HARUHI インタビュー:「完璧って好きじゃないから」

映画『世界から猫が消えたなら』の主題歌「ひずみ」で彗星の如くシーンに現れ、一躍注目を浴びたシンガーソングライター HARUHI。世界水準の歌唱力と豊かな表現力で瞬く間にリスナーを魅了し、18歳とは思えない秘めたる可能性、そして駿才の片鱗をのぞかせた。

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26 October 2017, 7:36am

映画『世界から猫が消えたなら』の主題歌「ひずみ」で彗星の如くシーンに現れ、一躍注目を浴びたシンガーソングライター HARUHI。世界水準の歌唱力と豊かな表現力で瞬く間にリスナーを魅了し、18歳とは思えない秘めたる可能性、そして駿才の片鱗をのぞかせた。

アメリカで生まれ、幼い頃から日本とアメリカを行ったり来たりして過ごしたHARUHI。日本でもインターナショナルスクールに通っていたため、母国語は英語だ。初のフルアルバム『INSIDE OUT』に収録された曲も英語の歌が多く、楽曲のほとんどをHARUHI自身が手がけている。曲作りは、ストーリーから作り始めることが多いという。「自分や友達の人生に起きた出来事をベースに作ることが多いかな。先に世界観を作らないと曲がぐちゃぐちゃになっちゃうんです。例えば『Nightmare』という曲は自分が見た夢の中の話を集めて作ったし、『Disappear』は自分が住んでいる街から消えたいって旅に出る物語なんですよ」

確かにHARUHIが作る曲は、彼女の実体験や率直な思いを反映したものが多く、一人称で語られる物語のような趣がある。撮影中、HARUHIはカメラを向けられると、子どものようにおどけたり、屈託のない笑顔を見せたりと気の向くままに表情を変える。さらに衣装を変えて「OMG!これ大好き!」と身につけた服を自分ごとぎゅっと抱き締める。まさに天真爛漫という言葉がぴったりな彼女だが、小さい頃は今とは正反対の性格だったという。「小さい頃はすごいペシミスティック(悲観的)で、そういう自分が大キライだった。それで自分のスケールを思いっきりオプティミスティック(楽観的)の方に振ったら、それが戻らなくなっちゃった」と言うが、「悲しい思い出を曲にするなら、自分をさらけ出さないといけない。それってすごく難しいこと。でもその壁をぶち抜けると、曲が本物になるんです」。彼女の曲を聞けば、彼女がぶち抜いてきた壁を感じ取ることができるだろう。

そういった経緯もあって、HARUHIは"完璧"でいることにこだわらない。曲作りも体裁を整えるのではなく、生の感情をいかにそのまま伝えられるかに重きを置いている。まさしくアルバムタイトル『INSIDE OUT』の通り、臆することなく内面をさらけ出すのだ。「歌ってる人だって完璧じゃないのに、どうしてそれを完璧に見せようとするんだろう? 人間はそのままの方がいいんですよ、絶対。だから『Don't Let Me Go』っていう曲は、半分泣きながら歌っているので声が途中で割れたりしているんだけど、それをきれいに整えるよりも、そのまま残した方がいいんじゃないかって思ってそうしてるんです。私はわざとらしくかわいらしく歌うなんて絶対したくない。誰かに寄せてるだけじゃつまらないし、自分らしい声とスタイルで歌わなきゃ意味がないから。今は自分のやりたいスタイルもわかってきたし、曲の書き方もわかってきたし、ボーカリストとしての上達も感じてるんです」

彼女が力強く話す姿は自由で気高く、生命力にあふれ、まるで野生動物のように凛としている。他人にどう見られるかより、今自分が何を感じているかを大切にする。それは音楽だけの話じゃなく、彼女の生活すべてにあてはまる。「女の子はかわいくてきれいで素敵じゃないといけない。男の子はかっこよくてクールじゃないといけない。そういうふうに世の中がなり過ぎているんだと思う。でも、アーティストは操り人形じゃないし、私は完璧って好きじゃないから、自分が好きなものを好きな形でやりたいんです」

HARUHIは今年、渡米する。だいぶ前からそう決めていたそうで、アメリカを拠点に本格的に音楽の勉強を始める予定だ。「たとえ高校を卒業できなくてもたぶん行っちゃうと思う。"今、行かないといけない"っていうメンタルになってるから。とにかく冒険に出たいんです」いつ日本に帰ってくるかは決めていないそうだが、何かしらの"表現"で生きていくことは決めている。そんな覚悟を胸に秘めた18歳は珍しい。実際、同級生からも驚かれることが多いらしく、「私の周りでもやりたいことを見つけられている人ってかなり少ない。ましてやアートとか音楽で食っていきたいなんて、『バカじゃないの?』って言われるときもあるけど、そんなのいちいち聞いてられない(笑)。もちろん不安はある。だけど、最悪家がなくなって1年くらい車で生活しなきゃってなっても全然構わないと思ってる。フリーランス・アーティストっていうのかな? そんな感じで自由にご飯を食べていきたいですね」

将来のことを思い描くHARUHIの目には、時折不安も見え隠れするけど、その大半は冒険へのワクワクに満ちている。「私の今の人生のオプションは、絵を描いて食べていくか、音楽をやって食べていくか、ミュージカルで食べていくか、の3つ。でも実は全部やりたくて、やろうと思えば全部できちゃうと思ってる。アルバムを出しながら、ミュージカルにも出て、空いてる時間に絵を描いて。あぁ、考えただけでも幸せ。I love it !」と顔をくしゃくしゃにして笑う。

「できるかわからないけど、やってみないとわからない」

HARUHIはその言葉を何度か繰り返した。それは自分に言い聞かせているようでもあり、多くの人に語りかけているようにも聞こえた。「私もウジウジしていたタイプだから、ウジウジしちゃう人の気持ちもすごくわかる。でも、変わりたいなら自分に"Shut up! "って蹴り入れて、前に進んでいかないとダメなんですよ。まだ18歳だから"これで生きていけるじゃん!"って信じられる力を持ってるし、それでダメだったら他の仕事を探せばいい。それまでは、ずっと好きなことをやるつもりです」

Credit


Photography Raihei Okada
Styling Chie Ninomiya
Text Sahoko Yamazaki
Hair HORI at BE NATURAL.
Make-up CHACHA at beauty direction.
Styling assistance Chihiro Imahori. Hair assistance Akimi Kono.