Photography Mario Sorrenti

「母のためなら何でもする」タイショーン・ジョーンズ interview

22歳のスケーター/レストラン経営者/シューズデザイナーが、成功、ビジネス、初任給の使い道について語る。

by i-D Staff; translated by Nozomi Otaki
|
20 December 2021, 3:19am

Photography Mario Sorrenti

この記事はi-D Out Of The Blue issue, no. 366, Winter 2021に掲載されたものです。注文はこちら

タイショーン・ジョーンズは世界一クールで最高のスケーターだ。2018年の『Thrasher Magazine』スケーター・オブ・ザ・イヤー、ブロンクスのカリブ料理レストラン〈Taste So Good〉のオーナー、Supremeのスケートフィルム『Cherry』『Blessed』のスターとさまざまな顔をもつタイショーンは、最近もadidasから2足のシグネチャースニーカーを発表するなど、弱冠22歳にして世界を股にかけて活躍している。今回、スーパーモデルのイマン・ハマンとともに2度目のi-Dの表紙を飾ったタイショーンに、お金、車、母親の大切さについて話を聞いた。

Close up of Tyshawn wearing a diamond necklace.
Tyshawn wears High Jewellery necklace in platinum with diamonds. Earrings with diamonds in platinum TIFFANY & CO.

──まずは自己紹介をお願いします。

僕はタイショーン・ジョーンズ。いろんな活動をしてる。自分に制限はかけたくない。ひとつでも複数でも、肩書きをもつのは好きじゃないんだ。自分がこの先何をするかなんて、誰にもわからないから。

──スケーター・オブ・ザ・イヤーに選ばれたことで人生は変わった?

特に変わらない。ちょっと有名になった以外は、僕という人間は変わらないよ。

──受賞の前後で思い出に残っていることは?

当時の思い出はたくさんある。特に、受賞直前のことはよく覚えてる。ビデオの自分のパートを完成させるためにどれほど頑張っていたかもね。友達と出かけたり、誰もいない道でトリックを決めるために朝6時に起きたり。そういう些細なことが記憶に残ってる。それからお祝いのあと、家族や友達みんなとサンフランシスコに飛んで賞を受け取ったことも。

Tyshawn sitting on a stool shirtless wearing a diamond necklace and black tailored trousers.
Trousers BERLUTI. High Jewellery necklace in platinum with diamonds. Schlumberger® Acorn pearl and diamond shirt stud and Sixteen Stone ring with diamonds in platinum. Earrings with diamonds in platinum TIFFANY & CO.

──ビデオゲームに本人役で出演してみてどうだった?

ビデオゲームで自分を演じたのは一度きりで、たったの20分間だった。それっきりだよ。面白かったし、ゲームに出るのも楽しかったけど、なんというか、もうだらだらゲームで遊べる歳でもないだろ。現実を生きなきゃ。

──人生で最も影響を受けたひとは?

母。彼女のためなら何でもする。母さんのために一生懸命努力してる。今まで体験したことのないようなことを体験させてあげたいんだ。今の僕があるのは彼女のおかげだし、母さんがいなければここまで来られなかった。彼女がいたから夢を追いかけられた。

──お母さんからどんなことを教わった?

すべてを教わった。努力することや、外の世界で欲しいものを手に入れる方法なんかを。つまり、今の自分の中にあること全部。彼女が人生を導いてくれた。母を見て、あらゆることを学んだ。教師っていうのは、必ずしも教えを説く必要はない。見ているだけで学べることもたくさんある。

Tyshawn wearing black tailored trousers, a silk black shirt and a diamond ring, bracelet and earring.
Shirt SAINT LAURENT BY ANTONY VACCARELLO. Trousers BERLUTI. High Jewellery necklace in platinum with diamonds and ring in platinum with a diamond of over 25 carats and diamonds. Earrings with diamonds in platinum TIFFANY & CO.

──初めての給料で何を買ったか覚えてる?

僕は安い人間なんだ。腕時計とかは買ったけど、これまでで一番高額なギャラとは比べ物にならない。自慢するわけじゃないけどね。給料の使い道はよく考えないと。お金に人生を左右されたくないから。例えば15万ドル(約1700万円)の小切手をもらったとしても、すぐに使い切ったりはしない。買うものはよく吟味する。何の為にもならない即物的なものに無駄遣いしたくない。重要じゃないものは買わないようにしてる。

──ビジネスに挑戦して学んだことは?

時間がかかるってことかな。何かに投資したり、事業を買収したり、ビジネス始めたら、すぐに利益が生まれると思うひともいるかもしれないけど、何事にも時間がかかる。肝心なのは忍耐力だ。3年かかってやっと投資の元が取れたり、稼げるようになることだってあるだろ? 社長はみんな金持ちだと思うかもしれないけど、僕が学んだのは、自分より社員を優先するべきだってこと。チームはひとつ。そういうものなんだ。会社を前に進めてくれるのは彼らだから。社員がいなければ何もできない。自分の給料よりも彼らの給料を優先しなきゃいけない。給料がなければ、みんな離れていってしまう。自分の給料がなくてもじっと耐えるんだ。そうすればそのうち報われる。

「自分の功績にこだわるひともいるけど、僕はスケーター・オブ・ザ・イヤーの話をするのも嫌なんだ。だって2018年なんて大昔のことだろ」

──駆け出しの若いスケーターへのアドバイスはある?

ただ滑って、楽しんで、自分らしくいてほしい。そうすれば結果もついてくる。陳腐な言い回しだけど、夢を追いかけるんだ。僕たちはみんなプロのスケーターを目指していたけど、あまり思い詰めすぎないでほしい。スケートへの愛が見えなくなってしまうから。スケートに情熱を傾け、スケートを愛して、真剣に取り組む覚悟がさえあれば、きっと夢は叶う。

──あなたが若い頃に目指していたものは?

とにかくプロになりたくて、あと車が欲しかった。欲しいものだらけだったよ。即物的なものに意味があると思っていた。でもそのうちに、そういうものはたしかに楽しませてくれるけど、それほど重要じゃないと気づいた。ある程度稼いでいい車を買ったら、みんなすぐに気づくはず。僕はいつも次は何が起こるんだろう、って考えるようにしてる。ひとつのものに留まり続けるのは好きじゃない。

──では、今の目標は?

テレビ番組の脚本を書いた。パイロット版も撮影して、製作費は全部自分のポケットマネーから出した。今は編集中なんだけど、どこかのキー局に買ってもらって世界中のひとに観てもらいたい。それが今の目標かな。僕は常に動いていたいタイプの人間なんだ。自分の功績にこだわるひともいるけど、僕はスケーター・オブ・ザ・イヤーの話をするのも嫌なんだ。だって2018年なんて大昔のことだろ。

この賞は好きだよ。すばらしい功績だと思うし、尊敬され讃えられている賞だけど、自分の中ではもう過去のことなんだ。過去のことばかり話したくない。前に進んで、新しいゴールをつくって、新しいことを成し遂げたい。みんなに他の話題を提供したい。でも、だからといってこれまで達成してきたことに感謝してないわけじゃない。受賞したときは十分に時間をかけて感謝の思いを伝えた。でも、時間を巻き戻すことはできない。世界中のお金をかき集めたとしてもね。

──あなたにとって人生の意味とは?

人生の意味か。難しい質問だな! 答えは人によって違う。自分のモラルとか、何を信じるか次第だ。でも、僕にとっての人生の意味は、努力して、愛する人たちを大切にして、善いひとになること。そんなふうに生きたい。

──移動するときは何を使う?

僕はどこでも車で行く。ある程度稼げるようになったら自分の車を買って、絶対に公共交通機関は使わないと誓ったんだ。別に自分を大物だと思ってるわけじゃないけど、昔はブロンクスの外れの地区に住んでいて、毎日バスに乗ってた。バスと電車を乗り継いでた。駅は徒歩で行くには遠すぎたから。マジで地獄だったよ! 滑るためだけに毎日2時間かけて通った。でも、大好きなことだったから毎日通えた。1日も欠かさずにね。夢を追いかけるために毎日毎日街に出た。ニューヨークの交通事情は最悪だけど、あのめちゃくちゃな地下鉄に乗るより、自分の車で音楽を聴いたり、友達とドライブするほうがずっとマシだ。空港に行くとき以外はほとんどUberは使わない。ニューヨークの中ならどこでも運転する。今いる場所まで迎えにいくよ、さあ出かけよう、って。

──縦列駐車はできる?

なんでもできるよ。最高のドライバーなんだ。プロのレーサーになるべきかもね。でも安全運転だよ。シートベルトは忘れずにね。

──今のスマホの壁紙は?

ロック画面は、ランボルギーニのウルスの横に立ってる自分の写真。今欲しい車なんだ。いつか乗るのが夢なんだ。これを見るともっと努力しようって思える。わざわざ自分を待ち受けにするほど自分が好きとか、そういうことじゃない。ここには時間が表示される。それが1日に与えられた時間で、つまりこのランボルギーニに乗るために働かなきゃいけない時間だ。誰か会社のひとがこの記事を読んで、僕をスポークスマンとかアンバサダーに指名して、1台プレゼントしてくれない限りはね。

Tyshawn and Imaan on the cover of I-D 366 The Out Of The Blue issue

Credits


With thanks to Tiffany & Co.

Photography Mario Sorrenti
Fashion Alastair McKimm

Hair Bob Recine
Make-up Frank B at The Wall Group
Nail technician Honey at Exposure NY using CHANEL
Photography assistance Kotaro Kawashima and Javier Villegas
Digital technician Chad Meyer
Fashion assistance Madison Matusich, Milton Dixon III, Jermaine Daley and Casey Conrad
Tailor Martin Keehn
Hair assistance Kazuhide Katahira
Make-up assistance Elle Haein Kim
Production Katie Fash, Layla Néméjanki and Steve Sutton
Production assistance William Cipos
Casting director Samuel Ellis Scheinman for DMCASTING

All jewellery (worn tghroughout) Tiffany & Co.

Tagged:
Skate
tyshawn jones