デザイナー、YOONが語るインスピレーション、死、ファッションの未来

i-DがAMBUSH®︎2021年秋冬キャンペーンの舞台裏を直撃。クリエイティブディレクターへのインタビューを通して、日本生まれのブランドの今なお広がり続ける世界を探る。

by Gloria Maria Cappelletti; translated by Nozomi Otaki
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13 July 2021, 5:15am

アクセサリーの世界に深く根ざすAMBUSH®︎は、洋服のシーンにも進出し、その両方で唯一無二のアイテムを生み出すための提案、方法論、インスピレーションを探ってきた。その結果、AMBUSH®︎は多様な要素から成るブランドとなり、さまざまなアートやデザインを引用して我が物としながら、急激に多様化と画一化が進むファッション業界において、自らをジェンダーレスでユニセックスな選択肢として提示することに成功した。

 流動性と快適さは、AMBUSH®︎を実験と革新を求めてやまないブランドたらしめるキーワードだ。この緊張感こそが、このブランドに生き生きとした魅力を与えている。AMBUSH®︎が目指すのは、着心地がよくシンプルだが決してありきたりではない、時に混じり気のないコンセプチュアル・ファッションの系譜に連なるようなファッションを定義づけることだ。

AMBUSH FW21 backstage campaign

ハーリー・ウィアーが撮影した、コレクションに隠された暗号をひも解く手がかりとなるキャンペーンとともに、AMBUSH®︎2021年秋冬コレクションは、このブランドが揺るがない自信を胸に自らのルーツを貫き、未来の進化へと踏み出す、新たな章の始まりを告げている。

このイメージに興味をそそられた私たちは、キャンペーンの裏側に潜入。バックステージの撮影やクリエイティブディレクター、YOONへのインタビューというまたとないチャンスを通して、日本生まれのブランドの今なお広がり続ける世界を探った。

YOONへのインタビューを、ジョン・ブロネクセル(Jon Bronxl)がキャンペーン中に撮影したバックステージ写真とともにお届けする。


──コレクションとはインスピレーションの集合体で、コミュニケーションツールです。今回の2021年秋冬ウィメンズ&メンズコレクションの構想について教えていただけますか? どんなメッセージを込めたんでしょう?

今回は2021年春夏コレクションの続編です。現実に根ざしたワードローブが主役のコレクションですが、今シーズンは色使いや、落ち着いた雰囲気からもう一度世界へと踏み込んでいくという流れを通して、さらにエネルギッシュなものにしました。

AMBUSH FW21 backstage campaign

──ハーリー・ウィアーが撮影した2021年秋冬キャンペーンの写真は、パワフルで、どこか現実離れした自然を捉えています。あなたをもっともよく表す自然界の元素は何だと思いますか?

ハーリーが撮る写真はとてもパワフルです。あの時間が曖昧になるような感覚が大好きです。絶対に私の中にあるのは火と空気。なので、そのふたつだと思います。

──今回のキャンペーンのコンセプトにおいて、時間の次元はとても重要なテーマだと感じています。なかでも午前12時、午前6時、午後6時が創作プロセスにおいて重要な役割を果たしているのはなぜですか? エンジェルナンバーのようなものなんでしょうか。

簡単に言ってしまえば、これは太陽がのぼる時間、いちばん高いところにいる時間、沈む時間を表しています。12、6、6という数字のレイアウトも幾何学模様のようなので、この時間を選びました。

──このコレクションを着用したひとには何を感じてほしいですか? 3つの言葉で答えてください。

気楽、快適、刺激的。

AMBUSH FW21 backstage campaign

──最近、AMBUSH Universeに掲載された妹島和世さんとの対談を読みました。おふたりとも、今という時代はアルゴリズムやAIによって動かされていると話していましたね。ファッションの未来はこの先どうなっていくと思いますか?

私たちはデータとアルゴリズムが動かす時代に生きています。データやアナリティクスの変換は、うまくいけば、生活のいろんな面で私たちを助けてくれます。でも、人間が機械と違うのは、思考を持って自ら考えることができるという点です。機械は教わったとおりに動くことしかできません。

それとは対照的に、デザインは自動化できるものではありません。私たちにはこの世にふたつとないオリジナルの何かを想像し、それを形にする能力がある。デザイナーたちには、論理的、倫理的な判断力の革新を通して、自分の意志を働かせることで、より一層人間らしさを大切にしてほしいですね。

──世界で起きていることは、あなたの作品にどんな影響を与えますか?

いつも読書をしたり世の中を見渡していると、点と点が繋がり、目からうろこが落ちるような瞬間が訪れます。そういうものすべてが作品に影響を与えています。

AMBUSH FW21 backstage campaign

──生活の指針としているモットーやルールはありますか?

人間は誰しも日々刻一刻と死に向かっている、ということ。これは人間という存在の逃れようのない真実です。別にそれは悲しいことでも落ち込むことでもない。単なる事実で、現実です。私たちは、まるでチャンスは何度でも訪れ、自分たちが永遠に生きられるかのように日々を過ごしてしまいがちですが、この広い宇宙において、私たちはとても儚い存在です。この言葉を心に留めておくことで、人生で訪れるあらゆるものを大切にしながら生きることができます。


──若いデザイナーにアドバイスをお願いします。

常に学び、勉強すること。若いときは、いろんなものを少しかじってみて自分の傾向や自分に合うものを知る時間があります。仕事を始めてからも、自分がいちばん喜びを感じるものにベストを尽くしてください。

AMBUSH FW21 backstage campaign
AMBUSH FW21 backstage campaign
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AMBUSH FW21 backstage campaign
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Credits


 Photography Jon Bronxl

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Fashion