クィア女性のマスキュリニティを讃える写真
「黒人やブラウンの人びとのコミュニティは、メディアが繰り返し提示するステレオタイプなイメージにとどまらない、というメッセージをこの作品に反映させたかった」
リンジー・ペリーマンにとって、クィアコミュニティとは「本当の自分を見せられる」ことを意味する。それはこのブルックリン生まれのフォトグラファー/映像作家の新作ZINE『The Colors We Don’t See at The End of The Rainbow』にも通じるテーマだ。しかし、大半のLGBTQ+コミュニティは、いまだにこの定義を実現できていない。コミュニティ内のシスジェンダーの人びとは、今もトランスジェンダーを悪者扱いし続けていて、数ヶ月後には、今や毎年恒例となったプライドでの性的倒錯(kink)の是非をめぐる〈kink at Pride論争〉が巻き起こるだろう。さらに、あらゆる先進的な社会運動は、必ず何らかのレイシズムを内包していた。

英国のLGBTQ+権利擁護団体〈Stonewall〉の最近の調査によれば、クィアコミュニティで差別や不当な扱いを受けた有色人種の人びとは51%にのぼる。特に黒人のLGBTQ+の人びとは、5人のうち3人(61%)が他のLGBTQ+の人びとからいわゆる〈二重の差別〉を受けたことがある、と回答した。

幼い頃に父親からカメラを手渡され、「それ以来夢中になった」というリンジーは、自身のクリエイティブなスキルを活かし、これらの差別を是正するために行動を起こした。「このプロジェクトを始めたきっかけは、ただ単に、LGBT+コミュニティの多様なバックグラウンドを持つ黒人やブラウンの女性の姿を見せたい、ということでした」とリンジーはメールで説明し、現在では当たり前のものとなったメディアの女性表象は、いまだに多様性が著しく欠けていると指摘した。「別の角度からLGBT+の人びとを表象することを心がけました」

特にリンジーがフォーカスしたかったのは、めったにその美しさに注目が集まることのないマスキュリンなアフリカ系米国人女性〈スタッド〉だ。「クィアでマスキュリンな女性は、今日まで不可視な存在であり続けています」とリンジーは語る。「黒人やブラウンの人びとのコミュニティは、メディアが繰り返し提示するステレオタイプなイメージにとどまらない、というメッセージをこの作品に反映させたかったんです」

現在24歳のリンジーは、永遠のインスピレーション源として、フォトグラファーのタイラー・ミッチェルの名前を挙げた。「彼の唯一無二の黒人やブラウン・コミュニティの描写──彼自身の言葉を借りれば〈黒人のユートピア的ヴィジョン〉──には、心から感銘を受けました。彼はこれらの人びとのエレガンスだけでなく、娯楽や遊び心に富んだ自由さも捉えています」。主に被写体となったモデルたちにインスパイアされた『The Colors』は、リンジーの初めての公式出版物だ。「プロジェクトに参加したい、カメラの前で自分をさらけ出したいというモデルたちの思い」が、ZINEの制作に不可欠な原動力となったという。「自分の心、身体、魂を注ぎ込んだ作品です」











Credits
All images courtesy Lindsay Perryman
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