group A インタビュー:脱国境的な過激さ

過激なサウンドとパフォーマンスで日本のみならず、ヨーロッパでも注目を浴びるアヴァンギャルド・シンセ・ウェーヴ・デュオ、group A。日本人でありながらベルリンを拠点に活動する彼女らの表現の軸にあるものとは?

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okt 24 2017, 4:28am

インダストリアルなノイズ・ミュージックとポスト・パンク/ニューウェーヴ・サウンドが交差しあう中、裸体にボディ・ペインティングを施しエクストリームなパフォーマンスをするという、一度ライブを観たら二度と忘れることができないほどの鮮烈さを放つ。group Aは、ふたりの日本人女性、Tommi TokyoとSayaka Botanicによって構成されている。高校卒業後にロンドンへ移住していた彼女たちは、日本に帰国した後、2012年にデビュー。レーベルには所属せず、日本で3枚のアルバムをリリースした後、2016年にドイツの首都ベルリンに活動の拠点を移すことを決意する。しかし、「最初はイギリスに戻ろうというのも考えた」とTommiが言うように、活動拠点を決めるまでには紆余曲折があったようだ。彼女は「実際にいろんな国で私たちのライブの反応を見てから移住先を考えたいなと思い、いろいろ動いてみたら、ブッキングできたのがドイツとイタリアだったんですよね。その二国でパフォーマンスをしたらドイツのオーディエンスの反応がすごく良くて。もとからふたりともドイツの音楽が好きでしたし、その場で、じゃあドイツにしよっか!っていう」と説明する。

アナログ・シンセとドラムマシーンが織りなす無機質なビート/リズムが楽曲の骨格を作り、ボーカルやヴァイオリン、テープ・コラージュが時に不穏に、時にユーモラスにサウンドを染め上げてゆく。このサウンドが、彼女らの裸体にボディ・ペインティングを施された状態で行われるパフォーマンスと見事に融合し、オーディエンスを熱狂させる。このパフォーマンスは、Sayakaが言うには「ライブで、衣装をどうしようかという話になったときに、自分たちのサウンドに合わせるなら何も身につけないのが自然だ」という考えのもとで行われているようだ。過激さを追い求めたというより、あくまで自分たちのスタイルに合致したものとして選択しているのだ。

こういったgroup Aの特異なサウンド&パフォーマンスのスタイルはベルリンで快く迎えられているらしく、その理由についてTommiは、「ベルリンは、ドイツ国内でも群を抜いて国際色が豊かな街。いろんな人種、宗教の人がいて、ちゃんとみんな仲良く助け合って生きてる。みんなの考え方が自由だし、ひとつの価値観を押し付けたりしないから、自分らしくいられる場所です」と、ベルリンが世界に誇る文化的多様性の都市であり、だからこそgroup Aの居場所があると主張する。group Aの音楽活動の中心的なテーマは「怒り」。政治や歴史なども含め、自分たちが生活してゆくうえで抱いた「怒り」を音楽やライブのときに用いられる映像などに反映させるのが、彼女らの表現の軸だ。その「怒り」は、彼らがベルリンに移住した原因でもある。それは日本での生活への苛立ちだ。Sayakaは「日本だと男は男、女は女。30歳になったら結婚して、子ども産んで、家族を作って、みたいな」というステレオタイプなライフプランニングへの不満を口にし、Tommiは「日本の社会って全部が決まってるじゃないですか。大学を卒業したらギャップを開けないでそのまま会社に入らないと、1~2年経ったら入りにくくなる。会社で働く以外の社会経験があるほうがよっぽど人間として豊かなはずなのに」と、新卒一括採用の風潮に疑義を呈する。

そんなgroup Aだが、ベルリンに移住した当時は、日本で感じていたさまざまなストレスから解放され、「怒り」がほとんど存在しなかったという。「ベルリンに引っ越してきてからはとにかく楽しくて。日本で感じていたようなストレスは皆無で、怒りをさがすのが大変でした。あと、こっちに来て視野の範囲が変わったのを感じます。日本にいたときはテロ怖いね、というだけで、その背景に何があるのかはちゃんとわかってはいなかったのですが、こっちに来てからはその背景まで理解できるようになりました」とTommiは冷静に分析し、来るべき新作の内容についても言及する。「だから、次のアルバムは日本に対する怒りじゃなくて、世界情勢に対して、ドイツに暮らす私たちがどう思っているかがテーマになります」

SpotifyやApple Musicといったストリーミング・サービスや、YouTubeなどの動画共有サービスが発達した現代では、国外の未知の音楽に気軽に手を伸ばすことができる。これは音楽家たちが、自分と違った国に住む未知のファンに向けてアピールすることがいまだかつてないくらい容易になっているということを意味している。それを裏付けるように、Tommiは言う。「一緒に日本でイベントに出た人が同じフェスに出たりすることがあるので、それが嬉しいですね。ポーランドのアヴァン・アート・フェスティバルという日本の音楽に特化したフェスがあって、出演者もほとんど日本人の音楽家で、それに出たときもPhewさんやKYOKAさん、DNAのモリイクエさんと一緒だったり。北欧のフェスでは、食品まつりさんと一緒でした。あと、大阪のGOATも何度かヨーロッパに来ているので、一番イベントで一緒になってるのは彼らかも」。音楽を巡るこういった状況を見ていると、今後日本の音楽家がgroup Aのように国外に進出していく例が増えていくのではないかと思えてくる。Tommiはこう続ける。「日本人のアーティストへの関心がすごく高いのが身にしみて感じられる。そういう意味でもgroup Aはいいタイミングで引っ越してきたなと思いますね。今年帰国したときに、音楽仲間たちにとにかくヨーロッパにおいでって誘ったんですよね。そしたら何人か来ましたけど、みんなほんとに来たらいいと思う」

日本という限られたマーケットだけを見ながら音楽活動を続けるよりも、group Aのようにグローバルな視点に立ち、自分たちのスタイルを貫きながら音楽を作り続けることこそが、本当の意味で現代的な姿勢といえるのかもしれない。

group A の新作EP「group A」は12月4日にリリースされる。視聴はこちらから。

Credit


PHOTOGRAPHY KEI TAKEDA
TEXT KOHEI YAGI

GROUP A WEARS ALL CLOTHING MODEL'S OWN.