コロナ直撃の“フリーランス“クリエイター5人にきいた打撃と展望

国内外で活動する20代のフリーランスクリエイター5人に聞いた、生活の現状とこれからの展望。

by MAKOTO KIKUCHI
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17 April 2020, 10:47am

新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大によって多くの中小企業や飲食店等が打撃を受けている。それは雇用主を持たないフリーランスも例外ではない。

“フリーランス”という概念自体あまり浸透しているとは言えない日本社会であるが、近年では企業に就職することなく、新卒でそのままフリーランスとして働く若者も少なくない。予想外のパンデミックが産んださまざまな社会不安はフリーランスとして生きる彼らにどんな影響を与えているのだろう?そこでi-Dは国内外でフリーランスとして活動する20代のクリエイター5名にメールインタビューを敢行。彼らのリアルな「今」と「これから」を聞いた。

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松藤美里 28歳

1. なにをしている人?

フォトグラファー/ライター。

2. 住んでいる場所とその場所の現在の状況は?

ニューヨーク在住。都市封鎖が始まって1ヶ月弱経ち、中心街は完全にゴーストタウン化しています。食料品の買い物やエクササイズ、ペットの散歩などでの外出は可能で、天気が良い日は人が多くなるエリアもあります。こんな事態なのに公園は混みすぎていて、身の安全を考えると入りたいとはとても思えません。それでも夜になると本当に街から人がいなくなります。特に私が住んでいるロウアー・イースト・サイドは飲食店が密集している繁華街で、余計にこれまでの日常との違いを感じます。人の少なさから治安が悪化していて、私たちのボロ車も車上荒らしに遭いました。幸い盗まれて困るようなものは残していなかったのですが、それでも壊れたiPhoneの充電コードと水筒、駐車違反の紙が盗まれていました。そんな物さえ盗む人々の必死さが更に事態の深刻さを実感させます。

3. COVID-19拡大による自身への影響は?

先月から予定されていたプロジェクトは全てキャンセルになってしまいました。誰もいなくなった街で撮影したら面白いかななんて最初は気楽に考えていましたが、とてもそんな雰囲気ではないし、自分もそんな気持ちにはなれないのが現状です。周りの友人にも解雇されている人が大勢います。失業手当は出ていますが、アメリカは働いている企業から健康保険が支給されるのが一般的で、健康保険の維持のために失業手当の申請をしない選択をする人もいます。

4. 最近の一日の過ごし方は?

1月から犬を飼い始めたおかげで、散歩に連れて行くことでリフレッシュできている気がします。あとは毎日、今日は何食べようと考えている間に時間が過ぎていくような感覚です。週末は家でレコードをかけて踊ったりしています。時間や日付の境目があいまいになってきて、時間が経つのが速く感じます。スマホを見る時間が増えてしまったので、それは管理しなければと思っているところ。

5. 今計画中のプロジェクトは?

いつ日常に戻れるのかわからない中で、まだあまり具体的に先のことは考えられていない状況です。

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雨夜(あめや) 22歳

1. なにをしている人?

フォトグラファー、動画編集。

2. 住んでいる場所とその場所の現在の状況は?

東京に住んでいます。安倍首相の指示にしたがって、マスク2枚をつけながら自宅で仕事をしています。

3. COVID-19拡大による自身への影響は?

今年社会人になったばかりで、今の状況は新生活への奇妙な導入となっています。パソコンさえあれば継続的に仕事ができるので、幸運にも一定の収入は確保できています。しかし現在新たな撮影はできませんし、全体として収入はかなり減少していて貯金をする余裕はありません。経済的にも精神的にも社会的にも、社会人一年目としてこのコロナ危機はとても厳しいけれど、人生の教訓を得る機会にもなっています。私の父はリーマンショック下でリーマン・ブラザーズ社で働いていて、それは幼少期の私に大きな衝撃を与えました。父が生き残ろうとする姿は、人生をどう生きるかのインスピレーションになっていました。今はコロナ禍にいて、もしこれを切り抜けることができれば、なんだってできるようにさえ思います。

4. 最近の一日の過ごし方は?

起きたらまず顔を洗って、パンを食べる。動画の編集をはじめる。今打ち合わせは基本的にZoomを使って行なっています。オンライン会議がありすぎてランチを食べそびれることも。クライアントとの仕事を終えたら、個人的なプロジェクトにとりかかります。あとはネットフリックスをたくさん見て、アートやデザインのオンライン講座を試聴。暇があったら、お菓子をつくったり、雪だるまをつくったり、何か新しいことに挑戦することにしています。

5. 今計画中のプロジェクトは?

外出自粛中の自分の生活をドキュメンタリー動画にするプロジェクトを進めています。

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Takanobu 28歳

1. なにをしている人?

映像作家。

2. 住んでいる場所とその場所の現在の状況は?

パリ。外出制限から約1ヶ月になるフランスでは、いまだに毎日数千〜万単位で感染者が増え続けていて、日中の運動目的の外出も禁止になったところ。

3. COVID-19拡大による自身への影響は?

撮影関連はすべてキャンセル。なので、家でできる仕事(動画編集、執筆、オンライン語学講師など)にシフト中。フランスでの外国人に対する助成金の対応は検討中なのだそうだ。プラスになったことは少ないが、強いていうならこの出来事を体験したことで、書けなかったはずの物語が書けるかもしれない。

4. 最近の一日の過ごし方は?

ひたすらに映画をみている。短い動画をつくってみたり、家でできる制作をいろいろ考えてる。ストップモーションやアニメーションにもっと挑戦してみたい。

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Graphic design Masako Hirano.

Masako Hirano 27歳

1. なにをしている人?

アーティスト、アートディレクター、グラフィックデザイナー、フォトグラファー。

2. 住んでいる場所とその場所の現在の状況は?

ドイツのベルリンに住んでいます。3月半ばの時点で様々な施設の営業が停止となり、現在、スーパーや薬局といった生活必需品を販売する店や郵便局ぐらいしか行くところがありません。制限が解除されたとしても、経営面の問題で再開できない場所もあるだろう考えると悲しいです。道端で"Corona"や"Fucking Asian"と呼ばれることも数回ありました。まだ外出制限がなかった2月末頃、日本人の友人が「トラブルに巻き込まれたくないから電車でもあえて席に座らない」と言っていたのですが、私もそうしていました。電車やバスは現在も動いていますが、もう2ヶ月近く利用していません。そんな状態ではありますが、最近サマータイムに入ったこともあり日が長くなって、そのうえ天気もずっと良いせいか、ソーシャルディスタンスを守りつつも通りにはまばらに人が歩いていて、街には人が生活をしている雰囲気もあります。

3. COVID-19拡大による自身への影響は?

昨年の移住に向けて貯金をしていたことや、今のところ普段通り仕事を続けられていることもあり、正直なところまだ生活を揺るがすほどの大きな打撃は感じてません。ただ、クライアントや周りの友人が大きな打撃を受けているということは、今後私も同じような状態になるのは明らかです。自分を売り込むにも厳しいタイミングだなと感じています。しかし、ベルリンではかなり早い段階でアーティストやフリーランサー、自営業者への支援が表明され、すでに実施されています。支援の発表からわずか1週間程度でオンライン申請フォームができ、5分程度の所要時間で申請が完了、翌日や翌々日には約60万円の助成金が振り込まれるという早さです。大切な人間関係や仕事の繋がりを置き去りにして、12歳から14年間住んだ日本を去りドイツに来て本当に良かったのかとずっと悩んできましたが、こういった特異な状況下で各国の対応を見て、やはりしばらくここで生活を続けてみたい、そのなかで日本という国についても考え続けたいという決心に変わりました。

4. 最近の一日の過ごし方は?

7年間一緒に暮らしている猫2匹と寝起きするのが1日の始まりと終わり。化粧をほとんどしなくなりました。家のバルコニーの床を重層で掃除して重層の威力に感動したり、インスタグラムのゆるい料理アカウントを作ってその更新に精を出したり、友人と電話をしたりして過ごしています。家で仕事をすることには慣れていますが、このインタビューに答えている時点でもう24日間ほど友人には会っていません。フラットメイトが自転車で郊外の自然に出向いているのを見てとても羨ましく思っているので、今後は自転車を買って出かけることも考えています。

5. 今計画中のプロジェクトは?

①きんたま100セット撮影

男性の睾丸のみをいろんなプロップと組み合わせて撮影したり、それをグラフィックの一部に落とし込んだりしています。現在撮影は中断中ですが、事態が収束したらまた再開して最終的には本を制作して展示をしたいです。撮影中は毎回妙な笑いが生まれます。参加したい方がいたら是非連絡をください。

②花瓶と枯れた花の陶芸作品の制作

陶芸スタジオが閉鎖中で窯が使えないのですが、もともと成形と乾燥までは家で作業していたので地道に続けています。これもいつか展示をできたらなと思っています。

③大規模な展示

内容はまだ公には明らかにしていないのですが、友人と二人で組んでいるアートユニット〈skydiving magazine〉で発行しているマガジンの5号目の発表に際して、大きな会場でのイベントの開催を計画していて、今はまだ準備に奔走中。今年中に開催を目指していたのですがなかなか難しいのかもしれません。

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Kotsu 24歳

1. なにをしている人?

DJとグラフィックデザイン。

2. 住んでいる場所とその場所の現在の状況は?

渋谷に住んでいます。テイクアウトしに近所のファストフード店に立ち寄ったのですが、金曜日の夕方なのにまるで人が居ない。真冬の夜中3時よりも人が少ない。お店も大体がしまっています。

3. COVID-19拡大による自身への影響は?

基本的に、音楽が主としたスペース(クラブやDJバーなど)に関わる仕事が多いので、DJとしての仕事は勿論、フライヤー制作やパーティーのオーガナイズの予定はほぼ白紙になりました。加えて、音楽フェスティバルへの出演も軒並み延期&中止です。週2でしていた昼の仕事も、現在危うい状況です。Tシャツなどのアパレル製作のオファーや、無観客によるDJ配信での収入が少しありましたが、個人的には生活がかなり困窮しています。

4. 最近の一日の過ごし方は?

ありがたいことにグラフィックデザインのお仕事を少しいただいているので、その制作と、ポスト・コロナの世界線で自分が培ってきたリソースがどう価値を持っていくのかを考える日々です。また、昔の雑誌や本をを見返しながら未来のヒントを得たりしています。本当は、あらゆる文化芸術にまつわるスペースや、お世話になっている飲食店などに自分のパワーを還元できるような動きを考えたいのですが、現時点では自分のことで精一杯です。

6. 今計画中のプロジェクトは? (個人的なプロジェクトがあれば教えてください)

WEBで見れるオンラインZINEを作っています。現場ではなくオンラインを経由し、いかに音楽文化を発信するか。そしてその先にある個々人の部屋を”フロア”として見立てたときに何ができるかをZINEでは考えています。〈一人だけで〉ではなく、ダンスミュージックおよびその周縁カルチャーのコミュニティが連帯し、お互いにリスペクトと愛を持ちながら新しい地盤を作っていくことが大事だと思っているので、その叩き台を作れればなと思っています。戦いはまだまだ始まったばかりなのです。

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