自分自身の性自認や性的趣向を受け入れるのは自然なこと。SLICKが選ぶクィアな音楽8選

すべての人が安心してオープンに楽しめる空間を目指すレイヴパーティSLICK。5月29日にオールナイトで開催される第2回目を目前に、愛と情熱で心を解放してくれる音楽をピックアップ。

by Saki yamada
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24 May 2021, 10:59am

「クィアであるということは、自分自身の性自認や性的趣向を受け入れること。それは恥ずかしいことでも否定することでもなく自然なことで、それはどんな人でも同じ。これが、私たちが掲げている〈セックスポジティブ〉という言葉の意味です」とSLICKは話す。SLICKとは、2020年9月に川崎の工業地帯で行われたシークレットレイヴだ。i-Dでもユートピアのようにマジカルな雰囲気が漂うパーティスナップをフィーチャーしている。そこに集まったのは、あらゆる性別、セクシュアリティ、人種、年齢、身体的マイノリティに関係なく、すべての人に尊敬を持ち、自由でオープンなマインドで他者に寄り添う音楽ファンだ。

常に進化と前進を念頭に置くSLICKにとって、「すべての人が安心してオープンに楽しめる空間」とステイトメントを表明することは重要だ。同じ時代を生きる人々が集まり、時間と空間を共有することができるパーティ。心の底から楽しむという体験は、参加者が自由と人権について深く考えるキッカケになっていく。自由とは、こうした積み重ねの上に存在するものだ。そして誰もが平等に手にする権利がある。想像力を欠いた攻撃的な言葉が飛び交うSNS中心の現代社会では、こうした生身の人間同士が同じ空間でコミュニケーションを取れる場所が必要。SLICKはそう信じている。

第2回目となる野外レイヴは5月29日の夕暮れ時から翌朝まで開催される。場所は成田空港の滑走路と滑走路の間にて。すでにチケットはソールドアウトしているが、コアメンバーのMari Sakurai、7e、Elin、ミドリの4名がこのパーティにふさわしい音楽を想い想いセレクトしてくれた。レイヴに参加する人もしない人も、ハイエナジーな8曲を聴いてSLICKのバイブスを感じて。

Mari Sakurai DJ、イベントオーガナイザー

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Mari Sakurai DJ、イベントオーガナイザー @_marisakurai

「強いエネルギーが感じられる曲。彼女はDJのPrecolumbianとトランス女性のDJやプロデューサーを紹介するとともに、従来とは異なるクラブミュージックを探求するための安全な空間を作り出すイベント、Search Engineを主催しています。SLICKのコンセプトと通ずるものを感じ、彼女の曲をセレクトしました」

「フロアでかかったら思わず飛び跳ねて踊ってしまう曲。彼女は、あるインタビューで自身のプライドについて『誇りを持ってプレイリストを作ったり、ロゴを虹色にしたりするだけではいけません。私たちは、自分たちのために戦い、自分たちの面倒を見なければならないのです』と語っており、感銘を受けました。彼女のサウンドにはそのような力強い精神も感じられます」

7e DJ、イベントオーガナイザー

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7e DJ、イベントオーガナイザー @7e_romanescos

「NYのクィア・ラッパーのMykki Blancoのこの曲はトラックが最高にかっこいい。ミュージックビデオも好きです。男性の格好でワイルドにラップしていたかと思えば、メイクをして女性の格好をすると女性的なセクシーな表情になるところが素敵。クラブや車で大音量で聞きたいです。Nワードが入っていますが、HIP HOPカルチャーにおけるNワードの使用は〈Reappropriate (何かを取り戻したり再占有すること)〉という、被差別者自らが堂々とした態度で自分自身を差別用語で指します。Mykki自身が黒人であり、その言葉の否定的な意味を奪う概念が働いているということを踏まえたうえで、この曲をあげることにしました」


「DJ Rushはシカゴ出身のDJ/プロデューサー。身長が2mほどある上にめちゃくちゃ高い厚底の靴を履いて、メイクをして女装でDJブースに立つこともあるらしいです。その存在感は物凄いと、実際にプレイを見た友人から聞いてとても素敵だと思いました。フロアで聞きたいゴキゲンなトラックです」

Elin イベントオーガナイザー、LGBT活動家、大学教授

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Elin イベントオーガナイザー、LGBT活動家、大学教授 @elin.mc

「リリースされてからずっと聴きいてました。この曲を聞くとベルリンのパーティを思い出します。だけど選んだ理由は、前回のSLICKでMari Sakuraiがいろいろなバリエーションをかけてくれて踊り倒したことが、私たちの大切な思い出のひとつになっているからです」

「古い曲だけど、まだまだ大好き。私は、昼間はアカデミアで働いているので、こういう学問ネタの曲は大歓迎。聞くと毎回私の存在が認められた気分になる(笑)」

ミドリ アーティスト、イベントオーガナイザー

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ミドリ アーティスト、イベントオーガナイザー @dolly3o3

「SLICKと言えばUltrademonと言われる程、1回目のSLICKで見事なDJを披露してくれた彼女自身の作品。『クィアなダンスミュージックって何?』って思うけど、Lily自身がクィアなので選びました」

「私の中で〈クィア〉って、自分のジェンダーや性についてすごく深く考えていることじゃないかなと思っています。彼女にはセックスポジティブ感があり、性について結構考えていそう。また、私の中のクィア・ダンスなイメージと音が合っていました」