル/トーキョー18のプログラム〈まちなかパフォーマンスシリーズ〉で披露した朗読パフォーマンス作品『A Poet: We see a Rainbow』を発表。そのドキュメント映像が本日公開された。

舞台は、人の“声”をかき消す音が存在する街中(彼はこの環境を、声が届きにくい世界にある人々の意識や社会環境を暗示させると話した)。書店のギャラリースペース、公園のパブリックテラス、東京芸術劇場前の広場と館内の屋内広場。映像は、4つの性質の異なる会場でのパフォーマンスの様子を再構成した内容だ。

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フェスティバル/トーキョー18 まちなかパフォーマンスシリーズ 『A Poet: We See a Rainbow』 Photography Kazuma Hata

自筆の詩は、おじいちゃん、青年、少年という三世代の視点が織り交ぜられながら「年齢やセクシャリティー、階級、国籍といった様々なことが密度濃く過剰に詰め込まれている世界」が綴られている。「僕の文章って、何かへの訴えや感情の表現というよりは、基本的に“描写”なんです」と、最終公演を終えた直後に衣装を手がけたwrittenafterwardsのデザイナー山縣良和と行った対談で、森は話した。ゲイ・ライツ運動の発端として記憶されている1969年にニューヨークで起こった“ストーンウォール・インの反乱”に触れる一節、あるいは、かつて森自身の目の前で起こった些細な出来事と心によぎった思い。すべて、嘘が含まれていない真実だという。

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フェスティバル/トーキョー18 まちなかパフォーマンスシリーズ 『A Poet: We See a Rainbow』 Photography Kazuma Hata

でも実際のパフォーマンス中、白一色の偶像的な佇まいで詩を朗読する彼の声は、街中の騒音と、意図的に加えられたノイジーな音楽によってかき消されていた。日常空間に突如として現れた存在は、道行く人の足を止めていく。耳を傾けなければ、聴こえないことがたくさんあることに気づかされる。彼は話す。「1ミリの気付きが、壮大に構築されていた世界を破壊していくかもしれない」