Photography Jochem Van Grunsven
【i-D独占公開】Dior 2021春夏コレクション制作の舞台裏
9月29日に行なわれたディオール 2021春夏 コレクション ショーに先立ち、マリア・グラツィア・キウリによる最新コレクション制作の大詰めを迎えたアトリエを、i-Dが独占取材。
Photography Jochem Van Grunsven
わずか19のランウェイショーしか開催されなかった今年のパリ・ファッションウィークは、控えめにいっても、どことなく違和感が漂っていた。
しかし月曜には、Diorのアトリエでは、すべてがほぼいつも通りに進んでいた。マリア・グラツィア・キウリによる2021春夏 コレクションの制作が最終段階に入り、メゾンが誇る繊細な手作業が粛々と進められている。
舞台裏を支える職人の器用な手先がシルクのシフォンにドレープやうねりを生み出し、同コレクションを象徴するカシミヤの花模様の入ったテキスタイルでパッチワークを制作していた。
今シーズン、マリア・グラツィア・キウリは〈変化と変身〉をテーマに、Diorのシルエットが描き出す、常識を根本から覆すエスプリを取り戻すというアイデアを前面に押し出した。
依然として猛威を振るう新型コロナ感染症によって、社会の大部分が急激な変化を迎えるなかで、ファッションそのものの役割と目的の意義も、改めて問い直されている。すなわち本コレクションは、Diorのアーティスティック ディレクターの、この混乱の時代にまつわる省察と解釈することもできるのだ。
女性の詩人、知識人、作家たちの言葉からインスピレーションを受け、マリア・グラツィア・キウリは複雑に織り込まれた無数の色に絡めとられるヴァージニア・ウルフ、無地の白シャツを着たスーザン・ソンタグを心に描いた。
イメージよりも言葉に重きを置くことで、マリア・グラツィア・キウリは、人間の想像力の無限の可能性を示し、自由でオリジナリティのあるファッションを求める私たちの想いを称えたのだ。









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