still from Ladybird

2022年に服のカーボンフットプリントを減らす10の方法

オシャレをしながら地球を救うためのヒントを伝授する。

by Sophie Benson; translated by Nozomi Otaki
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13 January 2022, 4:22am

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新しい年が来たら、新しいわたしになれる? そう簡単にはいかない。今年のあなたの抱負は、地球に貢献するものであるべきだ。山火事、干ばつ、洪水、竜巻、崩れ落ちる棚氷などのニュースを目の当たりにして、私たちの多く(大手石油会社や政府はのぞいて)は、2022年は環境に優しい行動を心がけようと決意したはずだ。しかし、デザインや創作、購買を通して、生態系破壊の主な要因とされるファッション業界に携わりながら環境を守るのはなかなか難しい。

賢い買い物を検討しているあなたや、サステイナビリティという難問の解明を目指すデザイナーのために、地球を思いやりながら新年を迎える10の方法を紹介する。

1. 今あるものを活用する

毎年製造される服は、推定800億から1500億。このふたつの数字にはかなり大きな隔たりがあるが、どちらにしろ、80億人足らずしか住んでいないこの惑星でつくられるには多すぎる。しかも当然ながら、この数字はあくまで服だけだ。毎年製造され、端切れとして、もしくは一度も服に仕立てられずに捨てられる大量の布は含まれない。

この世界はすでに信じられないほどの量の布や服が存在するので、真っ新な資源を圧迫するよりも、今あるものを活用することが環境保護的にも理にかなっている。革新的なアプローチをとってきた先人たちからインスピレーションをもらおう。Duran Lantinkは、未使用の服を縫い合わせ、新たなアイテムを制作している。Nicole McLaughlinは、テニスボールやHariboのパッケージなどから洋服やアクセサリーをつくっている。米国ブランドのCollina Stradaは、デッドストックの生地に革新的なバイオマテリアルを組み合わせている。さらに、The RevivalとThe Slum Studioは、ともにデザインスキルとクリエイティビティを活用し、ガーナの首都アクラのカンタマント市場で、北半球の先進国が植民地支配的な服の廃棄を繰り返した結果発生する不要な衣服をアップサイクルしている。

2. 貸し借りや交換をする

すでにあるものを活用するというのは、布自体だけでなく、服をつくることにも当てはまる。ある場にふさわしい服がない、もしくは新しいルックを試してみたいなら、まずは新品を買うことを検討するだろう。しかし、ぴったりなアイテムは別の誰かのワードローブにあるのかもしれない。友人や家族に、お気に入りのアイテムを借りられないか頼んだり(もちろんシェアリングエコノミーの精神で恩返しするのを忘れずに)、コミュニティの交換イベントへの参加や企画をしてみたり、最近増えているシェアリングアプリを試してもいい。例えば、他のユーザーと服を交換できるNuwや、直接他の誰かのワードローブから服を借りられるレンタルアプリBy Rotationもある。Selfridgesのようなデザイナーストアも、レンタルサービスに着手している。

3. 販売する分だけをつくる

デッドストックの焼却や破壊、埋め立ては、ファッション業界の過剰生産を証明している。その理由を簡単に説明しよう。ブランドは本来どれだけのアイテムを販売、製造できるかを推測しているものだが、結果的に43億ドル(約4900億円)相当のデッドストックが残されることになるのだ。あなたがファッション小売業者なら、これを避ける最もシンプルな方法は、過去のやり方に立ち返り、販売する分だけをつくることだ。

オーダーメイドのビジネスモデルは単にゴミを減らし資源を守るだけでなく、寸法を合わせたり好きな色を選んだりとカスタマイズのオプションを提供するなど、個々に合わせた服との関係を築くことが可能になる。オンデマンドは小ロット生産のメーカーには理にかなっているが、事業の拡大を目指しているブランドでも、このモデルを活用することはできる。製造技術の発展のおかげで、今はこのようなサービスを提供する工場もたくさんある。

4. 貯金する

67%の消費者が、サステイナブル製品を買いづらい原因は値段の高さだと回答している。ファストファッションブランドは、「お手頃な」製品でファッションを民主化しているとして、サステイナビリティは手の届かないものだというイメージを植えつけている。私たちが服を着るのは、ただ身体を温めるだけでなく、自己表現や社会受容のためでもある。しかし、服の購入点数や廃棄量が今まで以上に増えているということは、私たちは本当に必要な以上に、とても着られないくらいの量の服を買っているのではないだろうか。

英国の購買者は、毎月平均で約40ポンド(約6300円)をオンラインショッピングに費やしている。もし収入に余裕があるのなら、数回しか着ない安いアイテムをいくつも買うよりも、1着のために貯金したり、一生大切にしたいアイテムを買ってみてはどうだろう。もちろん、貯金する余裕がなく、他に買えるものがないので仕方なくファストファッションを買っているという場合は、今の方法に罪悪感を抱く必要はない。買い物以外にも変化を起こせる方法はある。

5. 服の寿命について考える

ファッション業界は、壊れたり、消費者が着なくなった製品がどうなるのかなど、めったに製品の寿命について考えることはない。世界のあちこちで服の山が積み上がっているのはそのためだ。〈拡大生産者責任〉という理念は、生産者に製品の処分の責任を負わせることで、現状を変えようとしている。しかし、お金で解決するブランドもいるいっぽうで、もっとクリエイティブな解決策はいくらでもある。

重要なのは、デザインの段階で吟味することだ。これは簡単に分解できる素材なのか。何か他のものにリメイクできるのか。顧客が不要になったら引き取ることはできるのか。自分はただゴミ問題に加担しているだけなのか……。そうすることで初めて、解決策を探ることができる。Fixing Fashionからインスピレーションをもらい、製品をリメイクするオンラインのチュートリアルを作成し、不要になった製品を回収して再販売し、接着剤や複合材料の使用は避け、簡単にリユースやリサイクルできるアイテムをデザインしよう。

6. 多用途の商品をつくる

ほとんどのひとは、特定のオケージョンや使い道のためにものを買う。例えば、パーティーのためのスパンコールドレスや、買い物のためのトートバッグなどだ。現代のライフスタイルに合わせた複数のアイテムの必要性は、大量消費に拍車をかけるだけだ。だからこそ、複数の使い道のあるプロダクトをデザインしよう。Petit Pliは、子どもとともに成長するアイテムの制作に特化したブランドで、マタニティウェアになったり、サイズが変更可能な大人の服も取り扱っている。Emre Pakelは、バッグに変身するトレンチ、トラウザー、ドレスを制作している。

型紙やデザイン技術の限界を押し広げ、柔軟で順応性のある多用途のアイテムを制作すれば、ユーザーが人生のさまざまな段階やイベントで着用でき、常に新しいものを買い続ける必要性を減らすことができる。

7. バイオマテリアル(生体材料)を使う

「あなたがつくるものは全て食べ物か毒として地球へ返っていく」と人権・環境保護団体〈Slow Factory〉のセリーヌ・シマーンは語る。最終的に埋め立てられる化石燃料を原料とする化学繊維を使っているなら、それは間違いなく〈毒〉になる。化学繊維は2030年までに世界の繊維生産のうち69%から73%に増加すると予想されている。ちなみにポリエステルは85%だ。

私たちは、今ある化石燃料を地中に残しておかなければならないところまで来ている。幸いなことに、使用を検討するべき植物由来の生地や繊維はたくさんある。Collina Stradaは、廃棄されたバラの低木や茎からつくられる自然素材〈ローズシルク〉を使用。NikeとChanelはパイナップルの葉の繊維を原料とするヴィーガンレザー、ピニャテックスを活用している。Stella McCartneyは実験室で育てたキノコを原料とするレザーで全身コーディネートを組み、Vollebakは藻を使ったTシャツを開発している。

上記のどれにも魅力を感じないというひとには、人の汗からつくられる水晶やスパイダーシルクに着想を得たバイオ素材の糸オレンジを原料とする布などをおすすめしたい。

8. 古着を最初の選択肢にする

先ほども述べたように、毎年何億何千もの服がつくられるということは、あなたが目をつけた新しい商品は、すでにこの世のどこかに存在する可能性が高いということだ。ファッションは循環していて、トレンドも繰り返しているのだとしたら、現代のコピー版よりもオリジナルを買ったほうがいいのではないだろうか。

リサイクルショップ、Depop、Vinted、eBay、ヴィンテージショップ、ハイブランドの古着を専門に取り扱うVestiaire CollectiveやTheRealReal、そして自社ブランドのリセールプラットフォームを運営するMara HoffmanやLevi’sには、あらゆる予算に応じた選択肢が存在する。新しい製品をワンクリックで買う前に、まずは中古品のプラットフォームをのぞいてみてほしい。少し時間がかかるかもしれないが、地球への悪影響を減らすだけでなく、節約もできるかもしれない。

9. 製品のサービス化

製品のサービス化(Service as a product: SaaP)とは、新しい製品の製造に取って代わる、循環型経済の主軸となる考え方だ。もちろん、多くのクリエイターの目的はものづくりだが、サービスも同じくらいクリエイティブで満足感を与えるものになり得る。

Helen Kirkumは、顧客が愛用しているスニーカーをコラージュして全く新しい、唯一無二の一足をつくるLegacyというラインで、この〈SaaP〉を提供している。ファッションのレンタルサービスもアイテムを修繕しているという点ではSaaPだ。服というよりはパターンを売り、ワークショップを開催し、人びとに裁縫や刺繍、かぎ針編みを教え、既存の服やアクセサリーをカスタマイズするのは、どれも技術とクリエイティビティが必要だが、新しい製品をつくったり販売する必要はないサービスだ。サービスを提供するからといって、決して大量生産をするデザイナーに劣るわけでも、独創性がなくなるわけでもない。ただ違う道を歩むだけだ。

10. 文字通り何もしない

環境保護のすばらしいところは、行動を減らすことがより大きな効果を生む場合もあるということだ。非営利団体〈Fashion Revolution〉のオルソラ・デ・カストロは、「最もサステイナブルな服とは、すでにあなたのワードローブにある服」と語っている。つまり、古着やサステイナブルな方法でつくられた服を買うよりも、〈何も買わない〉のが最善なのだ。簡単で、お金もかからず、自分と服や消費との関係を見直すこともできる。

何も買わないというと極端に聞こえるかもしれないが(それにどうしても生活に欠かせない必需品もある)、これほど頻繁にこれほど多くのものを買う習慣は、利潤を追求するブランドが浸透させた最近の発明品だ。何もしないのは時間もお金も努力も必要ない、おそらく最も簡単なアクションだろう。

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