Image via Alamy

#TimesUp運動から考える視覚の速さ、ファッションの力

ハリウッドの#TimesUp運動は,ファッションが単なる服装以上の意味を持っていることを私たちに思い出させてくれる。

by Hanna Hanra; translated by Yuichi Asami
|
jan 29 2018, 10:08am

Image via Alamy

毎年、年始の数カ月間にセレブリティ界で話題になることといえば、「誰が、どの授賞式で、何を着たのか」ということである。その格好が「あり」か「なし」かのバロメーターになるからだ。それでも世の中の広い視点で見れば、それがとりわけ重要なニュースというわけではない。

しかし、今年は事情が違う。ファッションがこれほど重要視されたことはこれまでなかっただろう。先日のゴールデングローブ賞授賞式において、増加の一途を辿る映画産業のセクシャル・ハラスメント疑惑に立ち向かうため、(2、3人の例外を除いて)出席者たちは黒のドレスコードで結託し、結束を示したのだ。今回の授賞式は、1971年のアカデミー賞授賞式でマーロン・ブランドが主演男優賞を受け取る代わりに、ネイティヴ・アメリカンの女優サチーン・リトルフェザーにスピーチをさせて以来、最も政治色の強い授賞式の一つだったと言えるだろう。女優たちがどんなドレスを着用するのかはこれまでも重要視されてきたが、今年のゴールデングローブ賞で重要だったのは、そこに込められた政治的イデオロギーであり、彼女たちをいち早く結束させたという事実である。

私たちが住む世界では、視覚こそが重要だ。「ウィメンズ・マーチ」で女性たちの結束を示したピンクのプッシー・ハットから、メイクアップに反対するスローガンをあしらったTシャツ、アイス・バケツ・チャレンジに至るまで、共有の方法も無数にあるということもあり、視覚から入る情報は言葉よりも早く広まっていく。このデジタルな方法がなかった時代については、思い出すことも難しい。良くも悪くも。

とはいえ、ひと度レッドカーペッドが終了し、それについての論評を読み終え、それが生み出した産物がすべて消費されたとなれば、その先はどうなるのだろうか? 多くの場合、授賞式で着用されたドレスはデザイナーの元へ返却されたのち、アーカイヴとなるか、保管されたのちに再び着用されることになる。一方で今シーズンについていえば、ブラックのドレスたちは、政治的メッセージであり社会的正義のシンボルであるという、単なる煌びやかな布製品以上の価値を持つこととなった。今年のドレスコードを先導することとなった#TimesUpは、eBayとコンデナストとパートナーシップを結び、ゴールデングローブ賞授賞式で着用されたガウンやタキシードを対象としたチャリティー・オークションが開催された。オークションの売り上げは、セクシャル・ハラスメントの被害者を法的に支援する、TimesUpの弁護基金に寄付される。

ファッションとは、繰り返しを嫌うものだ。6週間後に迫ったアカデミー賞授賞式に向けて、そのレッドカーペッドでどのような返答がなされるのかは現時点で明らかになっていない。私たちにわかるのは、ゴールデングローブ賞を誰が受賞したかを気にかけているにせよ、いないにせよ、#TimesUpのために人々が黒を着用して結束を示したことは、ファッションが単なる服装以上の意味を持っていることを私たちに思い出させてくれたということだ。

This article originally appeared on i-D UK.